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こんにちは、私が噂の美少女です。兄は居ません  作者: 月 朱莉(燈あかり灯)


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8/10

狐顔の美女




再開された話し合いに、最初に持ち出された内容は、希少生物の乱獲に対する策案についての決議だった。


だが、元々、決まっていたのか、順番に、肯か否かを私と第四王女以外が述べると、さっさと議題は次に移って行った。


緩く流れる川にも似たペースで回っていく議題。何で、こう言う場に皇太子は子供を連れて来るんだろう。

飽きた。飽きてしまった。お腹減ったなぁ。と、きゅう、と眉を下げて、私はお腹を押さえていた。


すると、微笑ましいとでも言う様に、黒子を付けた口元で笑む狐顔の美女が、「ほれ、お食べ」と言ってお菓子をくれた。

しかも、指先の見えない袖の長い着物の袖を振ると、途端に、やって来た彼女付きであろう、彼女の着る衣服と似た服を着た女官達が次々に山盛りのお菓子を目の前に置いてくれたのだ!


このお姉さん、最高!!!


キラキラと目を輝かせて、もぐもぐと食べていたのだが、何かの議題に入ってから、室内の空気が一気に変質した。

ああ、川が濁りの激流川になってしまった。それも、今にも崩壊しそうなダムまでもが見える。頑張れビーバー。頑張れダム。まだまだ続くぞこの雨は。


「ーーだが、この策案だと、ジェーイム地方に無視出来ない影響が出る。その点を踏まえて答えて貰いたい。」


とは、リューおじ様。


「ーー理解している。しかし、ここで手を尽くさねば、更なる波及効果で取り返しの付かない事態を引き起こす可能性も考えてから発言してくれないでしょうか。」


とは、黒布さん。


「ーーシシベル帝国の干渉さえ防げるなら、我が国からも支援は増やせるのですが。」


とは、ユーテフォリの王妃。


ふむ。適当に聞き流していたが、たぶん、北部地域にある、アマダラ族と言うまだ異文化として此方側に受け入れる体制が整っていない部族と、帝国と、更には、皇国との三つ巴の紛争に関する話だろう。


丁度、此方に居るお菓子をくれたタイラーン皇国のキリヤ姫の妹とその侍女が帝国に拐われた後に、アマダラ族の元へと逃げた事で、昔からの領土の利権争いも加わって事態がより混迷化しつつあった。


まるで、物語の中の話みたいだなぁ、と、そんな感想しか浮かばない。この中で責任ある立場に付いていない子供として相応しい感想だった。ああ、お菓子が美味しい。


ここまでは新聞で適当に読んで得た内容だが、この場では、更に先に話が進んでおり、どうやら、アマダラの金鉱を巡って北方連合諸国群が割り込んで来て、


元々の予定としては、帝国側から、勝手をした帝国貴族への処罰如何と共に攫われた女性達を送還する手筈だったのだが、その帝国貴族が女性共々消えてしまい、捜索後にアマダラの地域付近で遺体で見つかったのだ。

女性達の生存も確認出来ず、娘達をこよなく溺愛しているタイラーン皇国の国王が激怒し、すわ戦争が開戦するかと思われた所で、アマダラ族出身のタイラーン皇国出身のこの会議が今行われている国の商家の夫人宛にアマダラ族からの相談の手紙が届いたと言う。


アマダラ族からタイラーン国の姫の無事と、帰還の為の迎えを寄越して欲しいと言う話だった。


これがここで終わるのならまだ楽な話だったで終わるのだが、なんと、姫の侍女がアマダラ族に嫁入りすると手紙には書いてあり、これが問題だった。

どうやら、その侍女はこの会議に参加している王妃様の国のユーテフォリ国の侯爵令嬢だったのだ。


本当に令嬢本人の意図する所なのか、そもそも、何故、半年も連絡手段がありながら連絡が取れなかったのかで、彼女達の親族各所からの声も加わり、暴走した過激派のテロでもうごっちゃんごっちゃんのグッチャグチャな戦争と言うか、紛争が勃発した。


私刑粛清狩りとそのやり返しでアマダラ族の生きる為に移動し始めた逃亡者達の中に、ご令嬢も居るとの事で、下手に手出しする事も出来ず、難民と化した彼らの為の街を作る政策の進み具合やら、制裁に関する話やらで会議は踊りまくっていた。


一つ気になる事と言えば、妹の話なのに、キリヤ姫が、しらーとした顔で会議の始めにだけ参加したのみで、後は、私の事を扇子を口元に携えて微笑ましく見守っていた点である。

何だろう。その話がもう過食気味なのだろうか。それとも、姉妹仲がそんなに良くなかったとか?どうでもいっか。


ついでに、お菓子が美味しくて私の足も、ぶらぶらと動いていた。はぁ、今日は良い日かも、と、そう思ったからいけなかったのだろうか。





この部屋に溢れていた声が、不意に止んだ。


部屋の外から齎された内容が主催者の黒布さんに耳元で告げられる。中身は分からない。

だが、うん、と彼が頷き、皆に目線を向けてから、特に問題無いと見たのか、手の平を上げて許可を出した。


何となく察した。入室者が居るらしい。


へぇ、誰だろう?ドーナツみたいな粉砂糖の塗されたそれを咥えつつ、噛みちぎってもちゃもちゃ咀嚼しながら首を傾げた。


まだお菓子の山は減らない。いや、減る隙から追加されているみたいでーー侍女さん達の動きが早過ぎて、ブレてる?としか分からず、見えないのだ。恐ろしやーー、キリヤ姫にはこの山を減らす気が無いらしいと見た。私は幸せなので良いけれども。

勿論、甘い物を食べ過ぎているのを見兼ねた皇太子から、お菓子禁止令が後日、言い渡される事を、私はまだ知らなかった。



ドーナツもちゃもちゃ食べてる場合じゃないのに、と、皇太子はこっそりと妹鑑賞に勤しんでいる。

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