第8話 デート!
「えー、ではこれでオリエンテーション合宿の閉会式を終わります」
終わったぁ、この謎の2泊3日も残すは帰宅のみ!
「ねぇ、神谷君」
「ん? 北川か。
何かよう?」
このオリ合宿中やたらと俺は北川に話しかけられた。
初日にあったことを「気にしなくていい」と言ったはずなんだが……
「少し聞きたいんだけど。
野球はやらないの?
山中 淳君だっけ? 彼に熱心に誘われてたじゃない」
「……中学で野球はやめたんだ。
高校では特に何もするつもりはない」
「それだけの才能を持っていながらもったいない。
舞ちゃんも野球してほしそうだったよ」
舞ちゃんって……
いつの間にそんなに仲良くなったんだ?
「俺の知ったことか。
高校は適当に3年間過ごすさ」
そうだ、何もせずに3年間過ごすんだ。
もう忘れるんだ、野球のことなんて。
3日も離れてるとなんだが懐かしいな我が家は。
久しぶりに自分のベッドで寝るか。
―ガチャー
ん? 今のは玄関のドアが開く音。
まっまさか、泥棒か!?
この家には盗ものなんて何も無い……
「こうにぃ!」
「ぶは!!」
愛、入ってきたのはお前だったのか……
行き成り抱きつくな、勢い余ってこけそうになっただろうが。
「愛……お前なんで俺がいるって分かったんだ?」
「女の勘!
ねぇ、こうにぃ今日こっちの家で寝ていい?
こうにぃも明日休みなんでしょ?」
女の勘って恐ろしいですね……
加えてこの子は何意味のわからないことを言ってるんだ?
「そんなことは舞が許さないだろ? それに俺も許すわけ「ダメぇ?」うっ」
くそ、女の子の上目遣いに俺は勝てないのか!?
現在俺は携帯で舞と会話中。
内容はもちろんあの娘さんのことで。
『愛が泊まる!?』
「ああ、どうあっても帰る気は無いらしい。
着替えも持ち込んで準備万端ってやつだ。
晩飯は2人でどっか食べに行くよ。
お前も今日は疲れてるだろうからゆっくりしといてくれ。」
『ちょ……はぁ、あの子ったら。
何かあったらウチに追い返していいからね』
「了解」
ふう、舞にも話をつけたし、後は晩飯だけだな。
何を食べに行こうか……
「こうにぃ。
まいねぇ、怒ってた?」
「ん? あー、別に怒っては無かったぞ。
なんかあったらお前を家に送り返していいとは言われたけどな」
「じゃあ、大丈夫だ。
こうにぃはそんなことしないもんね♪」
「お前がいい子にしてたらな。
支度は出来たか? さっさとメシ食い行くぞ」
「うん!」
外に出て行き成り抱きつくな。
誰かに見られたらどうする気だ。
「愛、頼むから離れてくれ」
「少しくらいいいじゃん。
これくらいしなきゃ雰囲気出ないし」
「何の雰囲気?」
「デート!」
中学生とデートってねぇ。
みなさん、どう思います?




