表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/103

第93話 湖の中の島

「私も一緒に行ってよろしいでしょうか?」

 湖の中の島に転移すると言ったら、アウラスニールが同行を申し出てくれた。


 地脈はエルフにしか感じ取れないから、エルフの誰かと一緒に行く必要がある。エルフの中から一人となると、探索隊長のアウラスニールは適任だ。


「護衛として私も同行したいのですが」

 オフィーリアは責任感が強い騎士だ。

 初めて行く島は危険がないとは言えない。


 うーん、どうしよう。

 これまでやったことはないけれど、感覚では三人一緒でも転移できると思う。


「それじゃあ三人で行こう」

 僕はアウラスニールとオフィーリアと手をつないだ。


 島には木が茂っているけれど、ところどころに開けた空間がある。

 湖岸から見える空間に意識を集中して生産スキルを発動する。


 スキルが発動すると、次の瞬間には島にいた。

 どうやら目指していたスペースにうまく転移できたようだ。

 それに、これで三人でも転移できることが分かった。


「これが転移魔法ですか。まさに救世主様の御業です」

 アウラスニールは大袈裟に僕を褒めた直後、目を見開いた。

「おお、これは!」


「救世主様、この地には地脈の力が溢れております。この島に地脈のクロスポイントがきっとあります」

 おお、ついに地脈のクロスポイントが見つかりそうだ。


 アウラスニールは島の中央の方により強い地脈の力を感じるようだ。

 先頭にアウラスニール、真ん中に僕、殿がオフィーリアという隊列で、島の中央に向かって進む。


 木が邪魔になるときはアウラスニールの魔法で木にどいてもらう。エルフが一緒にいてくれると森の探索は楽になるね。

 しばらく進むと、僕らは島の中央にある広場に着いた。


 どうして広場になっているんだろう?

 人の手が入っている感じはないけれど、木はなくて草花が生えている不思議な場所だった。


 広場の真ん中まで進むと、アウラスニールは膝をついて空を仰いだ。

 「おお、女神よ」

 祈りを終えて立ち上がった彼は、感動した様子だった。


「救世主様、オフィーリア殿。ここが地脈のクロスポイントです。間違いありません」

「良かった。今回は発見できないかと思ったよ」

「ついに辿り着きましたね」


 僕らは湖岸に転移して戻った。

 みんなが駆け寄ってくる。

「地脈のクロスポイントは湖の中の島にあった」


 アウラスニールの言葉に、エルフたちは喜ぶというより、ほっとした様子だった。中には座り込む者もいる。

「これもエルフの探索隊のみんなが頑張ってくれたおかげだ。ありがとう」


 そして、ここまで来られたのは、休暇を取って同行してくれた騎士たちの助けも大きい。

「騎士のみんなにも感謝を。ここまで付き合ってくれて本当にありがとう」


「ウィリアム様、御礼を言われるようなことじゃあねえです。道中でエルフたちと話したんですが、彼らは人類のために困難な使命をずっと果たしてきたんですぜ。俺たち人間も少しは手伝わねえとバチが当たるってもんです」

 

 ああ、ジェームスはやはり立派な騎士だな。

 周りの騎士たちも頷いている。


 その様子を見て、エルフたちは嬉しそうな顔をした。

 こうやって人間とエルフの間に信頼関係ができていくといいな。


 ついに探索は終わった。

 もう湿地から離れても大丈夫だ。

 湖岸から大きく離れ、乾いた土地まで移動する。


 湿地で繋がれていると虫が寄ってきて嫌だったみたいで、心なしか馬も喜んでいる気がする。


「ああ、乾いた地面だ」

「ようやく湿地とおさらばできます」

 騎士もエルフも喜んでいる。



 一息入れたところで、湖の中の島の様子について、みんなに話した。

 アウラスニールによると、地脈のクロスポイントのあたりが広場になっているのは、地脈の力が強すぎて普通の木は育つことができないためらしい。


「いいか、無事にフェアチャイルド領に戻るまでが遠征だ。みんな気を抜くんじゃねえぞ!」


 みんなのほっとした様子を見て、ジェームスは檄を飛ばした。

 そのとおりだな。全員が無事に戻ることが大切だ。


 いつものように温かい紅茶のポットを差し入れると、僕はオフィーリアと工房に向けて転移した。

 ノーザンフォードに戻ると、やはりほっとするな。


「オフィーリア、お疲れ様」

「ウィリアム様もお疲れ様でした。館に戻られますか?」


「いや、今日はエルフの森に寄って報告してからうちに戻るよ。クロスポイントの発見を早く伝えるべきだと思うから」


「そうですね。では私は辺境伯閣下にご報告しておきましょうか?」

「ありがとう、お願いするね」

 オフィーリアが部屋から出ると、僕はエルフの森に転移した。


「うわ、救世主様。分かっていても驚きますね」

 エルフの隠れ里の広場に転移すると、近くにいたエルフが驚いた。


「ごめんね、驚かせて。今日は急いで知らせたいことがあったんだ」

「嬉しそうなお顔をされてますから、きっと良い知らせですね。族長と古老を呼んできます」

「ありがとう」


「ウィリアム様、よくいらっしゃいました」

「ああ、ルーセリナに古老さん。急に転移魔法でお邪魔してすみません。でも、早く伝えたかったんです」


「といいますと?」

「地脈のクロスポイントが見つかりました」


「まあ、素晴らしいニュースです」

 ルーセリナは緑色の大きな瞳を輝かせて喜んでくれた。


「ありがとうございます、救世主様。これで世界樹を成長させる道筋が見えました」

 古老さんは冷静な口調だけれど、ほっとした様子がうかがえる。

 広場に集まったエルフたちは歓声を上げた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