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襲撃の意味

前書きは無駄話なので飛ばして結構です。



この世界では様々な物理法則が死んでいます。

例えばいつ説明するかわかりませんが主人公がいる世界の大きさはおおいぬ座VY星に匹敵します。

体積は太陽の60~90億倍なので、密度を太陽と同じと考えると、引力は1817~2080倍で、地球と比べると50694~58032倍です。(密度を知らないため正確じゃありません)


万有引力が強すぎて、主人公達ならともかく、一般人は即死ですね。


また、光速についてですが、物体に光速を与えるのに必要なエネルギーは∞です。

つまり物体が光速で動いている場合、それは物体が∞のエネルギーを持っているということになります。その∞のエネルギーがほんの少しでも熱エネルギーに変わったとしたら、それはまた無限の熱エネルギーで、そしてその熱エネルギーはやがて星を蒸発させ、また∞の熱エネルギーが余って、と最終的には宇宙が崩壊してしまいます。


なのでそこら辺の物理法則は死んでいます。


また主人公達はタンパク質で構成されてないという事は言うまでもないねしょうね。


視界が真っ赤に染まって、熱気が辺りに舞う。

男が、背後から魔法を撃ってきたのだろう。魔法によって、発生した熱がアスファルトを溶かしながらも、炎が住宅街を飲み込むように広がっていく。

……おいおい、住民まで、巻き込んだらまずいだろう。


熱くはない、身体にも異常はない。こんな火では衣服を燃やすことは出来ても、俺にダメージは一切通らはい。正確にいうと熱くはあるが、それはどちらかというと暑い方なので特に問題は無い。


「ぎゃああああ!? 昼飯と晩御飯がぁぁあ!」


服の方も燃えているが、それよりも火によって溶けたビニール袋の中身の方が重要だった。昼飯と晩飯のために買ったお弁当は溶けたプラスチックのトッピングを得て、もはや人類が食す事はままならない有様に。そして次の瞬間にはそのトッピングごと灰に生まれ変わって、畑の肥料へと姿を変える。


「バカヤローォォォオ! 今日は週に一度の牛カルビ丼だったんだぞ、どうしてくれる!」


「よそ見とは、ずいぶん余裕だな」


男はそう言いながら容赦なくこちらを切りつけてくる。最初の魔法は場を整えるための布石で、その魔法で生み出された炎幕を目隠しに戦うつもりなのだろう。


男の攻撃を体を半身にして避けると、鋭い刃が頬をかするように通り過ぎ、同時に刃が通ったあとを沿うように濡れた暖かい感触が頬に走る。


耐熱性の毒か…。得物は短剣らしく、それに塗ってあったと思われる毒が、この灼熱の中で蒸発することなく頬を伝って地面へと落ちる。神経毒かどうかわからないが、毒が効くような体質ではない。気にする必要は無いだろう。


しかし、敵は相当手練なようで油断はできない。流石は仮にもマスターである俺に戦闘を仕掛けてくるだけのことはあるといえよう。生産系の能力者なら反撃の暇なく沈黙するに違いない。


まあ、そういう生産系の能力者はたいてい頭がおかしいほど強いヤツをそばに置いているものなのだが…


「ほう、今のを躱すか。戦闘系統のユニークスキル持ちのようだな?」


男の方は俺の能力が生産か戦闘かを図りかねているのか、自然に探りを入れてくる。正直に答える必要もないので、質問しながらも素知らぬ顔で短剣を突き出してくる手を蹴りあげる。


金属と金属がぶつかったような音を立てながら手を離れたそれは大気を突き破る音を立てながら上空へと舞い、勢い衰えずに雲を突き抜け、落ちることなく上昇を続ける。


咄嗟に手を引いて巻き添えを逃れたのか、男は後ろに下がって距離をとると、炎の中に消えていく。しかし、警戒しているのかすぐに攻撃はせずにこちらを観察しているようだ。この瞬間を好機とみて、俺は男に話しかける。


「なあ、なんで俺を襲ってくるんだ?」


今まで相手が問答無用で仕掛けてくるので聞くことができなかったが、そもそも俺が狙われる理由がわからない。俺は普通の一般市民なので、無自覚に破壊をまき散らしている訳では無いし、世界に名を轟かす怪盗でも、変な実験を繰り返しては周辺住民を恐怖させる迷惑なヤツでもない。


