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妖精とクマ  作者: さぁこ/結城敦子
第四章 小野寺冬馬の葛藤。
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4-2 タルトタタンの効能

 事情を聞いた井上さんが気を利かせたせいで、車内の温度は寒すぎるほどになった。


 真白ちゃんは俺を選んで一緒に戻って来てくれたけど、怒っているようで、車に乗ってから口を利かない。

 姪っ子達がそうするように、ふくれっ面になっている。

 柔らかそうな頬を、突っつきたくなる誘惑に駆られたが、隣にいる子は姪ではなくて、赤の他人だ。

 それに、俺が『可愛い』と言わなかったせいで怒っているなら、逆効果になる。

 せっかく、こうやって時間を貰ったのだから、有効に使わなければ、なんの為に、俺は東野部長にからかわれ、雨宮一に遺恨を残したか分からなくなる。


「気分は良くなった?

何か甘いものでも食べてから帰らない?」


「……いいえ、結構です。帰ります」


「仕事の話があるんだけど、それでも帰る?」


 本当の事だ。

 俺は彼女に仕事の件で用事がある。

 契約を交わした以上、真白ちゃんにも従ってもらう義務がある。

 そうだろう?


「写真撮影の件」


 短く言うと、泣きそうな顔をされた。


「見たんですか?」


「何を?」


「……写真です」


 それは、当たり前だろう。

 俺の会社のプロジェクトだぞ。見ない訳ないじゃないか。

 そう言うと、真白ちゃんは顔を覆って突っ伏してしまった。


「大丈夫? 気持ち悪いとか?」


 井上さんも、慌てて車を脇に止めた。


「違います。恥ずかしくて……」


 そうは思わなかった。綺麗に撮れているとは思っていた。

 『妖精』ではなかったけど、それなりに綺麗に撮れていたはずだ。


「そうかな?

でも、君がそういう風に思っているなら、やっぱりモデルには向いていないのかもね。

辞めたい?」


 聞くと、顔を伏せたまま、激しく頭を振って拒絶の意を表した。


「辞めたくありません。

でも、若社長が相応しくないと思うなら……辞めます」


「今の君は相応しくないかもね」


 冷たい言い方になってしまったので、誤解されたかも、と一瞬、危うんだが、彼女は正確に俺の意図を汲み取ってくれた。


「どうしたらいいのですか?」


「甘いもの、食べに行かない?」


「からかわないで下さい」


 真剣に言ったのに、またふくれっ面された。


「若社長は、私に甘い物さえ食べさせていればいいと思っていませんか?」


「思ってるよ」


 いじけた様に言った言葉に素直に返したら、両手を顔から離したまま、真白ちゃんは茫然とした。


「今の君に足りないのは、心の栄養だと思う」


「心の……栄養?」


 よく分からない、と言った感じだ。


「そう。身体の方の栄養は足りるようになったけど、今度は心の方が栄養不足になっていない?

