表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/97

第29話 妹のスキルと新たな弟子

 秋も深まった頃、妹のソフィアは10歳の誕生日を迎えた。

 最近はすっかり成長して、賢そうな雰囲気を身にまとうようになっている。


 家族が揃う朝食でソフィーのスキルが話題になった。

「ソフィーの授かるスキルは何かな?」


「私はウィルお兄様と同じ生産スキルが良いです」

「あらあら、ソフィーちゃんはウィルちゃんが大好きですからね」


「いや、ソフィー。僕と同じスキルじゃなくて、貴族らしい剣か魔法のスキルが良いと思うよ」

「むう、剣か魔法が貴族らしいというのは古い考えですわ。生産スキルが有用であることはお兄様が証明されています」


「はは、確かに生産スキルはウィルの活躍のおかげでこれまで考えられていたより有用なスキルだと分かってきたね。

 でも、どんなスキルでも良いんだ。ソフィーらしく育ってくれればそれでいいんだよ」

 父上の言うとおりだ。どんなスキルでもいいんだと思う。


 結局、ソフィーが授かったのは魔法スキルだった。

 本人は残念そうにしていたけれど、貴族の娘としては良いスキルだと思う。

 ソフィーは魔力量も多いみたいだし、良い魔法師になれるんじゃないかな。


 数日後、ソフィーはぷりぷりと怒りながら話しにきた。

「聞いてください、お兄様。ひどいんですよ」

「どうしたんだい? ソフィー」


「私の友人、メイベルのことは覚えていますか?」

「うん、覚えてるよ。うちの近くに領地があるウッドポール男爵家の娘さんだったよね」


 男爵令嬢メイベル・ウッドポールはソフィーと同い年の幼馴染だ。

 茶色の髪で、眼鏡をかけた賢そうな子だったな。


「メイも最近十歳の誕生日を迎えたんですけど、授かったスキルは生産スキルだったそうなんです」

 おお、貴族の子としては珍しいな。


 貴族は剣術スキルか魔法スキルを持つ者を配偶者にすることが多いから、それ以外のスキルを持つ子は少ない。


「それでメイったら、私の魔法スキルが羨ましいって言うんですよ。私は生産スキルの方が良かったのに、まったく分かっていませんわ」


「いや、貴族の子としてはメイベルさんの反応は普通だと思うけど」

「お兄様が新しい麦を生み出して王家もその価値を認めているのに、生産スキルの価値を理解していないのはおかしいですわ」


 うーん、そうはいっても、剣と魔法を重視する考え方は急に変わらないだろう。貴族というのは保守的なものだし。


「私からメイにお兄さまの生産スキルの素晴らしさを説明しておきました。終わり頃には、そんなにいろんなことができるのなら生産スキルで良かったかもしれないと言っていましたわ」


 ソフィーが一生懸命説明している姿が想像できる。

 僕のために頑張って説明してくれたことは嬉しいけれど、メイベルはソフィーがあんまり頑張って話すから、最後は取り敢えず話を合わせたんじゃないかな。


 ところが、しばらくしてから父上の執務室に呼ばれて、意外な方向に話は進んだ。

「やあ、忙しいのに呼び出してすまないね、ウィル」


 執務室に入ると父上は手紙を広げた。蜜蝋の封印がしてある封筒に入っているから、おそらく貴族からの手紙だ。


「実はウッドポール男爵から書状が届いてね。娘さんの授かったスキルが生産スキルだったから、ウィルに弟子入りして学ばせてもらえないかという依頼だったんだ」

 これは驚いた。まさか本当にソフィーはメイベルを説得してしまったのかな。


 大貴族の家に周辺の貴族の子弟が剣や魔法を習うために弟子入りすることは聞いたことがあるけれど、生産スキルや商業スキルでそんな話は聞いたことがない。


「どうやらソフィーがメイベルちゃんにいろいろ話したみたいだね。でもウィルが実績を挙げて王家にも認められたからこそ、子どもを学ばせてほしいという依頼が来たんだと思うよ」

 そうなのかな?


「私としてはウィルのもとで学んでもらって良いと思うんだ。領地も近いから通うことができるしね。どうかな?」

「そうですね。私で良ければ、生産スキルを教えてあげたいと思います」


 剣も魔法もできない貴族のつらい気持ちはよく分かるつもりだ。

 少しでも僕がメイベルの力になれると良いな。

 

 父上が男爵に返信を書き、しばらくするとメイベルはフェアチャイルド家にやってきた。

「お久しぶりです、ウィリアム様。メイベル・ウッドポールです」

「久しぶりだね。メイベルさん」


「この度は私に生産スキルの指導をすることをお引き受け頂き、大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」


「こちらこそよろしくお願いします。メイベルさんは妹の友人だし、もっとリラックスしてくれて良いよ」


「お気遣い頂き、ありがとうございます。ソフィアは大切な友人です。しかし弟子入りさせて頂く以上、私のことはメイベルあるいはメイとお呼びください」

 メイベルさんは真面目だな。これからはメイベルと呼ぶことにしよう。


 改めて話してみると、メイベルは態度もきちんとした委員長タイプの少女だった。

 そして生産スキルを教えてみると、テオほどではないけれど理解が早い。きっと生産スキルのセンスがある。


 まだ子どもだけれど、工房の職人たちは僕の弟子でもあるから子どもに偏見はない。職人たちのとりまとめ役になっていたカーペンターも「メイベルは逸材ですな」と褒めた。


 貴族の子なので読み書きや計算を教育されていることもあって、見る間にメイベルは工房の主要メンバーというポジションを得た。


 僕にできる限りメイベルの生産スキルを伸ばしてあげたいけど、それ以前に工房の重要な戦力になりそうだ。


 これはもうお給料を払わないといけないな。最初は固辞していたテオも最近は給料を受け取るようになっている。

 弟子だからといってただ働きはさせないよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