第3話 勝負やな
主人公を野球に誘うやつ=関西弁をしゃべるやつ
すいません、作者の勝手な偏見とこだわりです。
ん~、すばらしい晴天だ。
昨日テルテル坊主を逆さまに吊るした意味を疑うほど、すばらしい晴天だ。
「はぁ、何が体力テストだ」
疲れるだけじゃん?
正直めんどくさい、俺だけじゃないはずだ、この気持ちを抱いているのは。
適当にやって過ごすか。
「よう! 神谷! 気は変わったか!?」
元気のいい声で山中が俺に話しかけてきた。
ふぅ、朝からめんどくさい野球バカに絡まれた。
こいつ、隣のクラスだからずっと一緒じゃん。めんどくせぇ~
「あのな。
いい加減しつこいんだよ、あきらめろ」
「よし、ならこの体力テストでワイより上やったら諦めるわ」
おいおい、すでに超高校級の身体能力を持ってる。
お前に勝てるわけねぇだろ。
「嫌だね。そんな勝負だれが受けて「受けるわ!」な!?」
舞!? お前何勝手に答えてくれてんだ!?
「どうせ、功が勝つんだからいいでしょ?」
「バカ野郎、こいつに勝つとなると俺も本気でしないと「よっしゃあ! 勝負やな神谷!」はい?」
山中、お前も話を聞け! 俺は一切認めてないぞ! そして、返答を聞く前にどこかへ行くな!!
「嬉しそうだったわね。彼」
「お前のせいだぞ、どうしてくれんだ?」
「負けなきゃいいのよ」
めちゃくちゃ言いやがって。
にしてもキレイな太ももしてるな~
「っ! 見るな変態!」
なっ!? 下心がばれたか!?
今度から注意せねば。
「見てない」
一応、否定はするよ。
「よく、言うわ。まぁ、とにかく頑張ってね」
「おう」
しんどくせぇ。
山中のことだからそりゃ凄い記録出すんだろうなぁ。
はぁ、本気でやらないと負けんじゃん……俺目立つのって嫌いなんだよね。
疲れたぁ。残す種目も後、50m走のみ! 長かった……ここまでホント長かったよ。
とりあえず行けるとこまで全力できたが、身体がもたん。
俺も歳だな……
「よう! 調子はどないや?」
またお前か……
「ぼちぼちだ」
俺は点数の種目の成績によって記入された紙を見せ付けた。
我ながらなかなかの点だ。
「ふ~ん。なんやワイと同じか」
「マジかよ」
つまり、この50m走で決着てわけね。
「ワイと一緒に走ろうや」
「嫌だ。第一、名前順なんだから無理に決まってんだろ」
「ちょっと待っとれ、先生説得してくるわ」
ほんとに行ったよ。
あいつキャッチャーだったよな?
足速いのかな?
「よっしゃ、勝負やで神谷」
……ホントに横に来たよ。
どんな手使ったんだ?
「はぁ、覚悟決めるか。
お前中学時代のタイムは?」
「6秒7や」
本気で走れば問題無いか。
俺の身体が鈍ってなければだが。
「位置についてよーい……」
「俺の勝ちだな」
「ちょちょっと待て! お前がそんな速いなんて聞いてへんぞ!」
「誰が遅いだなんて言ったよ」
結果は俺が6秒2で山中が6秒5。
周りからは賞賛の声が上がっている。
「まぁ、諦めてくれ」
さてと、点数記入してカードを提出だったな。
俺の点数は……6秒5以下で10点か。
じゃあ、俺は10点……待てよ。
これって山中も10点ってことじゃ。
「あっ、ワイも10点や」
気づくな! 引き分けなんてまた話がややこしくなる!
「引き分けやなぁ、でも約束は約束や。
ワイはお前の勧誘あきらめるわ」
えらくあっさり手を引いたな。
もっと、絡んでくると思ったんだが。
「そうか、熱心に誘ってくれたのに悪かったな」
「気にすんなや。
ワイらだけでもなんとかなると思うわ」
どれだけの面子が集まってるか知らないけど。
そんな甘いもんじゃないだろ。
「本気で行けると思ってるのか?」
「それは今からのワイら次第や」
真っ直ぐな目だな。
お前みたいなバカが一緒だと考えることが少なくて楽そうだな。
……神鳥。
お前は今どうしてる?




