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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第84話 王女の報告と国王の推測

※今回は国王エドガー2世の視点です。ウィルの両親が世界樹を見たのと同じ頃、王女フローラが王都に着いたときのエピソードです。


 娘のフローラがフェアチャイルド領から戻ってきた。

 王家を代表して辺境伯家に感謝を伝えるために向かっていたのだ。


 自分を否定してばかりだったあの子が自分から行きたいと言ってきたのには驚いたが、嬉しいことだった。


 ウィリアム君に会って商業スキルの良さを知ってから、フローラは別人のように明るくなっている。


 フローラと同じくルイーズ妃の娘のエリザベートは、塞ぎ込む妹のことをずっと心配していたから、フローラの変化を喜んでいたな。

 きっと亡くなった母のルイーズも天国で安心したことだろう。


 ウィリアム君の功績は国王として評価しているが、娘を明るくしてくれたことに親として本当に感謝している。


 ノーザンフォードから戻ったフローラは、護衛として同行した近衛騎士団のオーギュスト副団長と一緒に報告に来た。


 長旅の疲れもあるだろうに、生き生きした顔をしておるな。

 どうやら娘にとって良い旅だったようだ。


「お帰り、フローラ。ノーザンフォードへの旅はどうだったかい?」

「おかげ様で実りの多い旅でした。フェアチャイルド家のご家族をはじめ、ウィリアムさんの工房の皆さんも温かく迎えてくれました」


「それは良かった。オーギュストもご苦労だったな」

「もったいないお言葉にございます」


 まずは公式な役目の報告がある。


「ノーザンフォードの夏至祭ではお父様から託された言葉を伝えて参りました」

「街の広場に集まった群衆は辺境伯家が王家から感謝されたことを非常に喜んでいる様子でした」


 フローラの説明をオーギュストが補足する。

「陛下の辺境伯家への感謝の気持ちは西部の民に十分に伝わったかと存じます」


「フローラ殿下はこれまで王家の公式の使者としてお話しになる機会は多くありませんでしたが、堂々たるご態度でした」

 ふむ、フローラはしっかり話をしてきたようだ。


 さらにフローラとオーギュストにはウィリアム君がどのような人物か見ることも頼んでいた。

 その結果も二人は報告してくれた。


「街を歩いているとウィリアムさんに手を振る領民もいましたし、工房のスタッフにウィリアムさんは慕われていました」

「そのとおりでございます」


「ウィリアム殿の率いる工房が古い建物を改修し、道路を整備したことで町が豊かになったとの声も多く聞かれました。ウィリアム殿の評判は非常に良いと存じます」


「そうか。あれだけの業績を挙げているからな」

「それもございますが、領民や工房の職人たちとのやり取りを見ましても、ウィリアム殿は相手の身分に関係なく気さくに話し、偉ぶったところがありません」


「そのような態度が民に人気のある理由かと存じます」

「なるほど、相手の身分や立場で態度を変えず、業績を鼻にかけるところもないのか。若いのに落ち着いているな」


 普通の若い者は業績を挙げれば自信家になるものだが、ウィリアム君は謙虚なようだ。

 そういえば、王都で会ったときにも年齢の割に老成した印象であった。


「ウィリアムさんの業績といえば、私の滞在中に風の力で小麦粉を挽く風車というものを創り出しました。とても大きなものですのに、あっという間に作られたので驚きましたわ」


「何と、また新しいものを創ったのか?」

「はい、私も驚きました。あの風車なるものは従来の水車に比べて多くの小麦を挽くことができる画期的なものでございます」


 ウィリアム君のものづくりは止まらないようだな。

 人柄の良さも確認できたことだし、貴族たちに内政に目を向けさせるために引き上げて良いだろう。


「他に気付いたことはあるかな?」

「ウィリアムさんは他の種族と良好な関係を築いていますわ」

 他の種族?


「お弟子さんのドワーフは樹海から逃げたドワーフたちにウィリアムさんが家を建てたことに感謝していましたし、エルフからも厚く信頼されていましたわ」


「エルフたちの隠れ里にお邪魔したのですけれど、ウィリアムさんからの紹介だから歓迎すると族長は言っておられました」

「そうか、ドワーフに加えて人間を避けるエルフからの厚い信頼か」


「はい、ウィリアム殿はドワーフからもエルフからも厚い信頼を得ていると私も感じました」

「それは非常に驚くべき話だな」


 ドワーフと良好な関係を築くことはまだあり得るとして、人間を避けるエルフがそこまで人間を信頼するのは、通常ではあり得ない。


 だが、救世主が現れるとエルフの一族がそのもとに参集して支えると王家には伝わっておる。ウィリアム君が救世主であるなら自然な態度ということになる。


 そして若いのに老成していることも、外の世界の知識と記憶を持って転生してくれば、この世界では子どもであっても大人の記憶も持っているのだから驚くようなことではない。


 「救世主は剣や魔法の力で闇の軍勢を打ち払わん」と伝わるが、ウィリアム君は生産スキルで闇と対抗する救世主なのではないか。

 その救世主が我が王国に生まれたとすれば喜ばしい。


 だが救世主が現れたのであれば、闇の力も強まっているということでもある。

 ドワーフもエルフも樹海から脱出したからには、樹海の魔物の脅威は増大しているはずだ。


 これは、わが王国でも魔物の脅威が大きくなると考えるべきだろうな。

 樹海はわが王国の最大の脅威だが、そのほかにも魔物の出る領域はいくつかある。


 これまで、ウィリアム君の付与魔法が知られると、我が国の戦力が向上することで他国を警戒させかねないと思い、樹海の魔物に備えるフェアチャイルド家騎士団以外には配備せずに保管していた。


 だが魔物の脅威に対応できるよう、近衛騎士や王国騎士たちにも身に着けさせたほうが良いだろうな。



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