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怪石の呼び声  作者: 石田ヨネ
第一章 瓦蕎麦の誘い
4/40

4 かしこまりぃ!

 と、メガネの男は相づちしつつ、続けて、

『――ただ、のちのちの、ギリシャやローマ……、それからもっと後の時代のゴシックの大聖堂でも、石を遥か高いところまで、持ち上げれたようにですね……、クレーンというか、重量物を垂直に運搬する技術ってのは、古代から、それなりにあったんじゃないか? って、思うんですよね』

『まあ、そうだよね』

 と、坊主頭も、そう相槌しながら、

『――で? その方法で、ピラミッドの頂上まで石を積み上げていったとしてさ、その……、ピザのピースみたいな池の部分は、どうするの?』

『まあ、そうですね……、中心側から順に、池を埋めながら石を積んで、塞いでいくんじゃないですかね』

『そっかぁ……。まあ、でも、もし本当にこんな方法でピラミッドができたってなると、今までの仮説が馬鹿らしくなっちゃうよね』

『でしょう、ねぇ』

 と、ふたりは、ピラミッドの建造方法の仮説についての話を終える。

 そのまま、

『ところで、ピラミッドについて話した流れでなんですけど、オカルト界隈でも日ユ同祖論ってのがありますよね』

『うん。あるよね』

『古代の日本と、古代ユダヤが何らかのつながりがあったように、古代のエジプト王朝だったり、その末裔が――』

 ――と、ここまで動画を視ていたところで、


「――お? いたいた。西京ぉ、るりカスー」


 と、ふと誰か、女が声をかけてきた。

「ん――? ああ……、松もっちゃん」

「る、るりカスて……」

 と、西京太郎と瑠璃光寺玉は振り向き、声の主の顔を確認する。

 ややグレーがかったミドルヘアに、厚い黒ぶちメガネが特徴的なアラフォー・ビューティ。

 その、松もっちゃんと呼ばれた女は、同じく特別調査課に所属するが、別の調査室の室長を務める、松本清水子であった。

「松もっちゃんも、こんなところに、食いに来てるのか?」

 西京太郎が、こんなところ呼ばわりしつつ聞く。

「ああ、私も、瓦そば好きだかんね」

 と、松本清水子は答えつつ、通りかかった店員に、

「あっ? 私も、同じのちょうだい。それと、ドクターペッパー」

「かしこまりぃ!」

 と、注文を伝えた。

「ほんと、ドクターペッパー、好きだね。松もっちゃん」

「まあ、ね」

 松本は相槌しつつ、

「……」

 と、ジッ……と、西京太郎と瑠璃光寺玉のふたりのほうを見た。

「……?」

 瑠璃光寺と、

「ん? どうしたんだい?」

 と、西京が、キョトンとして反応すると、

「いや、さ? ほんと、パパ活してるみたいに見えるよな、てめぇら」

「「何てこと言うんだよ」ですか」

 と、ふたりは「何てこと言うん」のところを声を重ねて、つっこんだ。

 つっこみながらも、

「というか、相変わらず、口が悪いよな。松もっちゃん。旦那さんに似てるね」

「あ? もとだろ? 殺すぞ」

「だから、その、ナチュラルに『殺すぞ』とか、普通に口が悪くない人は言わないって」

 と、元旦那に言及されて苛立つ松本に、西京はやれやれと諌める。

 なお、元旦那の綾羅木定祐だが、『神楽坂事務所』などという合同会社で調査関係の仕事をしているという。

 それはさておき、そうしているうちにドクターペッパーがきて、松本も西京たちのテーブルについた。

 西京が、ふたたび瓦そばに箸をやりつつ、

「で? 君が来たからには、たまたまじゃなくて、何か、用があるんだろ? 僕たちに」

「うん。よく分かったね」

「「いたいた、」と言って声をかけてきたじゃないか。だから、僕らを探していたのを推測できるじゃないか」

「ま、そだよね。まあ、昼飯ついでにさ、ちょっと……、たぶん、アンタたちの案件になりそうなことを、話しておこうと思ってさ」

「僕らの案件、だって?」

 と、西京が怪訝な顔で、箸を止める。

「うん。何か、ユーサクのヤツから、さ? 下関で、怪事案が起きそうな予兆があるって、相談が来てさ」

 と、ドクペを手にしながら、松本が答えた。

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