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乙女ゲーム、らしい?

仲良くなった先輩は悪役恋敵、らしい

作者: 日文

続きをとあったので頑張って考えてみましたが、多分ご要望にお応えできていないとおもいます。

 かつて、私は泣いた。

 絶望して。

 自分の妹に良く似たヒロインと、自分だと思いたくないヒロインの双子の姉。

 幼い頃に病気になり、中学になる頃ようやく完治してまともに学校に通い始め、そして高校で恋をする物語。

 様々な魅力的な男性とだんだん親しくなっていくヒロインと、その課程でじゃまをする姉。

 影から男性を慕っている少女達を煽り、表ではヒロインに後ろ向きな言葉で相応しくないと思いこませようとして。

 最終的には妨害が家族にばれ、追い出されるというようなエピソードが一行くらい差し込まれる程度のキャラクターだ。

 暗く後ろ向きで、貞子っぽい外見のオタクじゃないのかと言われても仕方がないような醜い姿で描かれていた姉の、ヒロインを妨害する原因が幼い頃病気になった妹に家族の関心を奪われたからと言うモノがあった。

 当初それくらいと思っていたけれど、実際自分が体験したらこれはないと思った。

 本当になかった。

 まず妹のお見舞いに連れて行ってもらえない。

 一人で留守番させられる。

 寂しいから友達と遊ぶ約束をする。

 相手の子の親もこっちの事情を知っているから、時々なら病院から帰ってくるまで預かっていようかと母に言っていたが母は拒否し、妹が苦しんでいるときに自分だけ楽しむのかと言い続けた。

 近所の人が毎日大変でしょう、夜とか預かりましょうかと申し出てくれても、妹が大変なときなのだから一人で留守番くらい出来ると言わせようとする。

 そして寂しいなんて思えないようにとでも言うのか、家の中の掃除や洗濯をしておくように言われた。

 母親的にはお手伝いくらい出来るでしょう、姉なのだからと言うことらしかった。

 父は、積極的に私が手伝っているのだと思っていたらしい。

 妹の入院費用を稼ぐためか、帰りが遅くなっていた。

 ご飯くらいは炊飯器のスイッチ一つだから、米を研いで水の量さえ間違えなければ炊ける。

 洗濯も基本はスイッチ一つだ。

 大変なのは干すことくらいで、干すのもまぁ工夫すれば何とかなるけれどそれでも大変は大変。

 掃除はハタキと箒とモップが届く範囲くらい。

 家にいる人間が少ないから、汚れる要素も減っているから何とかなったけれど、それでもやっぱり五歳児がやる事じゃないと思う。

 積極的にご近所や幼稚園の送り迎えの保護者、そして保母さん達を巻き込んでいたため、自分で限界だと思い祖父母に救いを求めたときには私の味方がほとんどだった。

 脱出、した。

 出来た。

 祖父母や親戚達は母と私を会わせないようにしてくれ、ようやく私がどんな状況だったか知り理解した父は謝ってくれた。

 どうこうして欲しいと私も父も要望はなかったので、そのまま父方の祖父母の家でお世話になることが決まった。

 こうして私は、双子の妹を苛める未来というモノから脱出する切っ掛けを手に入れた。

 この後はどうにか中高で関わり合いになりたくない、だから祖母に相談した。

 そして勧められた私立の女子校に入学した。

 卒業生の推薦必須、入試は中学と大学の時のみと言う中高一貫教育。

 それなりに良いところのお嬢さんばかりが近隣だけではなく遠方からも入学している、知っている人は知っている女子校らしかった。

 学校の敷地内に、自宅から通学できない生徒のための寮があり、車での送り迎え禁止という校則がある私の知らない世界がかいま見られる学校だった。

 そこで入った部活動の先輩の一人と非常に気が合い、休みの度に一緒に出かけたりするようになった。

 お泊まりにも誘われた。

 丁度夏休み入るし、我が家には何度か来てくれていて祖母のお気に入りだったりもする。

 初めお泊まりに難色を示されたけれど、目的が先輩の家での読書三昧だという内訳と朝起きたときと夜寝る前には必ず連絡を入れるという約束で、先輩のお家での二泊三日が決定しました。

 かなり嬉しい。

 そして楽しみ。





 お泊まり初日、私は先輩のお家に度肝を抜かされた。

 学校から歩いて十分ほどの距離にある新築マンション、ここは先輩が学校に通うために建てられたのだそうだ。

 でも先輩、母子家庭って言っていませんでした?