「あるマスターが小娘たちに肩入れしている、と依頼主は言っていたな」


男は俺の疑問にそう答えた。


依頼主……どうやらこの男は傭兵らしく、依頼によって俺のところに来たのだろう。そして小娘たちとは考えるでもなくあの2人のことを指しているのだろう。


この男がいう依頼主はマスターと敵対してでもあの2人が欲しいらしい。それだけの価値があの子たちにあるのだろう。


「お前が手を引くというならば、こちら側もこれ以上何もしないと約束しよう」


俺がそう考えていると、男はこちらに交渉を持ちかけてきた。どうも俺を殺すことは二の次らしく、最優先事項は俺がこの件から手を引くことらしい。


「確かに、見たくもない血を見るのはお互いの為ではないな」


だが、しかし──


「っと言いたいところだが、生憎と主人公おれ正義かわいいの味方なんだ、精一杯頑張っている少女を陥れようとするブサイクは放っておけない質でな」


俺はそう言うと、左脚を軸にして旋風脚を巻き起こす。音の壁を超えた蹴りによって生み出されたそれは、大気を揺るがしながらも辺りの炎を消し飛ばす。


「往生してくれ」


「愚か者が……」


地面は溶けているので、足場魔法を使って走り出す。

踏み出す足の下に魔法陣が現れて、ドロドロな地面をものともせずに駆け抜ける。


「『六七式火炎激』」


傭兵はそういうと、激しく燃え盛る炎を打ち出してくる。隙間なく打ち出される炎を避けると、少なくない住宅街の被害を更に増やしてしまうことになる。

あの男もそのことを織り込み済みだろう。


「『大寒波』」


俺はその驚異を『フリータースキル』の大寒波で潰していく、世のフリーターは税金を収めようとするとひもじい思いで生活しなければならない。近代化の宿命だ。


俺が鎮火を終える前に、男は既に動き出していて、どこから取り出したのか2本の短剣で切りつけてくる。


一撃一撃が山を崩すほどの威力だ。幾らこの世界が丈夫でも公道に被害が出てしまう。

道路の修理費って高いんだよ……


「『お前のものは俺の物』『ナイフ投げ』」


被害が出る前に俺は距離をとると『ガキ大将』スキルで相手の短剣を奪い取り、『道化師』のスキルでお返しする。俺は綺麗な方のガキ大将だ。借りたものは返す優しい心を持っている。


そして返すと同時に俺も走り出し、相手へと肉薄する。


すると相手は、はたまたどこから取り出したのか、自分の背丈よりも大きい斧を手に持って、それを軽々と振り回して飛んできた短剣を弾く。


そして跳躍すると斧を両手にこちらに振りかぶる。

あれが直撃するとここら一体がただでは済まない、相変わらずの手口で嫌気が差す。


「『レシーブ』『倍返し』『高速配達』『ダブルベット』『ウェポンブレイク』!」


バレー、銀行員、ピザ配達、ギャンブラー、武器鍛冶のスキルを使って衝撃を受け止め、威力を上げてお返しする。銀行員のスキルは金利のことで、決してある特定の事柄を指すものではない。金利が倍の銀行なんて成り立たないだろうけど。


衝撃を返された男はインパクトの瞬間に転移して被害を逃れていた。代わりに、すべての衝撃を請け負った斧はネタのように上空に飛んでいき、砕けながら姿を消した。……また宇宙のゴミ増やしてしまった。人工衛星に当たってないと願いたい。


「やれやれ、とんだ掘り出し物だ。割に合わねぇし、危ないし、やってられん」


男はそういうと懐から禍々しい気を放つ大剣を取り出す。その懐からは何でも出てくるのか……。男の胸の中に手を入れる趣味はないので、欲しいものがあっても入れるつもりは無いが、少し興味がわく。


男が持つ大剣は神剣と呼ばれる類だろう。しかし、名前の通りに神が作ったものというわけではなく、生産系の能力者が作ったものをそう呼んでいるに過ぎない。そしてその能力者が作ったものは得てして破壊が難しく、同じ性質のものと干渉して阻害する。


要は武器に能力ユニークスキルが通じにくいということだ。


そしてそれはかなり厄介な武器ということを意味する。なぜあいつが持っているかは知らないが、勘弁して欲しい。


「なんだ変な顔をして、もうへばってきたのか?」


「ぬかせ、やっと肩があったまってきたところだ」


お互いに駆け出しぐんぐんと距離を縮めていく。

そしてぶつかるの瞬間──


両者ともにすれ違い、お互いの背後にいたものを破壊する。


「ギギ、暴徒……の鎮圧……を……行います。周辺の……皆様は……直ちに」


どうやらガードロボが気づいてしまったらしい。当たり前か、こんだけ暴れれば流石に気づくよな。


「全く、めんどくさいことになったな、さっさと殺られればいいものの。もういい、今回の依頼はやめだ」


そういって男は大剣を何も無い場所に振ると、空間が裂けてゲートができる。長距離空間転移、そんな機能もついてるのか、少し羨ましい。誰もが一度はどこでもワープができる道具を夢見たことがあるに違いない


