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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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閑話 国王と王女~父と娘

※ウィルが南の未開地を探索し、父である辺境伯が国王陛下のもとを訪ねたときのフローラ王女視点のエピソードです。


 フェアチャイルド辺境伯がお父様のもとを訪ねてこられました。

 今月の上旬に夏至祭から王都に戻ったばかりですが、何かあったのでしょうか?


 辺境伯とお話を終えたお父様から、話があると呼ばれました。

「お父様、私です」

 リンクスター城のお父様の執務室をノックします。


「おお、フローラか。呼びつけて済まぬな」

 執務室に入ると、お父様はいつになく真剣な顔をされていました。

 普段は冗談をよく口にされて、笑っておられるのですが。


「フェアチャイルド辺境伯からウィリアム君のことで重要な話があった。この話は他言無用だ」

 どうやら内密の話のようです。


「王女として教育を受けてきたフローラに守秘の重要性は今さら話す必要はないと思うが」

「ええ、お父様。我が王家に口の軽い娘はおりませんわ」


 そこからのお父様の話は驚くべき内容でした。


 樹海の奥で世界樹を守ってきたエルフの一族は、闇の力が強まって世界樹が弱体化したためにフェアチャイルド領に脱出したこと。


 世界樹の弱体化が最近の異常気象の原因ともなっていること。

 そしてウィリアムさんは、エルフの一族に伝承されている救世主として世界樹に認められたこと。


「重要なお話ですわね。ただ、お話を聞いて、エルフたちがウィリアムさんの言葉に従っていた理由が分かりました」


「そうだな。エルフたちは一般論として人族を忌避している。

 それなのに、まるでウィリアム君に仕えているようだというフローラの報告を聞いて、私は救世主である可能性を考えていたよ」


「そうだったのですか。ノーザンフォードでは数日間一緒に行動しましたけれど、ウィリアムさんは救世主であるような素振りはまったく見せませんでした」


「うむ。普通の少年なら舞い上がるか、逆にプレッシャーで潰れそうになるところだな。だが彼は自然体だ」


「実は我が王家には、救世主は異世界からの転生者であると伝わっているのだ。

 彼の年齢に似合わぬ落ち着きぶりは、そのためだろう」


 ウィリアムさんは異世界から転生してきたのですね。

 なるほど、前世で別の人生を生きていたなら、子どもらしくないのも自然なことでしょう。


 そして、お父様の話には続きがありました。

 ウィリアムさんは現在、南の未開地に地脈のクロスポイントの探索に向かっているようです。


 そして無事に発見できれば、エルフと世界樹を守るために彼の地の領主となることを希望していると。


「ウィリアムさんはずっと穏やかな雰囲気でしたが、そのような重い決断をしていたのですね」


「うむ。私利私欲にとらわれない立派な決断だ。王家としてもウィリアム君を支援していくつもりでいる」


「それでは私は王家とウィリアムさんをつなぐ役割を果たすよう務めます」

 お父様はふうっと息を吐きました。


「フローラは少し政略を意識しすぎるところがある。上の娘たちの結婚に政略が絡んでいるのは確かだが、結婚相手とは事前に会って、本人の気持ちを確認したうえでのことだ」


 初めて聞いた話です。

 てっきり姉上たちはお父様に命じられて嫁いだものだと。


「もちろん王家の役に立とうと思ってくれた部分はあるだろう。だが嫌な相手なら嫁がなくて良いことは念を押した」


「私は娘を道具にしないと国を運営できないほど無能ではないと自負している」

 まあ、そのようなことを考えておられたとは。

 お父様を見直しましたわ。


「ウィリアム君とどのような関係を築いていくか、私はフローラの意思を尊重するつもりだ」

「ありがとうございます」


 その晩、自分の部屋でいろいろと考えました。

 これまで自分の将来を自分の意志で決められるとは思っていませんでしたが、お父様は私の意志を尊重すると言ってくださいました。


 ウィリアムさんは不思議な人です。

 初めて出会ったとき、私よりもお菓子に気を取られていました。


 たいていの人は私が美しいと、打算あるいは下心で言います。

 お菓子に目を輝かせた人は彼が初めてでしたわ。


 ぼうっとしている感じなのに、商業スキルの良さを話すときは明晰でした。

 そしてノーザンフォードで再会したときには、既に救世主という役割を担っていたのですね。


 それなのに相変わらず穏やかで優しい雰囲気でした。

 エルフやドワーフという異種族も含めて周囲の人たちがウィリアムさんを信頼するのは、彼にはブレない強さがあるからかもしれません。


 南の未開地の領主となると苦労が多そうですが、ウィリアムさんの生産スキルならうまく開発できそうな気もします。


 それに彼は一人ではありません。

 ノーザンフォードで会った人たちの顔が思い出されます。


 フェアチャイルド家の皆さんはきっと彼を支え続けるでしょう。

 テオドールさんやオリヴァーさんなど工房のスタッフもそうですね。


 普通の貴族の令嬢は未開地と聞くと怯むものですが、きっとスカーレットさんは気にもせずに付いていくでしょう。

 私は……。



これまで毎日更新していましたが、思ったより仕事が忙しくなり、プライベートとの両立もあり、隔日更新とさせてください。次回の更新は1月28日17:30の予定です。


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