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第三話 絶望
翆の頬に暖かい涙が伝った。
目の前にいる想像以上の大きさの仮面族はこれまでにない攻撃を行っていた。
仮面のない部分、恐らく口のある場所から火を吹いている。
そして、腕を振り風圧で火を拡げる。
無理だ、無理なんだ、こんな奴に勝つなんて。
いや、やれるだけやろう。
もしかしたらいけるかもしれない...。
ぐっと剣を持つ手に力を入れた、そして少し前に傾いてから目を見開いた。
「うぅおおおおぁっ!」
地を蹴り、飛び上がる。
そして、剣を振り下ろす。
しかし、鈍い音をたてて剣は折れた。
翆はやはり無駄だと思い、諦めて目を閉じた。