毎朝のココアも飲まないなんて、精神衛生上、良くないよ」


 そこに答えが書いてあるかのように、彼女は自分の掌を眺めた。


「久々にケーキを食べている君は……えっと、とても君らしかったよ」


 おっと、危ない。思わず、可愛い、と言いそうになった。

 この言葉は絶対に彼女自身にも、誰に対しても言わないと決めたのだ。


「あのケーキ、三口で済ましてしまったのは、もったいなかったよね」


 思い出したのか、顔を赤らめる真白ちゃんの方を見ないようにした。


「いいえ、心の栄養は……もう十分、頂きました」


「えっ?」


「心配して下さって、ありがとうございます」


 お礼を言われたのに、罪悪感にかられた。

 俺は真白ちゃんにひどい事をしたのだ。

 何かは分からないけど、それは、とてもひどいことなのだろう。


 けど、話はまだ終わっていない。

 頑なこの子を、どう扱っていいのか、分からない。

 強引にしたら、壊れてしまいそうだけど、優しくしたら逃げられそうだ。


 そんな今日、何度目かの窮地は思いがけず、井上さんの口添えで解決した。


「でしたら、この近くに、おススメの喫茶店がありますよ。

若様がお好きでねぇ。

よく雨宮のお屋敷にご機嫌伺いに行ったのですが、その帰りには必ず寄ったものです」


 『若様』と言う単語に、真白ちゃんが俺を見たが、それを打ち消すように軽く首を振ってみせる。

 雨宮家に『よく』顔を出しているとは思われたくない。


 俺たち二人の困惑を余所に、昔を思い出した井上さんは、説明を続けた。


「雨宮のオレンジチョコレートケーキも絶品ですが、そこのタルトタタンはその上を行く、と若様はいつもおっしゃっていました。

だから、雨宮家の人間には内緒なのだ、とも」


「タルトタタン!?」


 真白ちゃんの機嫌が一気に治った。

 いつもなら憂鬱になる『若様』の話を歓迎したのは、今日が初めてだ。


「好きなの? タルトタタン?」


「はい! いえ、いいえ。

父が好きで、よく母が作ってくれたのです。

林檎の季節になると、紅玉をたくさん買ってきました。

それをいろいろおしゃべりしながら、二人で剥くんです。

部屋中に、リンゴの香りが漂って……。

毎年、それが楽しみだったんです。だから、懐かしくて。

……そう言えば、最近、食べていません」


「そう……」


 あの父親はタルトタタンが好きなのか。

 今度、何か用事がある時は、レモンメレンゲパイではなく、タルトタタンを持っていこう……。


「と、ねぇ、真白ちゃん?」


「はい?」


「ところで、タルトタタンって何?」


 露骨に、「あんな美味しいものを知らないなんて、なんて可哀想」と言うような顔をされた。


「ごめんね、俺、あんまりいい育ちじゃなくってね。

母も忙しかったし、お菓子を作る余裕も電気も材料もなかったし。

甘いものの思い出と言ったら、砂糖水を弟達に作って飲ませたくらいかな」


 カブトムシかよ。

 自分で突っ込みを入れていると、真白ちゃんが激しく動揺していた。


「あの、そんな……」


 俺は卑怯な人間で、意地悪だ。

 今日ほど実感したことはないかもしれない。


 別に口に出した訳でもなく、こっちが勝手に言いがかりをつけたのに、真白ちゃんの罪悪感に付け入った。


「悪いと思ってる?」


「……はい」


「本当に?」


「はい」


「じゃあ、食べに行くよね、タルトタタンとやらを」


 彼女は黙って頷いた。

 決まりだ。


 井上さんにお願いすると、嬉々として車を出発する。

 こんなことも初めてだった。


「お父様がお好きならば、お土産に持って帰るといいですよ。

きっとお喜びになるでしょう。

ねぇ、冬馬さん」


 つまりは、俺に父親の分まで奢れってことだな。

 別にかまわないけどさ。


 今回のことでは井上さんには助けられたし、父親を懐柔しておくのも悪くない。

 ……これから、まだ真白ちゃんにはモデルの仕事をやって貰わないといけないから、だ。


***


 一人ならば入ることもなかっただろう、路地裏の小さな喫茶店は、英国の田舎町にあるようだった……とこれは同行した女の子の感想だ。

 二人とも英国の田舎町には縁がなかったので、本当の所は分からないが、アンティークでまとめられた店内は、格式よりも、安心感を与える作りだった。

 小野寺の若様のイメージではなかったが、実はこういう所で、自分を癒していたのだと思うと、ほんの少し同情した。

 俺はと言うと、ここで変に臍を曲げられたら面倒だと思うせいか、真白ちゃんを前にして柄にもなく緊張していた。


 若様が来ていた頃は、新婚だったであろうお店の奥さんは、注文を受けに来て真白ちゃんを見るや、もはや俺の中でお決まりになった台詞を吐いた。


「あら? まぁ! なんて可愛らしいお嬢さんかしら」


 こんな風に周りから「可愛い、可愛い」言われているんだから、俺一人言わないくらい、どうってことないだろう。

 俺なんか小さい頃から「怖い、怖い」とばかり言われてきたぞ。


 カウンターにサイフォンがあるのを見て、コーヒーを頼む。

 真白ちゃんは紅茶だ。

 あんなに美味しいコーヒーを淹れるのに、自分は紅茶派なのだ。

 それにしても、あのコーヒーは驚くほど美味しかった。

 小野寺の家政頭の井上夫人が淹れるコーヒーと同じくらい美味しいコーヒーは滅多に味わえないのだが、それと同等と言わないまでも近かった。

 思えば、初めて小野寺邸に足を踏み入れた時、井上夫人から出されたコーヒーが俺の味覚を決めたのだったな。


 この喫茶店のコーヒーもかなりのものだった。

 そりゃあ、あの井上夫人が育てた若様が好きな店だ。コーヒーが美味しくないはずがない。


 噂のタルトタタンは、要はアップルパイの一種のようだった。

 注文した品が来るまで、真白ちゃんが説明してくれた。

 もともと、アップルパイを作ろうとしたタタン姉妹が、パイ生地を下に敷くのを忘れて、慌てて後から上に載せたのが由来なのだそうだ。

 そそっかしい姉妹だな。

 でも、出てきたタルトタタンは、それはもう、美味しかったので、失敗は成功の素と言う言葉と共に味わった。


 真白ちゃんも感動していた。

 母親のことも思い出させてしまったのは、心苦しかったけど、彼女は「楽しい思い出ですから」と微笑んだ。

 これが姪の紅子べにこ緑子みどりこだったら、両手いっぱいに抱きしめてあげただろう。

 本当に姪か妹だったら良かったのに。そうしたら、真白ちゃんだって、もっと素直に俺を頼ってくれたに違いない。

 現実は、そうではないし、もし、妹だったとしたら、あの『父親』がこの可愛いの親になるのだ。

 冗談じゃない。どんな目に遭わされたか分からない。俺たち兄弟が全員『男』だったのは、幸運なことだと思う。

 いや、あり得ないことを考えるのは止めよう。

 ケーキがまずくなる。


 それよりも、とっとと本題に入ろう。


「『妖精』について、調べてみたんだ」


 鞄から、資料を取り出して、テーブルに置いた。


「若社長がですか?」


「そうだよ……仕事だからね」


 さて、うちの会社には、資料室がある。

 そこには、『主』と呼ばれる風変わりな社員が在籍していて、あらゆる疑問に答えてくれる仙人のようだとも言われていた。

 俺はプロジェクトが始まった頃から、自分なりに『妖精』については調べていたが、写真撮影が暗礁に乗り上げた時、悩んだ末、ジャンの求める『妖精』について調べに、資料室に赴いた。


