第15話 やっぱ悪魔だ
「こうにぃ」
「ん? なんだ?」
ただいま夕食後、部屋で愛とゲーム中。
野球ゲームなんだが0対0のなかなかの接戦だった。
「明日、愛の試合があるんだけど見に来てくれない?」
「いいよ、どうせ暇だし」
愛が試合を見に来てくれなんて珍しいお願いだな。
何回かは見に行ったことはあるけどほとんど舞に誘われて見に行った。
「ホント!? わーい♪
ありがと、こうにぃ!」
まさか、そんな喜んでくれるとは……ハっ!
いつの間にか0対1になっている!!
「愛、お前いつの間にスクイズをした?」
「んー? しーらない♪」
いつの間に人の隙をつくなんて邪道なこと覚えたんだ?
純粋な子に育ってほしかった……
「これで愛の勝ちだから、約束通りなんでも聞いてくれるよね!?」
実は試合開始前に俺が負けたら愛の頼みを1つ聞くと約束したんだが……
そんな興奮して聞くなよ。
つーか、
「そのお願いが明日の試合見に行くことじゃないのか?」
「それは別、それに、愛が誘わなくてもまいねぇが誘うって」
そりゃ言えてるな。
「で、何してほしんだ?」
「キス、して欲しいな」
……ワン モアー プリーズ。
「2回も言うのはずかしいよぉ」
「……さてっと、風呂にでも入るかな」
「ずるい! 逃げるのこうにぃ!?」
あったりめぇぇぇだ!!
俺は別に愛のことが嫌いなわけじゃない。
だが、中学生に欲情するほど落ちぶれちゃいない!
「逃げるも何も無茶な頼みをするからだ。
だいいちお前なぁ、最近意味の分からないこと言い過ぎだ」
「……バカ、こうにぃのバカぁ!」
「な? 行き成りバカは失礼だろ……って殴るな!
痛い! 痛いから!!」
マジで誰か愛がこんなに怒る理由教えて。
だって理不尽すぎるっしょ……
「愛、そこらへんにしときなさい」
「まいねぇ……」
おお! 舞、ナイスタイミングだ!
まさに救いの天使!
「あとはあたしが功をボロ雑巾にしとくから」
訂正、やっぱ悪魔だ。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「で、なんで俺は愛に殴られたんだ?」
「さぁ? また、あんたが勝手に愛を怒らしたんでしょ」
愛は明日試合と言うこともあって家へ帰宅。
舞は……なんでいるんだろうな? 夕食の片づけは全て終わっているはずなんだが。
「はぁ、最近の女の子の考えはわからん」
Side 斉藤 舞
それはあんたが鈍すぎるからでしょ!
ホント功の鈍さ……ここまで来たらただのアホね。
「一生そうやって悩んどきなさい」
「えー、理由もわからず殴られるのかよ」
「そうゆうこと」
……正直、たまに愛が少しだけ羨ましい時がある。
あたしだって功に甘えてみたい。
でも、功とはずっとこんな関係だから中々機会が無い。
この前みたいに向こうから来てくれたらチャンスなのかな?
でも……ああゆう時あたし舞い上がって何も考えられなくなるし……
「おーい、生きてるかー?」
「え? きゃあ!」
「うお!」
いつの間にか目の前にあった功の顔にビックリしてあたしが功の上に乗る形で2人して倒れた。
功の心臓の鼓動が聞こえる。
あたしと違って全然速くないのが少し残念だけど。
「いって……舞、とりあえずどいてくれないか?」
「いやだって言ったら?」
Side out
おいおい、こいつも一体何言ってんだ!?
それに少し上目遣いに俺を見てくるその瞳は危険すぎる!
理性が外れる前に脱出せねば……!!
「とにかく離れろ、それとも何か?
このままお前を襲えってことか?」
「そっそれは……その……」
ヤバい……なんだこの空気?
舞が俺を突き放して脱出完了のはずだったのに、顔を赤くしやがって。
すべて行動が裏目に出てるぞ、やばい……マジでやばい、助けて誰かー!
「まいねぇ! 母さんが帰って……こ……いって……」
おいおい、その誰かが愛じゃなくてもいいだろ。
ホント勘弁してくれ……