 なんだか良くわからないことに首を傾げていると、綺麗な男の子がこっちに向かってきた。

 多分単体で見たら綺麗でかっこいいと思うのだろうけれど、正直私の目の前にいる先輩と同じ視界に入っているので、邪魔だ!と思わないくらいの容姿だなぁとしか思わなかった。

 先輩は綺麗だ。

 学校でも人気で、ファンクラブがあった。

 本人が知らないところで活動し、行動し、先輩の周りにいる彼女たちが相応しいと思わない生徒に圧力をかけ得て回っていた。

 実を言うと私も圧力をかけられた。

 彼女たち的には家柄が劣る私のような人間が先輩と仲が良いのは、先輩に寄生する害虫らしい。

 ちなみにそのことは先輩に報告済みだ。

 よってそのファンクラブは先輩によって粉砕された。

 ファンクラブの人間の誰一人として先輩の友人ではなく、そして盗撮写真を撮って販売していたと言うことが発覚したため一時期騒然となった……皆それなりに良いところのお嬢さんばかりだったので、表沙汰にはしなかったけれど。

 許可のない行動がストーカー行為だと自覚していなかったらしく、理解した途端に泣いて謝る人多数。

 それまでは正しい行為だと思っていたようで、自分たちが守っているのだと思っていた相手に真っ向から否定され、犯罪だと言われては泣くしかないだろう。

 しかもお嬢様だ。

 自分より上だと思っている人に言われては強くでられない。

 そう言えばあの時もどうしてと思ったのだ。

「祀、お前何処に行っていたんだ!せっかく俺が来てやったのに門前払いされたぞ」

「あら、高倉様の所の勇治さん。今日お会いするお約束していました?」

 わー滅多に聞けない先輩の絶対零度な声。

 ファンクラブの話しをしたとき以来です。

 大変怖いのに、何であの男の子は気がつかないのでしょうか。

 ばかですか?

 にぶちんですか?

 空気読めない日本人外ですが?

「はっ、婚約者のこの俺が来てやったのだから喜んで出迎えろ」

「たかが候補者が何を言っているのです。迷惑です。お帰りを」

「候補者なのはお前だろうが!俺は、高倉勇治だぞ」

「えぇ、それ以外の価値を示せない高倉様の所のお坊ちゃまでしょう」

 菩薩の微笑みに見る価値もないモノを見るような眼差し、正直そんな顔向けられたら私泣きます。

「帰ってください。それとも回収していただけるようお家に連絡されなければ帰れませんか?」

「うっ……く、くそ、お前なんか愛人の子供のくせに!!!」

 見事な逃走。

 絵に描いたような負け犬の遠吠え。

 高倉勇治?さん、貴方では先輩の隣に立つ格が足りなさすぎると思うのは、私の気のせいでしょうか?

「ごめんなさいね真夜、変なのが来ていて」

「いぃえーでも良いのですか?一応婚約者?なのですよね」

「候補よ。高倉様の所の三人のウチの一人を選んでくださいというこっちに選択権のある、ね」

「あーつまり彼でなければならない理由は無いという……」

「正直、彼以外を選んでくださいと明言されたわ」

「わー……」

 何というか、ご愁傷様?

