表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/102

第79話 風車を作ろう

 フェアチャイルド辺境伯領は二年続けて豊作だったから、たくさんの小麦が領都ノーザンフォードに集まってくる。


 それは嬉しいことだけれど、小麦を粉に挽くのが追いつかないという声も聞こえてきた。


 明日は夏至祭だ。

 フローラ殿下は王家を代表してスピーチをすることになっているので、今日は休まれている。


 母上はレティも呼んで何か打ち合わせをしていて忙しそうだ。

 でも僕は夏至祭に参加はするけれど、たいした役割はないから暇だ。

 そんなわけで今日は、小麦を挽く風車を作ることにした。


 アルビオン王国では小麦は主に水車で石臼を回して挽いている。

 もちろん人力で挽くのに比べれば速いけれど、そこまで大規模なものではないし、当たり前だけど川が近くにないと水車は使えない。


 今は旱魃で川の水量が減っているという問題もある。

 その点、風の力で小麦を挽く風車なら、水車よりも大きいから大量の小麦を挽けるし、水のない場所でも風さえ吹けば稼働する。


 元の世界では確か11世紀くらいに製粉用の風車がイギリスで作られたけれど、この世界には風車は無かった。


 僕はノーザンフォードの郊外で風が強く吹く丘に向かった。

 風車を作る場所は、家令のスミスに相談して選んである。

 テオと工房の職人さんが何人か付いてきてくれた。


 それから今回はオリヴァーに協力してもらっている。

 風の力で石臼を回す仕組みは想像がついても、元の世界で風車の内部の仕組みを見たことはなかった。


 だから、きちんとイメージする自信をもてなかった。

 その話をすると、オリヴァーがアカシックレコードに接続して設計図を見つけてくれた。


 設計図を見つけても印刷できない。けれどオリヴァーは絵が上手いから「こんな感じでした」と描いてくれた。

 絵の上手いオリヴァーだからこそできる芸当だ。


 丘の上に着くと、収納魔法で運んできた木材や石材、鉄を出す。

 さあ始めようかと思ったら、一台の馬車がやってきた。


 誰が乗っているのかと思ったら、中からなんとフローラ殿下とオリヴァーが降りてきた。


「フローラ殿下、今日はお休みなのでは?」

「ええ、そうですわ。でもウィリアムさんが新しいものを作ると聞いて、オリヴァーさんに連れてきてもらったんです」


「ということですので、ウィリアム様はいつもどおりに作ってください」

 いやいや、オリヴァー。殿下に見られていると思うと緊張するよ。


 意外な展開になったけれど、気持ちを切り替えて風車づくりに集中しよう。

 元の世界でみた風車を思い出す。


 オランダのキンデルダイクの水辺に並ぶ大きな風車はまさに絵になる風景だった。

 その風景をPCの壁紙にしていたこともある。


 ただしキンデルダイクの風車は灌漑用だから、内部はオリヴァーの描いてくれた設計図をもとに思い浮かべる。


 羽根で風を受けて石臼を回し、小麦を挽く風車をイメージして集中する。

 大きなものだから、家と同じようにしばらく集中を続ける。


 やがて生産スキルを発動すると温かい光が材料を包み、魔力がごっそり抜けていく感覚がした。

 温かい光が消えると、そこには風車が建っていた。


「凄いですわ!こんな大きなものを簡単に作れるのですね!」

 振り向くと、フローラ殿下が驚いて大きな目を見開いていた。

「いや、たいしたことでは……」


「いやいや、たいしたことですよ。ほんとに何度見てもウィリアム様の生産スキルは破格です」

 オリヴァーの言葉に周囲の職人さんたちも頷いた。


 そうかなあ、前世の記憶があるのは僕の能力じゃない。

 まあ魔力量が人並み外れている自覚はあるけれど、感心されると照れくさいな。


 少しすると風が吹き始め、風車がゆっくりと動き出した。

「動きました! こんなに大きくて重そうな羽根が動くなんて、風の力は強いのですね」


「ええ、殿下。風の力は強いですから、水車よりも多くの小麦を粉に挽くことができます」


 そのあとで風車をもう二基作った。消費する魔力量が多くて、それ以上は無理そうだ。

 テオも一基作ってくれたけれど、それが限界のようだ。


「うーん、二人で一日に四基が限界かな」

「限界だなんて。こんな大きなものをいくつも作れることに驚きますわ」

 殿下の言葉に職人たちも頷いた。


「相変わらずウィリアム様とテオさんは無茶苦茶ですが、風車が普及すれば小麦を挽く費用を下げられます。そうすると小麦粉が安くなり、パンも安く売れますね」


「なるほど、ウィリアムさんたちのものづくりは民の幸福につながるのですね。素晴らしいですわ」

 殿下に生産スキルを褒めてもらえたのは嬉しいな。



 早いもので今年も終わります。

 「生産スキルで内政無双」を読んで頂き、どうもありがとうございます。

 今年は本作を書籍化することができて、筆者にとっては嬉しい一年になりました。

 仕事と執筆の両立に四苦八苦する中で書籍化作業に追われ、しばらく「なろう」での更新をお休みしていましたが、再開後に多くの方に読んでもらえて、とても嬉しく思います。

 書籍版も、どうぞよろしくお願いいたします。


 来年最初の更新は元旦の予定です。

 どうぞ皆様、良い年をお迎えください。

                      スタジオぞうさん


 挿絵(By みてみん)


カドカワBOOKS公式サイト

https://kadokawabooks.jp/product/seisanskill/322507000810.html



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