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夏空  作者:
第2章
30/94

第30話 聖なる夜に

現実逃避投稿第2弾!

祝30話です、読者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

これからもよろしくお願いします。



 あぁ、もう駄目だ眠い。

 もう、11時だぜ、なんで皆そんなハイテンションを保ってられるんだ?


「こうにぃ!

話聞いてる!?」


 愛は途中参加だから、体力が残ってるか知らんが俺はもう限界なんだよ。

 そう言えば、今回で関本が年下好みと言うことが判明した。

 愛が来た瞬間の関本の固まり具合と言ったら……思わず笑ってしまった。


「なんだぁ?

眠いから短めにしろよ」


「北川さんっていい人だね」


「今さら、何言ってんだ?」


 どうやら、今回のことで北川に対する愛の敵意は消えたようだ。

 どんな話をしたかは知らんが。


「ううん、なんでもない♪

それより、愛の作ったクッキー食べてくれた?」


「え? あー、食べた、食べた」


「美味しかった?」


「……あぁ」


「こうにぃ、ホントは食べてないよね?」


 クッ、あんな、危険物を俺に食えと言うのか!?

 これは余談だが舞に比べ愛の料理はひどい。

 それを本人が認識してないだけに余計に(たち)が悪い。


 ちなみに、愛にすすめられて食べた、関本・桜井は体調を崩し今は再起不能となって寝ている。


「今回の自信作なんだ、食べてよこうにぃ~」


「腹いっぱいなんだ、だから、今度な」


「神谷君、食べてあげなよ。

愛ちゃんが一生懸命つくたんだよ?」


「北川さんもそう言ってるし、だから……ね!」


 こんな、危険物を処理しろと言うのか!?

 何が楽しくて危険物処理班の気持ちを体験しないといけないんだ!?


「食えや、神谷。

意外とうまいで」


 なぜ、山中(おまえ)は平気な顔で食べているんだ?


「淳さん、意外は余計だよ~」


 そして、愛はいつの間に山中のことを下の名前で……しかも、淳さんって。

 ほんと、今日、愛に何があったんだろう……














 俺が意識を取り戻し時には、山中たちは居なくなっていた。

 どうやったら、愛はあんな味を出せるのだろう……

 味の大虐殺とはあのことだな。


「調子はどう?」


 まだ、家に残っていた舞が聞いてきた。


「頭が少し、クラクラする」


 はい、と言って彼女は水を一杯くれた。

 それで喉を潤すと、俺はあることを思い出した。


「そういや、お前さ、なんで俺の制服のシャツ着てたんだ?

おかげで、山中たちに殺されかけただろ」


 着替えたんならまだしも、結局そのままのジャージで降りてくるし。


「えっと……その……」


 頬を紅潮させて、言葉につまる、その姿は俺の加虐心をくすぶった。


「お前のせいで、俺は変な疑いをかけられて山中たち(あいつら)の信頼がガタ落ちだ。

……こりゃ、責任とってもらうしかないよな?」


「責任……?」


「聖夜に男女が誰もいない家に2人きりだぞ?

状況を把握してるのか?」


 俺の言葉の意味を理解したのか、じりじりと壁際に後退する舞を追い込み、顔の両横に手をついて逃げ道を塞いだ。

 我ながらなかなかの悪役っぷりだ、はたから見たら完全に俺が舞を襲っている。


「ま、待って!」


 目をそらしながら彼女が声を上げる。


「やだよ、舞が理由を説明してくれたら考えるけど?」


「……たから」


「聞こえない」


「功の服……着てみたかったから」


 ……はい?


「意味がわからないんだけど?」


「うるさいなぁ!

功の匂いがどんなのか知りたくて、いつも着てる制服なら……その……」


 どんどん、弱くなる語勢。

 はぁ、ホントこいつは何考えてんだか。

 でも、せっかくだからもうちょっと、いじめてみよう。


「だったら、いくらでも教えてやろうか?」


「え?」


 頬を少し紅潮させ、こっちを見たきれいな瞳に整った顔立ちにドキッとしたのは俺と君だけの秘密だ。

 やべぇ、超かわいい……


「功、それってどうゆうこと?」


 俺は自分の出した言葉を少し後悔していた。

 なぜなら俺の中では、2つの派閥に分かれ脳内会議が行われていた。

 その2つは、もちろん『理性』と『本能』だ。


『もう、襲っちまえよ。

今日は聖夜、明日も休み、条件はそろってるぞ』


 しかし、こうゆうのはお互いの気持ちが……


『ダメダメ、彼女でもないのにヤッてしまって責任とれるの?』


 そ、そうだよなぁ。


『ちょっと、だけじゃねぇか。

ワンナイト・ラブってやつだ。

それに、お前は自分のその衝動をいつまで抑えれるんだ?

性欲は人間のもっとも強い欲の1つだぞ?』


 そうか、一夜限りか、その考えがあったな。


『言い訳して逃げるのかい?

彼女には日頃の事と言い、昔の事(・・・)といい、色々恩があるんじゃないのかい?』


 それもそうだな。

 お楽しみは、置いとくか。


「なんでもない」


 舞の脱出路を塞いでいた、手をどけて、背を向けた。

 これ以上はマジで危ない。


「待って」


 服の袖をつかまれた。


「なんだ?

まさか、襲ってほしいとか言うんじゃないだろうな?」


「そこまでMじゃない!

えっとね……クリスマスプレゼント欲しいな」


「はぁ?

じゃあ、明日でも買いに「今、欲しい」は?」


 舞は「動かないでね」と言って、距離を詰めてきた。


「功の味も知りたいと思って……」


「おい、何言って、んっ!」


 おい、ちょ、舌が!


「はぁ、ごちそうさま♪」


「何、考えてんだ?」


「ん? 攻略するにはもうちょっと、積極的になろうと思って」


「はぁ、恥ずかしいなら、しなきゃいいのに」


 実際、言葉は冷静だが顔の様子は言葉とは真反対だ。

 それに、舞が女の子らしいことを言うと、どうも調子が狂う。


「うるさい!」


 お、いつもの調子に戻ったか。


「なに、にやにやしてんの!」


「いんや、舞は今みたいに怒ってるほうがらしいと思ってな」


「けんか売ってるの?」


「そうやって、気の強いところは昔からかわらねぇな」


「あんたは生意気になっただけゃない」


「根は変わってないよ」


「そっか……じゃあ、前みたいにならないでね」


「たぶんな」


 今年も、もうすぐ終わりか。

 1年って早いよなぁ。

 

 高校生活もこの1年のように、あっという間に終わってしまうのだろうか?

 ……今はそんなことよりも、一瞬一瞬を頑張ろう。

 こんなどうしようもない俺を支えてくれる、幼馴染のためにも。


功の過去についてはいずれ本編で扱う予定です。

にしても、そろそろキャラ紹介でも作った方が良いですかね?

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