 定年後も『社史』の編纂委員と言う名目で雇用されている『主』は、俺を見るなり、意味深に笑った。


「妖精に会ったらしいですね、冬馬社長」


 彼は俺を冬馬社長と呼ぶが、若様派ではないと思っていた。

 そういう派閥とは無縁な人だったからだ。

 しかし、実は相当な若様派だったのかもしれない。

 俺が「ジャンの言う『妖精』について知りたい」と請うと、「私の口からはお答えできませんね」とはぐらかされたのだ。

 社員の求める資料を集めて、まとめるのが仕事だろうに、それが出来ないと言うのだ。

 おまけに、答えを知っているかのような口ぶりに、我を忘れて怒りそうになった。

 真白ちゃんが困っているかもしれないのに、気ばかり焦って、冷静な対応が出来なくなりかけていた。


「そう怖い顔をしてはいけません。

『妖精はそう気軽に姿を現す存在ではないのですよ。

当然、ご存知でしょうがね』」


 絶句した。

 十五階には、『主』のスパイがいる。

 じゃなかったら、俺がジャンに言った言葉を知る訳がない。

 大体、『妖精』プロジェクトは、十五階以外には機密扱いなのに、資料室から一歩も出ない『主』が知っているはずがない。


「ですから、まずは、これを読んでみて下さい」


 秘境の庵で老師が弟子に試練を与えるかのような雰囲気が、都会のビルの一室に立ち込めていた。

 渡されたのは、ごく初期のジャンへのインタビュー記事だった。

 付箋を貼ってあると言うことは、予め用意されていたものらしい。

 受け取る際に、「へっへっへ」と笑われた。不気味だ。真白ちゃんの為じゃなかったら、こんな怪しげな部署、社長でも近寄りたくない。

 俺に頼まれた牧田が、嫌々、資料集めに行く気分が分かった。

 今回ばかりは、俺が動いているの知られたくかったから、一人で来たけど、次回からの普通の用事の時は、頼りになる秘書室長に行かせよう。


 白髪に眼鏡を乗っけた『主』に見られながら、記事を読んだ。


 鮮烈なデビューを飾ったとはいえ、まだ駆け出しのデザイナーだったジャンへのインタビューは、今よりはずっと砕けていた。

 その頃から、ジャンは自分の創造の源は『妖精』だと公言していたらしく、それについて、聞き手が尋ねていた。


 ジャンはこう答えていた。


「自分の言う『妖精』と言うのは、昔話に出てくる『妖精』ではありません。

小さい頃、日本で読んだ小説に出てきたのです。

自らの道に迷う一人の男が、ある女性に会う話です。

彼は彼女の中に自らを見ました。

でも、同時にそれは自分ではなかった。

敢えて言えば、なりたかった自分、なれるはずの自分だったのです。

男は彼女を、可能性と希望を与える存在として受け取った。

それはまるで、『妖精』の贈り物。

そんな風にあがめて、自らの世界を飛び出したのです。

彼にとって、彼女は『妖精』だったが、実は、彼の居た場所こそ、現実と隔離された『妖精』の世界だったのだと気付く話でもあります。

私はこの話に感銘を受けて、自分もそんな『妖精』に会いたいと思っているのですよ。

ただ、残念なことに、いくら探しても、そんな小説、日本には無い、と言われるのです。

もし、どなたかご存知の方がいたら、是非、教えて欲しいです」


 ジャンが真白ちゃんを『妖精』だと思った理由が分かった。

 俺も同じように、彼女の中に自分を見たことがある。


 だけど、当の『妖精』は、ジャンのインタビューを見て困惑していた。


「ますます、『妖精』なんて無理だと思えてきました」


「ここまで来て、気弱なことを言わないで欲しいな」


「ごめんなさい……あっ……」


「何?」


「あんまり謝ったら駄目って、言われていて」


 口を両手で押さえても、目が謝っているよ。

 笑ってしまいそうになるのを、必死で隠した。


「君は、君らしくあればいいよ。

気づいていないかもしれないけど、真白ちゃん、君には不思議な魅力がある」


 口説き文句のようだ。

 でも、真白ちゃんは、真面目に聞いていた。

 ちゃんと仕事だと思っているので、とても助かる。

 ほんのりと頬が赤らんで、目が潤んでいるのは許容範囲だ。


「君には可能性を感じる。

