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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第95話 ひと休み

 ノーザンフォードで父上が手配してくれた馬車と荷車を収納すると、僕は未開地に転移した。

 

「救世主様、ありがとうございます。捕まっていた人たちはみんな疲れていましたから、歩かせるのは避けたいところでした」


 捕まっていた人間の女性や子どもにも優しい視線を向けながら、アウラスニールは御礼を言ってきた。

 同胞のエルフだけじゃなく人間のことも心配してくれるのは嬉しいな。


 それから、攫われていた人たちの馬車を守るように騎乗した騎士やエルフが囲んで、未開地を北上した。


 何度か魔物と戦ったけれど、特別大きな出来事も無く、無事にフェアチャイルド領に戻ることができた。


 領境の詰所が見えてくると、みんなほっとした様子になった。

「ジェームス、この後はどうするんだい?」


「そうですな。奴隷商人に捕えられていた人たちは疲れているでしょうから、ティンターンの町で数日休んでからノーザンフォードに戻りやす」

「じゃあ、明日の朝また来るね」


「いや、ウィリアム様。もう危険はねえでしょうから、あとのことは任せて休んでください」


「そうですよ、あとは俺たちだけで大丈夫です」

 ギルバートも同調した。


「救世主様には本当に感謝しております。後は我らにお任せください」

 アウラスニールもそう言ってくれる。


 ここからはフェアチャイルド領内だから、確かに危険はない。

「それじゃあ、後はみんなにお願いするね」


「中が拡張されたテントはすごく快適でした」

「毎日温かい食事を差し入れて頂き、ありがとうございました」

 エルフたちも騎士たちも口を揃えて感謝してくれた。


 僕は探索隊に別れを告げて、オフィーリアとノーザンフォードに転移した。

「お疲れ様でした。ゆっくりお休みください」

 オフィーリアも休むように言ってくれる。


 未開地で採取してきた植物とかの鑑定は後回しでいいかな。

 部屋に戻ったら父上からのメッセージが届いていた。


「ウィル、未開地の探索お疲れ様。今後のことについて陛下とご相談をした内容は後で話そうと思う(陛下も支援してくださるという話だから心配はいらないよ)。まずはゆっくり休んでほしい」と書いてあった。


 陛下がどんなことをおっしゃったのか気になるけれど、後でいいのかな。

 無事にみんなが未開地を出たのでほっとしたせいか、何だか眠くなってきた。


 翌日は随分寝坊してしまった。

 昨日は早く寝たのに。

 こんなに眠れるってことは疲れが溜まっていたのかな。


 家族はみんな食べ終わっていたから、一人で遅い朝食をとった。

 どうやら気を使って起こさないでくれたみたいだ。

 自分の部屋に戻ると、ロッキングチェアでのんびり本を読んだ。


 ランチは工房のカフェでとる。

 未開地と違って緊張しないで済むから、何だかまた眠くなってしまいそうだ。


「ウィリアム様、お久しぶりです」

 カーペンターとエイルとメイベルがやって来た。

「ああ、みんな久しぶり」


「このところ、お忙しかったようですね」

「あはは、いろいろあって」

 彼らを巻き込みたくないから、詳しいことは言えない。


「お疲れ様です。でも穏やかな顔をされていますから、良い結果になったのではないですか?」

「うん。メイベルの言うとおりだよ。懸案が一つ片付いたんだ」


「良かったです。普段はのんびりされているウィリアム様が厳しい顔をされているから、みんな心配していたんですよ」

「そうだったのかい、エイル。みんなに心配をかけたようでごめんね」


 工房では普通に振舞っているつもりだったんだけれど。

 三人と世間話をしながら、ベイカーさんの作ってくれた美味しいランチを味わった。


「午後は何をしようかな?」

「今日はお時間があるのですか?」

「うん、ゆっくりしようと思うんだ」


「それなら、カードゲームをしませんか?」

 メイベルがカードで遊ぼうと提案してくれた。

 この世界にはトランプはないけれど、似たようなカードはある。


 エイルは用事があるようだけど、カーペンターも付き合ってくれるみたいだ。

「じゃあソフィアも呼んできますね。お兄さんと会っていないって愚痴っていましたから」


 そういえば、いつもは朝食で家族に会っているけれど、このところは未開地に行くために早起きしていたから、ほとんどソフィに会ってないな。


 メイベルに呼ばれてカフェにやってきたソフィはご機嫌斜めだった。

「お久しぶりです、お兄様」

「あ、ああ、久しぶり」


「事情はお父様から聞きましたから、仕方なかったのは分かっています。でも寂しかったですし、事情はお兄様から直接話してほしかったです」


「ごめんね。でも簡単に話せるような内容じゃなくて」

「それも分かっていますわ。でもリアムたちも知っていたようですし」

「いや、それはその」


「私も古老さんのお陰で少しは魔法を使えるようになっています。お兄様のお役に少しは立てますから、私にも話してください」

 ソフィの魔法は少し使えるというようなシロモノではない。


 今回、父上がソフィに事情を話したのは、もう妹を子ども扱いしないということなんだろう。

 これからはきちんと事情を話したほうが良さそうだ。


「分かった。次からはソフィにもきちんと話すことにするよ」

「ええ。何かあったときにどうか一人で背負い込まないでくださいね」

 やれやれ、妹にも心配をかけていたのかな。


 それからテオもやってきて、5人でカードゲームをした。

 思った以上に盛り上がり、久しぶりに楽しい時間を過ごせた。


 意外だったのはカーペンターが勝負に負けたときに「たまには年長者を立ててくれてもいいんじゃないか」とテオに冗談を言って、「負けても年上らしく余裕をみせてください」とテオも応じていたことだ。


 特に生真面目なテオが冗談を言うのには驚いた。

 ゲームとかをすると、よく知っている人でも普段は見えない側面が見えるのは興味深いよね。



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