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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第51話 石鹸をつくろう

 いろいろ考えた末に新しい工房のデザインを決めた。

 外観は曲線の貝殻を重ねたような感じにすることにした。

 シドニーのあの有名な建物のイメージだ。


 普通に建てると難しいだろうけれど、生産スキルなら作れる。

 ただし素材が石だと重量を支えられるか心配だから木製にした。


 元のイメージに近づけるため、木材は白い塗料で塗ってある。

 重なる貝殻の間には高価なガラスを惜しみなく使い、光が降り注ぐ明るい空間にした。


 完成した建物をオリヴァーに見せたら、期待以上に独創的だと褒めてくれた。

 工房の職人さんたちも驚いたようで、中には呆然と見上げる人もいる。


 建物の内部は、工房のみんなの希望に沿って作ってある。

 カーペンターの希望していた職人のミーティングスペースは飲食できるカフェにした。


 ゆったり座れるソファや椅子を置いてあり、紅茶とお菓子は切らさないようにするつもりだ。


 ここで良いアイデアが生まれることも期待しているけれど、何より疲れたときにはゆっくり休んでほしいな。


 メイベルの希望した女性用の更衣室は広めのスペースを確保した。

 考えてみれば、物作りをするときは汚れても良い服に着替えるから更衣室は必要だった。


 これまで気付かなくて申し訳なかったと反省している。

 この機会に元の工房にも女性用更衣室を作った。


 事務部門についてはオリヴァーの提案どおり、書類の保管棚を作り付けにした会計用の部屋を用意している。

 それから豪華な調度を置いた応接室と商談のできる会議室も作った。


 そしてテオの提案を受けて、複数の付与を付けた防具のように人に見せられない物を作るときのために、新しい工房には地下室を作った。

 そうそうないとは思うけれど、人前で光ったりすると大変だしね。


 新しいのは建物だけじゃなく、新しいスタッフも雇用する。

 会計と受付はオリヴァーがアレックス商会から何人かスカウトしてくれた。


 辺境の西部で働くことを希望する人がいるのかなと聞いたら、王都で働くことに疲れて、地方でのんびり暮らしたい人も結構いるようだった。


 新しい工房の玄関には受付の机も置いた。

 これまでは来客があると職人の誰かが対応していたけれど、事務スタッフが対応してくれる。


 これで生産スキルを持つ職人たちは物作りに専念できるだろう。

 職人も新しく雇い入れた。


「領地から生産スキルの所持者を何人か呼んでいいでしょうか」とメイベルから申し出があったので雇ったんだ。


 メイベルは恐る恐る言ってきた感じだったな。

 これまで希望があってもみんな遠慮していたんだと思う。


 もっと僕は気を付けないといけないな。

 その点でも、必要と思えば遠慮せずにはっきり言ってくれるオリヴァーの存在は ありがたい。


 工房のモノ作りの状況は、結核の治療薬と注射器はかなりの数を生産したから、王国各地に届き始めている。


 ただ、感染症の対策は治療だけじゃなく予防も重要だ。

 そして手を洗うことは予防の基本。

 だから石鹸を作ることにした。


 この世界にも石鹸はあるけれど質が低くて値段が高い。

 水で洗うだけでも菌は落ちるけれど、水がたくさん使えない地域もある。


 それに、料理をするときに石鹸で手洗いする習慣が広がれば、食中毒を防ぐことにもなるから石鹸は大事だ。


 石鹸を作るにはたいてい苛性ソーダを使う。

 でも苛性ソーダは劇薬だから火傷をしたりする危険もある。


 確か古い製造法では木の灰を使っていた。木灰は強アルカリだから苛性ソーダを代替できる。

 中でも楢や樫の木が向いていたような。


 まずは楢や樫が生えている場所を探すことからだ。

 いつものように植物に詳しいエルフの知恵を借りよう。


 エルフの皆さんに聞いてみると、樫の林が辺境伯領のあまり人の行かない場所にあることが分かった。

 樹海じゃないから簡単に取りに行けるのはありがたい。


 収納魔法で持って帰って、家具の材料の木材と端材に生産スキルで分けて、端材から木灰を作った。


 木の灰を作るといっても、わざわざ立っている木を切らなくても間伐材や端材でも良い。


 そして木灰から灰汁あくを抽出する。

 あとは植物性油脂としてオリーブオイル、動物性油脂としてラード、さらに水と塩を用意しよう。


 材料が揃ったら生産スキルにお任せだ。

 そして都合が良い感じもするけれど、副産物としてグリセリンが出来る。


 グリセリンに果糖などを加えて、グリセリンソープも作ることにした。

 グリセリンソープがあれば、透明な石鹸が出来る。


 元の世界では、透明な石鹸に香料を入れたりハーブを入れたりした物もあったなあ。

 宝石石鹸とも呼ばれていて、カラフルで可愛い石鹸だった。


 試しに薔薇とラベンダーを入れて作ってみると、元の世界と同じように綺麗な石鹸になった。

「すごく綺麗です!」


「私たちにも作れますか?」

 メイベルと女性の職人さんたちは盛り上がった。


 作り方を教えると、特にメイベルは習熟が早かった。

 普通の石鹸と違って、気分転換に使うためのアイテムだし、特に女性が買ってくれそうだ。


 透明石鹸はメイベルをチーフとした女性のチームに任せることにした。

「私に任せてもらえるのですか? 頑張ります」


 うん、メイベル。これまで会計をさせてしまって済まなかった。

 これからはモノ作りを頑張ってください。



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