 それにしても高倉勇治に上条祀か……で、婚約者と。

 なんだか、黒い抹消したい記憶に抵触するのですが。

 私が双子の妹の恋愛をことごとく邪魔するように、対象の男性にはそれぞれ乗り越えなければならない障害があって、確か大企業の御曹司でありながら一匹狼な先輩がそんな名前で、彼の婚約者が確か先輩と同じ名前?だった、ような?

 はっきりしないけれど、なんだか間違いではない気が、が、が……

 マンションの玄関でカードキーを通してボタンを押し、ドアを開ける。

 エントランスには常駐の警備員さん。

 ここで荷物や郵便物を預かったりもするんだそうだ。

 随分セキュリティがしっかりしているなぁと思ったら、実は学校に通っている寮生活が嫌だという生徒が半分くらい埋めているから、せっかくだから高く売れるようにと言うことで24時間常駐という形になっているそうだ。

 婚約者?はここで警備の人に入るのを拒否られてうろうろしていたと言うことらしい。

「でも、先輩母子家庭って言ってませんでした?」

「そうよ、でも父親とその家庭と不仲というわけじゃないの。このマンションも奥様が建ててプレゼントしてくれたモノで、私名義なのよ」

「先輩お金持ちーぃ」

「少なくとも食べるのには困らないわね。で、高倉のお家は父とと言うより、その奥様と懇意になりたいのだけど手が出ないのよ。だから奥様がそれなりに目をかけている私とと言うわけ」

「えーっとそれって砂上の楼閣?奥様の関心薄れたらそれまでじゃ……」

「私もそう思うのだけど、母がキャリア組なのと父に認知されている子供と言うことで、好待遇過ぎるけれど断る理由でもないって感じ?あちらもあちらで複雑みたいだから」

 えーっと何だったかな?

 確か婚約者との結婚は高倉勇治の一族内での地位確立に本来必要で、ヒロインと様々な困難を乗り越えた後の勇治は婚約者に頼らない、自分の能力で一族内に地位を確立しようとするという形だったかな?

 勇治と言うように次男で、母親が一般人で彼を産んだ後に確執が深まって彼を置いて離婚。

 年の離れた兄と、新しい母親とその間に出来た弟。

 母親のせいで見下されているのだと女性蔑視に走り、高い能力を生かし切れないのがヒロインと共に歩くために自分を磨いていくだった……ハズ?

「高倉たかくら……確か何度かパーティー用の生け花をお婆様が頼まれていたはず。お手伝いで付いていったことがあります。パーティー規模凄かったですよ」

「大きなお家ですものねーでもあそこ戦後の成り上がりだから、私みたいな愛人の子供でも、由緒正しくそして認知された血が欲しいみたいなの」

「くろい、黒いです大人の世界」

「ま、私と真夜の間にはそんなのいらないし必要ないわよ。いらっしゃいませ、どうぞお上がり下さい」

「ですね、おじゃましまーす」

 何だが思っていたのと違う?

 もしかして劣化バージョン?

 妹がヒロインだとして、その攻略対象どうなんだろう。

 そして妹と関係のないところで攻略対象と会うとは思わなかったよ!!!

 しかも先輩が妹を金と権力で妨害し、苛め、貶める悪役恋敵ってどーなんだろう。

 ウチの祖母っくらいで無いと、対抗できるだけの格が足りなさすぎると思う。

 そう、わざわざヒロインを貶めなくとも、周りが相手にしないだけのモノが先輩には有るのだから。

 まぁ母子家庭だから一応令嬢ではないよね?

 突っつけるとしたらそれくらい?


 でも多分、私が先輩を知らなかったら彼はとても魅力的だったのだろうなぁ。







 逃げ出したのは本当に正解だったと思い知るのはまた後日。








いくらかは自分が通っていた女子校を参考にさせていただきました。

そして先輩は、実在の同校の名物だった先輩方をミックスして仕上げました。

お金持ちのあれやこれは、後日知り合った方から聞いた話を大げさにしたり脚色してありますので、余り信じないでいただければ……とりあえず表に出ないセレブ怖い。

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