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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第83話 両親と世界樹

 父上には、僕の正体を話した後にテオとオリヴァーが救世主の使徒であることも話した。

 二人には僕から父上に説明することは伝えていた。


「テオもオリヴァーも僕が頼んだから黙っていたので、責任は僕にあります」

 父上に頭を下げる。


「やれやれ、まだそんなことを言っているのかい? それはもっと早く打ち明けてくれたらと思うけれど、言い出せなかった理由は分かったからもういいんだ」


「むしろテオとオリヴァーの二人が秘密を共有してウィルを支えてくれていたことをありがたく思うよ」

 やはり父上は優しい。


 それから母上にも同じ話をしたら、父上と同じように怒り、怒った後で抱きしめてくれた。

 思えば母上と父上は違うようで根本的なところは似ている。


 本当に僕にはもったいない良い両親だ。

 父上も母上も世界樹と石板を見ることを希望したから、そのことをルーセリナと古老さんに連絡した。


 ちなみにエルフの森に手紙を出すときは、フェアチャイルド家の家臣が森まで行って、決められた場所に置いてくる。


 日程が決まると、父上と母上と一緒にエルフの森を訪ねた。

 父上も母上もエルフの隠れ里に来たことはある。

 里に着くと、族長のルーセリナと古老さんが迎えてくれた。


 手紙に事情は書いておいたけれど、改めて僕の正体を両親に話したことを伝えると、古老さんは両親に謝った。

「辺境伯閣下ならびに辺境伯夫人、これまでお話をせずにいて申し訳ありません」


「いや、頭を上げてください古老殿。ウィルが黙っていてくれるよう頼んだのですから、私たちに謝ってもらう必要はありません」

「そのとおりですわ、古老さん」


 僕が黙っていたせいでルーセリナと古老さんにも心理的負担をかけていたかもしれない。いろいろと反省することは多い。

 それから両親もエルフの隠れ里の奥に案内された。


 古老さんが大木の前で魔法を唱えると、大木の洞に入り口が現れる。

「まあ、不思議な魔法なのですね」

 母上は魔術スキルを持っているからエルフの魔法の異質さが印象深いようだ。


 大木の洞をくぐると、色とりどりの花が咲き誇っていた。

「これは驚いた。何と美しい場所なんだ」

 父上は感嘆した。


 そして花園の中央には一本の若木が立っている。

「この若木が世界樹ですか? 神々しい感じが伝わってきますわ」

「はい、私たちが代々護ってきた世界樹です」


 そして古老さんは世界樹の石板を見せ、古代の言葉で何と書いてあるのかを両親に説明してくれた。


「なるほど、7人の使徒がいるのですか。そのうち二人はテオとオリヴァーなのですね」

「残りの使徒はまだ見つかっていないということかしら?」


「見つかっていないか、あるいは覚醒していないのだと思います。テオドールもオリヴァーさんも救世主様の近くにはいましたが、覚醒して初めて石板に名前が現れましたから」


「まあ、そうなのですね。身近な者が覚醒することがあるのなら、家族が使徒になることもあるのでしょうか?」

「いいえ、救世主様のご家族が使徒になった例は聞いたことがありません」


「私の知る限り、救世主様に忠誠を誓った者か、伴侶として共に生きる決意を固めた者が使徒になるようです」


 そうだったんだ。

 でも言われてみると、エディ兄上やソフィが使徒というのは違和感がある。


 古老さんからは、さらに衝撃の発言があった。

「ただし救世主様の影響を受けて、ご家族の能力は高くなるかもしれません」


「そうすると、ソフィアが稀有なトリマギアであることは兄のウィルが救世主である影響なのでしょうか?」

「その可能性はあると私は考えています」


「なるほど、エディの剣の才能が凄いのも、ウィルが救世主だからかもしれないのですね……」

「いや、兄上とソフィの能力は二人の努力の結果だと思います」


「ああウィル、心配しなくていい。もちろんエディとソフィが努力していることは知っている」

 父上は慌てて否定した。


「ただね、ウィル。努力だけでは能力は伸びないんだよ。二人とも桁外れに強力なスキルを持っているから、もしかして何かあるんじゃないかとメアリーと話していたんだよ」


「そうよ。それに能力が下がるのならともかく上がるんだから、ウィルちゃんは心配しなくていいわ」

 そう言ってもらえると気持ちが楽になるな。


 両親に世界樹を見せた次の日、エルフの探索隊に同行する騎士団の有志たちにも事情を話した。


 父上と相談して、僕の正体は騎士たちとスミスなど主だった家臣には伝えることにしたんだ。

 騎士たちは口が堅いし、事情を知ってもらったほうが、いろいろと動きやすい。


「ただ者じゃねえってことは分かってやしたが、救世主とは恐れ入りやした」

 いつも冷静なジェームスが珍しく驚いた。


「ウィリアム様が救世主ですか。物凄いものを作ってこられたので普通の人じゃないとは思ってましたが。救世主様にお仕えできるなんて名誉なことです」

 ギルバートは前向きに受け止めてくれた。


 ポジティブシンキングなのはギルの良いところだ。

 他の騎士たちも何かあるとは思っていてくれたらしく、ありがたいことに切り替えは早かった。


 前世の世界と違って、この世界は不思議なことがあるという前提でみんな考えているからかもしれない。


 それから、形の上では休暇を取って行っても、未開地でケガや病気になった場合は仕事中と同じ扱いにすると父上が判断してくれたことを伝えた。


 そしてミスリル装備を渡したことも父上が追認してくれたので安心してほしいことも話した。

「ここにいる奴らはみな覚悟を決めてきてやすが、そうしてもらえると安心です」


 出発の日、探索隊のエルフたちと有志の騎士たちは一緒に装備や持ち物を確認していた。

 持って行く食料は堅いビスケットや干し肉だ。


 エルフたちはいろいろな種類のドライフルーツも準備しているけれど、できればもう少し美味しい物を食べさせたいな。


 南の未開地の北部は草原だし、速く動けるように探索隊は馬に乗って行く。

 馬を買うお金は僕が出した。

 陛下からの褒賞金もあるし、工房の活動でお金は貯まっている。


 みんな最初は遠慮したけれど、それくらいのことはさせてほしい。

 準備を済ませると、ついに探索隊は出発した。

 僕はルーセリナや古老さんと一緒に、彼らの姿が見えなくなるまで見送った。



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