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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第62話 二人目の使徒

「オリヴァー、大丈夫かい?」

 僕は駆け寄った。

 息はしている。でも答えはない。


 気絶しているのだろうか?

 それとさっき光ったような。


「お祖母様、これは……」

「うむ、これはきっと使徒として覚醒したのだろう」

 古老さんは石板を確認しにいった。

 

 しばらくしてオリヴァーは気が付いた。

「僕は、一体、何が……」

 やはり混乱しているようだ。


「ここで急に倒れたんだ。頭を打ったりしてない?」

 心配して問いかけたけれど、オリヴァーはしっかりした口調で答えてくれた。

「大丈夫です、ウィリアム様。ご心配をかけました」


「無事なら良かった。それにしても何があったのかな?」

「それが、急にものすごい量の情報が頭に流れ込んできて意識を失ったようです」

 ものすごい量の情報? どういうことだろう。


 そこに古老さんがやってきた。

「救世主様、オリヴァー殿は使徒として覚醒したようです」

「そうですか、やはりさっきの光は覚醒したときのものだったんですね」


 オリヴァーは怪訝な顔をしている。無理もない。

「救世主様、よろしかったら世界樹の前でオリヴァー殿に事情を説明しましょうか」


「ええ、古老さん、お願いします。オリヴァー、今から事情を説明するからついてきてくれるかい?」

「はい。分からないことばかりですから、説明してもらえると助かります」


 古老さんが大木の前で呪文を唱えると、木の洞に入り口ができる。

「これはまた驚きです。でも、いちいち質問しないほうが良いのでしょうね」

「そうだね。ひととおり説明を聞いてから質問してくれると助かる」


 そして僕らは世界樹の前に出た。

「なんと美しい……」

 オリヴァーは陶然とした。


 世界樹のある空間には色とりどりの花が咲き誇っている。

 何度見ても幻想的な美しさだから、オリヴァーがうっとりするのも分かる。


「それでは説明しましょう」

 世界樹の前で古老さんはオリヴァーに使徒とはどんな存在なのか説明してくれた。


 頭の良いオリヴァーは説明をすぐに理解した。

「なるほど、ウィリアム様は闇から世界を救う救世主で、僕はウィリアム様を支える使徒の一人になったのですね」


「なんだか巻き込んでしまって済まない」

「いえ、とんでもない。剣でも魔法でもなくものづくりで世界を救う救世主を支えるとは、とてもやり甲斐があります」


 僕が詫びると、オリヴァーは即座に否定した。

「僕の商業スキルはお役に立てると思います。ものづくりに必要な素材を取り寄せたり、ウィリアム様がお作りになるものを売って資金にできます」


 そんなふうに前向きに考えてくれるのはありがたい。

 そして使徒として覚醒したからには、オリヴァーは非常に強い忠誠心を持ってくれている。


 古老さんが持ち上げた世界樹の石板には、新しい文字が浮かんでいた。

 古代エルフ語を僕らは読めないので、古老さんが翻訳して読み上げてくれる。


「一人は道化師。ジェスターのごとく直言し、ジョーカーのごとく切り札とならん。深き智恵と異世界の知識をもって救い主を補佐せん」


 なるほど、オリヴァーは必要だと思えば僕に遠慮せずに話してくれる。宮廷道化師(ジェスター)は王に無礼なことを言っても許されるから諫言役となり、優秀な人が就いていたと聞いたことがある。

 「深き智恵」も頭の良いオリヴァーに似合う言葉だ。


「オリヴァー殿、この石板に触れてくれますか?」

「はい。不思議な雰囲気のある石板ですね」

 オリヴァーが触ると、石板に新たな文字が浮かぶ。

 

 その文字を見て古老さんは驚いた。

「なんと! 使徒としてのスキルがアカシックレコードとは。あれに触れて貴方は大丈夫だったのですか?」


 アカシックレコードとは、世界のあらゆる情報が記録されたものだったか。

 そうか、オリヴァーが倒れたのはアカシックレコードに接続して大量の情報が脳に流れ込んだからか。


「確かに脳が焼き切れるかと思いました。ですが、僕はこう見えても商業スキルでは人後に落ちないつもりです。情報を処理する能力は人より高いと自負しています」


「オリヴァー殿は商業スキルの持ち主でしたか」

「はい。それに僕は興味の有無がはっきりしていますので、興味のない情報は無視することができます」


「なるほど。それにしても、あれに触れて正気を保てるとは素晴らしい。実はかつてアカシックレコードのスキルを得たエルフがいたのですが、残念なことに発狂してしまいました」


 発狂だって? アカシックレコードはそんな危険なスキルなのか。

「救世主様、この世の森羅万象が記されたアカシックレコードに接続できることは極めて重要です。オリヴァー殿はまさしく逸材。貴方様の切り札となるといえましょう」


「なるほど、切り札だからジョーカーですか。しかし、そんな危険なスキルを使ってオリヴァーは大丈夫なのでしょうか?」


「大丈夫です。ウィリアム様。商人は情報が命です。その情報をこんなふうに得ることができるなんて夢のようです。ぜひこのスキルは使わせてください」


「オリヴァーがそう言うのなら止められないけれど、くれぐれも無理はしないでほしい」

「ご心配頂き、ありがとうございます」


「うん、気を付けて。ところで、異世界の知識というのは何だろう?」

「それはですね、どうやらアカシックレコードにはこの世界に加えてウィリアム様がいた世界の情報も記されているようなんです」


「じゃあ異世界というのは僕のいた世界のことか」

「ええ、さっき気を失う前に商業関係の情報をちらっと見たんですが、この世界よりずいぶん進んでいるようですね。ブランディングというのは素晴らしい考え方ですね。ぜひうちの工房でも導入しましょう」


「うわ、懐かしい言葉だよ。オリヴァーは本当に僕のいた世界の知識が得られるんだね。それはまた」

「チートとおっしゃりたいのでしょう、あちらの言葉で」


「よく分かったね。そんな言葉まで一瞬で覚えたんだ」

「ええ、確かにこれはチートスキルですよ」




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