それだけじゃなく、見る人にも、見た人間自身の可能性を信じさせる何かがある。

決して君自身が無い訳じゃないのに、なぜか、誰もが自分を見るような、それも、理想の自分をイメージさせるような雰囲気がるんだよ」


 あまりのことに黙ってしまった真白ちゃんに、話し続けた。


「ジャンの洋服を着たら、理想の自分に近づける。なりたい自分になれるように頑張れる。

見る人たちに、そんな風に、思って欲しいんだ。

今までの写真はただ綺麗な服を着たスタイルの良い女の子にしか見えない。

それじゃあ、自分たちも買って着てみたい! とは思ってはくれないよ。

芸術作品でもあるかもしれないけど、広告だからね」


「でもどうやって? どうすればいいんですか?

私には分かりません」


 真白ちゃんの潤んだ瞳から、涙がこぼれていた。

 随分、追い詰められていたんだな、と改めて思わされる。

 可哀想でたまらない。

 俺に関わらなかったら、こんな重荷を背負って、辛い思いをしないで済んだだろうに。


「考えすぎないで、真白ちゃん。

明日の朝はちゃんとココアを飲むんだよ。

俺がカフェの従業員をたたき起こして用意させておくからね。

そうすれば大丈夫、君は『妖精』になれるよ」


 こういうのは、思い込みだ。

 もともと『妖精』なんだから、気負いがなくなればいい。

 俺は勇気づけるように頷いた。


「本当に?」


「ああ、ココアだけで無理なら、レモンメレンゲパイでも、チョコレートケーキでも、タルトタタンでも、なんでも用意してあげるよ」


 そう言うと、少し元気になったようで、真白ちゃんは試すように聞いた。


「砂糖水もですか?」


「えっ? ええ、まぁ、いいけど、おススメはしないよ」


 「美味しい訳じゃないからね」、「ただの砂糖と水だからね」、と慌てて説明すると、「冗談です」と笑われた。

 良かった。笑った真白ちゃんは、本物の『妖精』のように見える。


 ジャンの言っていた『妖精』。


 人生を狂わせる『妖精』だ。


 俺は、資料室の『主』からどこにしまったか忘れてしまったから、探してきて欲しいと『命令』され、高い場所に放置されていた未整理の資料を一山処理させられた挙句、別の方向からあっさりと取り出された、数枚の紙を真白ちゃんに差し出した。


 それは、ジャンが小さい頃、日本で読み、探し求めた、おそらく、今でも恋焦がれているだろう、あの『小説』だった。


 太陽王が探し、ファンやマスコミも探索したであろう幻の小説は、小説ではなく、絶縁状だった。


 若様が、小野寺文好おのでらふみよしが家を出るときに残した書置きだった。


 想像だが、小野寺の若様が家を出奔した際、母親の実家である雨宮家にも、その一報が届いたのであろう。

 もしかしたら、そちらに身を寄せているかもしれない、何か情報があるかもしれない。

 そうでなくても、非常事態について相談するために、義父は雨宮家に、この絶縁状を持って訪ねたのだ。

 その騒動にまぎれて、当時、雨宮家に逗留していた小さかったジャンが偶然にも、それを目にしたのだ。


 若様の家出は、スキャンダルだった。

 絶縁状は外部に漏れないように厳重に封印された。

 義父は手元に置いておく気にはなれず、かと言って、捨てる決心もつかず、資料室の『主』を封印の守り人とした。

 その守り人が、主人の許しを得ずに、俺にその『妖精』プロジェクト以上の秘密を明らかにしてくれたのだ。

 俺の為にではなく、『妖精』の為にだと思う。

 資料室の『主』もまた、『妖精』に魅入られた一人だった。


「冬馬社長も『妖精』さん以外には見せてはいけませんよ。

もし、外に漏れたら、大変なことになりますからね」


 言われなくても分かっている。

 真白ちゃんには、これを読んでもらいたいけど、読んだら、内容は誰にも言わないと、約束してもらった。

 古い紙を渡された上、詳しいことも説明されなかったのに、彼女は「決して口外はしません」と請け負ってくれた。

 素直すぎて、申し訳なくなる。

 それとも、これは俺の頼みだからか?

 彼女の行動を規制しているようで、嫌な気分になった。

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