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怪石の呼び声  作者: 石田ヨネ
第一章 瓦蕎麦の誘い
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6 刑事モノみたいにさ、鉄道に乗って、全国のけっこうな邪神やオカルトとかの事案を調べるわりには

『ああ……。まあ、俺を殺そうとしたのか、挨拶か知らねぇけど……、ああ……、あれは、たぶん、挨拶代わりみたいなものかもしれねぇな』

「はぁ、」

『まあ、てなわけでね? もしかすると、何者かが、何か、形状しがたい動機でね、何かをしようとしているかもしれないわけよ』

「……」

『そんで、とりま、さぁ? 松もっちゃんたちの方でも、ちょっと、何か調べらんねぇか? それか、いま暇してたらさ? アンタの旦那さんにでもさ?』

もとだっての、殺すぞ」

 松本は、三度目の「殺すぞ」を口にしつつ、

「まあ、分かったよ。ちょっち、こっちでも調べてみるし……、あれだったら、現地に、西京のヤツらでも送れないか聞いてみるー」

『ああ、サンキュー。頼むぜ』 


 ーーと、ここまでが回想するところである。

「――てな、感じ」

 松本は話し終えて、ソバをすする。

 それから、グラスに残った、紫色をしたドクペをグイッと飲んだ。

「何だい? それで? 僕たちに、下関に行ってきてくれって話かい?」

「うん。そだよー」

 と、松本はグラスを置いて、

「まあ、とりま、さ? うちらでも、少し調べっけどさ? 確かに、邪神や異常事象の関わる可能性も少しあるから……、ちょっち、ソバ食ったあとでもいいから、下関に向かえないかって頼み」

「え? 今から、ですか?」

 と、瑠璃光寺玉が、「嘘でしょ?」の顔をする。

「食ったあとに、ちょっとってねぇ……、山手線で一駅、二駅とかみたいな感覚じゃないんだよ?」

 西京太郎も、やれやれと呆れた様子で言う。

 まあ、確かに、せめて名古屋や大阪ならまだしも、東京から新幹線で行けば軽く6時間以上はかかる本州の端である。

 ふたりが、そう言うのも無理はない。

 そんなふたりに、松本が、

「うん。だって、そのための調査室じゃん? アンタたち」

「いや、そうだけどさぁ、君、ねぇ……」

「てか? 刑事モノみたいにさ、鉄道に乗って、全国のけっこうな邪神やオカルトとかの事案を調べるわりにはさ? 基本、お前ら二人しか人員がいないって、けっこう舐めてるよな? お前たちの調査室も」

「いや、私に言われてもね」

「とりまさぁ? そういうわけで、めんどいかもしれんけど、食ったら、行ってきてよ?」

「ああ、分かったよ……」

「それで、土産も、何か買ってこいよな」

「やれやれ、君って人は、まったく――」

 と、西京は呆れつつも、しぶしぶ頼みを受けることにした。

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