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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第69話 魔核の浄化


 魔狼や魔猪が倒れた場所に何かが落ちている。

 近づいてみると、不思議な玉があった。

 浅層の魔物は倒すと溶けるように消えて何も残らないのだけれど。


「これはなんだろう?」

「それは魔核と呼ばれるものです」

 ルーセリナが教えてくれた。


 騎士団が強くて心配は無用だったと言いつつ、ルーセリナはずっと僕の側にいる。

 いざとなると護ってくれるつもりなのかな。


「ルーセリナさん、魔核とはなんですか?」

「はっきりとは分からないのですが、お祖母様は悲しみや苦しみといった人の負の感情が集まったものではないかと考えています」


 それはまた重要な情報だ。

 魔核を手に取ってみると、確かにネガティブなオーラが感じられる。

 でもその裏には何かがあるような気もする。


「持って帰ってもよいですか?」

「これまではその場で壊していたのですが、ウィリアム様がそうしたほうが良いと思われるのなら」


「ありがとうございます」

 取り敢えず三つばかり収納魔法で持って帰ることにした。


 今回は鉱脈は見つからなかったけれど、初めての中層の探索だから無理をせず引き上げた。

 樹海を出たところでエルフたちと別れ、うちに戻る。

 

 辺境伯の屋敷に着いたらすぐに、リアムと一緒に父上に状況を報告する。

「そうか、新しい装備があれば中層の魔物に苦戦せずに勝てたのだな。しかも、魔狼の爪は鎧で防げたと。それは画期的なことだ」


「そうですな。ウィリアム様の付与魔法は凄いものです」

「いや、僕はリアムの剣技に驚きましたよ。それにドワーフの鍛冶師が鍛えてくれたからこそ、剣の切れ味がいいんです」


「ははは、リアムは西部で一番の騎士だからね。ドワーフの鍛冶師の腕がいいのも確かだ。それでもウィルの貢献が大きかったのは間違いないよ」

 父上は嬉しそうに僕の肩をポンと叩いた。


「リアム、これまで我々は樹海から出てきた魔物を迎え撃つのが基本で、樹海に入っても浅いところまでだったな」

「はい。魔猪や魔狼に出会ったら損害覚悟で死闘をするか、逃げるかしかできませんでした」


「そのどちらも死傷者を出すことなく倒せたのだ。これで樹海の情報をもっと得ることができるし、こちらから樹海にある程度攻め込むことができる。陛下にも報告しよう。きっとお喜びになるだろう」


「陛下に報告するのですか? もしかして僕の付与魔法も?」

「そうなるな」

「あまり目立つのは避けたいのですが」


「あはは、それは諦めたほうがいいかな」

 僕は辺境でのんびりしていたいんだけどな。

 でも樹海の中層で魔物と戦って、怪我人も出なかったのは嬉しい。


 これなら樹海から出てきた魔物の討伐も、より安全にできるだろう。

 それから気になるのは魔核だ。

 自分の部屋に戻ってから、収納魔法で持ってきたものを出してみた。


 やはり何かが秘められている気がする。

 こんなときは、物知りの古老さんを訪ねよう。


 翌日、僕はエルフの隠れ里を訪れた。

 まず、ルーセリナの率いるエルフの一隊が樹海中層の探索に同行してくれたことに御礼を言う。


 そのあとで魔核のことを古老さんに話した。

「ふむ、魔核が気になるのですか。これまでは不吉だと壊されていたものですが」


「根拠はないんですが、魔核には秘められた何かがあるような気がするんです」

 古老さんと話していると、ルーセリナがはっとした顔をした。


「あっ、世界樹が呼んでいる気がします」

「おお、ルーナも世界樹の意思を感じられるようになってきたのだね。それは重畳じゃ。では救世主様、世界樹のもとへ参りましょう」


 古老さんが大木の前で呪文を唱え、僕らは世界樹の花園に入った。

 色とりどりの花が咲き誇っている。

 いつきても幻想的な場所だ。


 世界樹の聖域に入ると、なんとなく世界樹に呼ばれたような気がして、僕は魔核を持って世界樹に近づいた。

 すると、魔核が震え始めた。


「うわ!」

 驚いて魔核を落としそうになる。

 何が起きているんだろう?


 震える魔核を見ると、不気味な黒い色が少しずつ薄れていき、綺麗な緑色になっていった。

「これは一体?」


「おそらく世界樹が魔核の闇を浄化したのでしょう」

「はい、私にもそのように感じられました」


 二人がそう言うのなら、きっとそうなんだろう。

 どうやら世界樹は闇を浄化する力もあるようだ。


 手の中の魔核だったものを見ると、負のオーラではなく正のオーラが感じられるようになっている。

 試しに鑑定してみると、『魔核(浄化済み)』と出た。


「古老さん、ルーセリナ、鑑定したら魔核(浄化済み)と出ました」

「浄化済みの魔核ですか。それは初めて聞きました」

「古老さんもご存じないんですか」


 今は何に使えるのかわからないけれど、そのうち役に立ちそうな気がする。

 取り敢えず新しい工房の地下の保管室に入れておこう。


 中層の探索はその後も続けられた。

 やがて銅や鉄の鉱床が発見され、領内の鉱山関係の魔法師たちが招集される。


 鉱山魔法師たちは精練の魔法が使えるから、元の世界のように精練の過程で鉱毒が出るようなことはない。やはり魔法は便利だ。


 ただし、鉱石を樹海の外に持って出るのは簡単じゃない。

 鉱脈は地面に露出しているから露天掘りができるのは良いけれど、重い鉱石を持って、魔物の出る樹海を輸送するのは危険だ。


 でも鉱石の輸送も魔法で解決だ。

 収納魔法は手を触れると亜空間に収納できるから、鉱石を運ぶこともできる。


 テオと僕は収納量が多いので、何度か頼まれて鉱石輸送の手伝いに行った。

 父上はちゃんと報酬をくれたので、輸送のお手伝いでも結構な収入になった。


 樹海から産出した鉱石は、幸いにも銅も鉄も品位の高い鉱石だったようだ。

 しかも埋蔵量はかなりあるらしい。

 これでまた領内経済が振興できると父上は喜んでいた。




 新作の短編「小人の宝石工房」を書きました(https://ncode.syosetu.com/n4565ln/)。

 両親を亡くした少女が小人たちに形見の指輪の修理を依頼するというお話です。

 主人公は最初は苦労しますが、ハッピーエンドです。少し淡くて温かいストーリーを目指しました。もし良かったら、読んでみてください。

 書籍版の「生産スキルで内政無双」も、どうぞよろしくお願いいたします。

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