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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第98話 再び王都へ

 探索隊は無事にノーザンフォードに帰還してくれた。

 そこで国王陛下に探索結果を報告して今後のことを相談するため、僕は父上と王都に行くことになった。


 王都に行くのはこれで二回目になる。

 前回は街道を通って行ったけれど、今回は早く報告するため、非公式の訪問ということもあり、転移魔法で移動する。


 いつもは護衛の騎士たちの宿も含めて手配してくれる家令のスミスは、「いささか拍子抜けではありますが」と苦笑しつつ、「何の準備も必要ないので助かります」と感謝してくれた。


 王都のフェアチャイルド家の屋敷には、僕の転移魔法のことを知っている家臣や騎士が配属されている。


 僕らが南の未開地を探索している間に父上が、今後は転移魔法で王都に行くことが増えるだろうと見越して手を打ってくれたようだ。


「それじゃあ行ってきます」

 いつもは辺境伯の館の玄関で母上と妹に挨拶をするけれど、今回は父上の執務室から出発?する。


「行ってらっしゃい。二人とも気を付けてね」

 そう普通に話した後で、

「と言っても一瞬で王都に着くのよね。なんだか不思議な感じだわ」

 と母上は苦笑した。


「お兄様の転移魔法を側で見るのは初めてなので、わくわくします」

 妹のソフィーは転移の瞬間を見逃さないようにと大きな目をさらに見開いている。


 母上と妹に見送られ、僕は父上とリアムと手をつないで王都に転移した。

 護衛は不要な気もするけれど、思った場所とは違う場所に転移してしまうなど万一の場合に備えて、騎士団長のリアムも一緒に行くことになったんだ。


 それにしても、手をつなぐのはやはり恥ずかしい。一緒に転移するために手をつなぐのは何とかならないのかな?


 魔法で転移すると、次の瞬間には王都のフェアチャイルド家の屋敷にいた。

「おお! 本当に一瞬で跳べるのですな」

 いつも冷静なリアムが珍しく大きな声を出した。


「実に便利な魔法だよ。これを使うのがウィルで良かった。もし悪人が使っていればと思うと、ぞっとするよ」

「閣下のおっしゃるとおりですな」


 確かに使い方によっては盗みも暗殺も簡単にできるから、転移魔法は恐ろしい魔法だと思う。


 家族をはじめ周囲の人たちが、僕がこの魔法を使えることを恐れないでいてくれるのはありがたい。

 自分が周囲に信頼されていることを少しは自信にしても良いのかな。


 王都の屋敷に着くと、父上はすぐに家臣を王城に連絡に行かせた。

 しばらくして戻った家臣の報告を受けると、なんと陛下は明日会ってくださるとのことだった。


「何日かは待つものだと思いましたが」

「普通はそうだな。言っただろう、ウィル。陛下は世界樹とウィルの関わる案件を重視しておられる。前回私が来たときも翌日に会ってくださったのだ」


 恐れ多い気もする。

 けれど、世界樹の話は王国というか、世界にとって重要な案件だ。賢君と名高いエドガー二世が重視するのは自然なことかもしれない。


 翌日、フェアチャイルド家の屋敷から馬車に乗って、父上とリンクスター城に向かった。

 さすがに王城に転移魔法で行くのは差し障りがあるから、馬車で行くことにしたんだ。


 王城に着くと、前回と同じ応接室に案内された。

 豪華な部屋だけれど、二回目ともなると意外に緊張しないものだった。


 メイドさんの淹れてくれた美味しい紅茶を飲んで、そんなことを考えながら部屋の調度品を見ていると、陛下が入って来られた。


「度々来てもらってすまないな、セオドア。もっとも今回は移動に苦労はなかったかもしれないがな」


「陛下、その話は」

 宰相が陛下に注意を促す。


「そうだな。皆の者、すまぬが席を外してくれるか」

 メイドさんたちが部屋を出て行き、部屋の入口には近衛騎士が立った。


「さて、これで内密の話をできるな。セオドア、今回はウィリアム君の転移魔法で王都に来たのだろう?」

「はい、本当に一瞬でノーザンフォードから王都の屋敷に移動いたしました」


「そうか、私も転移してみたいものだ」

「陛下がお望みとあれば」


「真か? それは嬉しいな。だが私だけ転移させてもらったと知ったらフローラの機嫌が悪くなりそうだ」


 どうしてフローラ殿下の機嫌が悪くなるのかなと不思議に思ったけれど、何となく口にするのは止めておいた。


「さて、そろそろ本題に入ろうか。セオドアからの書状で大体のことは知っておるが、まずは南の未開地を探索した結果を報告してもらえるかな」


「はい、陛下。南の未開地にある大きな湖の中の島で、地脈のクロスポイントを発見しました」

「うむ、本当によくやってくれた。苦労もあったのであろう」


 何も言わなくても苦労があったと推測してくださる陛下はやはり賢君だ。

「ありがとうございます。湖の周辺の湿地を探索した際、なかなかクロスポイントが見つからず、羽虫やヒルも出るので苦労致しました」


「そうか、やはり苦労はあったのだな」

「はい、私は転移魔法で毎晩ノーザンフォードに戻れるので良いのですが、騎士たちもエルフたちも悪環境の中で、よく頑張ってくれました」


「そうだったか。ところで湖の中の島にあったとのことだが、島にはどうやって渡ったのだ?」

「転移魔法で移動しました」


 陛下は莞爾かんじと笑った。

「やはりウィリアム君の魔法で見つけることができたのだな。それでも騎士やエルフの頑張りを褒めるのだね」




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