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夏空  作者:
第1章
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第6話 何がオリエンテーション合宿だ


 見知らぬ新入生どうしが仲良くなるきっかけは?

 もちろん色々あるだろう、いつの何か友達になっていることなんてザラだ。

 ただ、中には人見知りで友達の出来にくい人だって居る。

 そんな人たちのためにあるのが……


「何がオリエンテーション合宿だ」


 俺は合宿場へ向かうバスの中ため息混じりにそう呟いた。

 そう、うちの新入生、学校恒例行事『オリエンテーション合宿』

 別名『とりあえず、色んな子と仲良くなろうぜの会』

 なんでも、ある場所に2泊3日するんだとさ。

 

「友達つくるチャンスじゃん。

元気だしなって」


 窓際の俺の席の隣に座るのは幼馴染の舞。

 クラスが一緒とはいえ何故お前が俺の隣なんだ?


「功が席決めのとき寝てたからでしょ」


 俺の心を読んだ発言をするな。

 お前はまず他の男子に人気があることを自覚しろ。

 周りからの視線が痛いんだよ!


「とりあえず黙れ。

それにオリ合宿で友達を作る気なんてない。

あぁ、早く帰りてぇ」


「あら? もうホームシック?

功は相変わらず子供だね~♪」


 くそ、反論はしたいが……

 俺はまだ自分の命が惜しい。

 ここは変化球で攻めるべしだ。


「うるさい。

お前こそ自分の家以外で寝れんのか?

中学の時はびびって寝れなかったくせに」


「あんた……それをあたしが気にしてたこと分かっての発言?」


 やっやばい!

 地雷を踏んだか!?

 隣から、その距離20cm以下の距離からバシバシ殺気が!


「じょ……冗談です」


「帰ったら覚えときなさい」


 怖いよぉ。

 俺は一体何されるの!?

 はぁ、短い人生だったなぁ。


















「ふぁ、疲れた」


 俺はあくびをしながら宿舎1階のロビーを歩いていた。

 泊まる場所は少し小さめのホテルみたいな場所だった。


 1階から8階まであるが俺らが使えるのは5階まで。

 1階はただのロビー、2階は食堂や風呂やら男女共同で使うものだらけ。

 3階は男子、4階は女子が泊まる部屋があり階同士での行き来は禁止。

 5階は先生たちが使うから、異性と会いたいなら1階か2階しかないと言うのが現状。

 そして、各階には巨大な体育館に繋がる通路がある。

 合宿中のオリエンテーションはそこでするらしい、開会式もそこで行った。


 そして、現在夜7時。



「よう! 神谷、こんな所で何しとんや?」


 めんどくさいのが来ましたよ。


「山中か、別にそこの自動販売機で飲み物買ってただけだ」


「ほーう、確かに持っとるけど、ほんまか?

実は彼女と会ってたとかちゃうんか?」


「彼女なんていねぇよ」


「いつも一緒に来てるあの子、斉藤とか言う子や。

付き合ってるんのやろ?」


 いつの間に俺と舞がそんなことになってるんだ?

 あんな奴と付き合ったら身体がもたん。

 これは早く誤解を解かねば。


「あいつはただの幼馴染。

彼女とかそういうやましい関係じゃない」


「なんや、おもんないわぁ。

でも、これは喜びそうな女子がたくさんいそうやな」


「どうゆうことだ?」


「お前結構女子の間で噂になっとるで。

斉藤と付き合ってるから、皆ほぼ諦め状態やけど」


 まぁ、確かに容姿だけ見たらかなりの美人だしな。

 あの暴君のような性格さえなんとかなれば……


「これは神谷争奪戦が勃発しそうやな」


 何をこいつは言ってんだか……


「冗談は……ん?」


「どないした?」


 ロビーを歩く俺たちの目に飛び込んできたのは

 2人の男とうちの女子生徒、軟派かな?

 男たちが何やら色々言っているが女の子は断固拒否の意思を見せている。


「ワイが止めに言ってもいいけど、ここは女子にモテモテの神谷君の出番やな」


「やっかいごとに巻き込まれるのはごめんだ、先生でも呼んでくればいいだろ」


「まぁ、そう言わず、行って来い!」


「ちょ!

バカ、やめ……ぶ!」


 いってー、山中に押された勢いで鼻をぶつけた。

 ……ぶつけた? 何に?


「おい、ガキ。

ケンカ売ってんのか?」


 今なら安売り!

 って関西らしく答えたいけど、何この状況?

 男2人がバシバシ睨んでくるんですけど……


「お願いです! 助けてください!」


 あぁ、女の子にそんなこと言われたら逃げれない……って山中お前は何楽しそうに笑ってんだ!

 少しは手伝えぇぇぇ!!!


「死ねガキ!」


 はぁ、ホントめんどくさい。


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