「安心しろ。もうお前と戦う依頼は受けないし、戦うつもりもない。こちらも身を危険に晒したくないのでな」


俺が場違いの感想を浮かべていると、男はこちらを向いてそう告げる。あのまま戦い続ければ、きっと俺がやつを倒していただろう。武器を持っていようとユニークスキルのあるなしの差は埋めることは難しい。やつもそのことを理解していたのだろう。


「じゃあな、二度と会いたくない」


最後にそういうと、男はゲートの中へと消えていった。


「さて、俺も帰りますか」


そう思って、あたりを見渡してみると、さっきの男によって生み出された凄惨な被害が残っていることに気づく。殆どは炎によるもので、アスファルトなどは再工事が必要なほど溶けている。民家には被害がいってないものの、公道はしばらく使えないほどひどいことになっていた。


「暴徒発見、暴徒発見! 直ちに捕縛します」


「え?」


「対象を『職業』のユニークスキル所持者ホルダーの東真静人と認識いたしました。速やかに同行をお願いします」


そう世の中うまくいかないものである。

そんな言葉が脳裏によぎった。






「それで、どうしてこんなことになった?」


そして現在、取り調べを受けております。一昔前の用にオラぁ! とか言う取り調べではないが、威圧感からか言っても言わなくても大差ない気がする。


「ワタクシがコンビニ帰る途中、道の真ん中を黒い服を着た男が塞いでいて、問答無用に襲ってきたので応戦した次第です」


唯一の救いどころはあの男と会話していたところを目撃したガードロボットが既にゴミクズと化していることであろうか。


「という事は、相手さんから一方的に襲われたということか……。その男に見覚えは?」


目の前の男は知り合いでもあるので、気分は楽だが尋問を受けていることには変わりがない。変なことを言ってぼろを出さないように慎重に言葉を選ぶ。


「ありません、全くの初対面です」


「じゃあ、襲われる心当たりは?」


世の中とは無情である……。


例え、いたいけな女の子であっても国に害をもたらすと知った途端に、国はその子を排しようとするだろう。それは正しいし、女の子だからとかいう理由で国を危険に晒すのはもはや愚かという他ない。


「いえ全然ありません」


そういった点で俺はまさに愚者といえよう。


この国は日本に似ていて、全く非なるものだ。政治は大老会が取り仕切り、軍の最終決定も彼らが決める。死ぬことがなければメンツが変わることもない。不老の薬が世に出回るご時世では老衰は絶対にない。病気なんてましてやだ。


「そうか、まあ能力者なら誰かしらの恨みを受けていてもおかしくはないが………」


そんな彼らが最も重きを置くのは国としての安全だ。

入国審査は並の厳しさだが、プライベートエリアを除くほとんどの場所に防犯カメラなどがある。怪しい取引はたいていすぐにガードロボットに見つかるか、防犯カメラに写っている。そしてそんな不穏分子は即刻焼き払うのが彼らの理念だ。良くも悪くも極端といえよう。


「ではココ最近の戦闘以外で能力を使ったのはどこで何に?」


もし彼女達のことがバレたら、始まりの地へ返されるのは言うまでもなろう。しかし、そんなことを彼女達にさせるのはあまりにも酷だ。2人をかばった手前、そのせいで及ぶ被害を防ぐのも俺の責任であろう。


「配管工事のために使いました」




そう思ってあえて2人のことは言わずに説明したわけだ。もちろん俺がロボットを壊したことも言ってない、2体ともあの男のせいにしておいた。当然のように、嘘をついてるので説明は難航したが、一働きする代わりにお咎めなしになった。俺は特に何もしてないんだけどな。


ロボット以外ね……




主人公の能力は何故か強いです


次回のASアフターストーリー


「というわけで、最近変わったことありませんでしたか?」

「にゃあ」

「そんな…ありえない。なぜよりにもよって戦闘系の所持者ホルダーが彼女達に味方するんだ!」

「お前には彼女達の価値はわからんさ……」

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