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怪石の呼び声  作者: 石田ヨネ
第一章 瓦蕎麦の誘い
3/40

3 坊主頭の、軍人風かつお笑い芸人風の男

『――この、ピラミッドの作り方って、昔から、よく議論されているじゃないですか』

 と、メガネをかけた、イケメン風の男が切り出す。

『ああ、あるねぇ。何か、土でスロープを作ったりしてとかの、想像図の――。でも、ね? そんなスロープを作ると、膨大な量の土が必要で、不可能だって話になっちゃうんだよね』

 と、坊主頭の、軍人風かつお笑い芸人風の男が受け答える。

 ふたりは続けて、

『ええ、そうなんですよ。それから、最近だと、水路を利用して、水の流れで、逆サイホンを利用してですかね? エスカレーターのように、石を持ちあげたんじゃないかって仮説も出てきてるんじゃないですか』

『うん』

『ただ、そんな水路をどうやって作るかってなると、また、現代でもほとんど難しい話なんですよね』

『だろうね』

 と、何やら、ピラミッドの建設方法の仮説についての話題のようである。

『あとは、その……、オカルト界隈だと、石を、テレポーテーションのように転送させる、タキオンマシンだとか』

『ああ、ありますねぇー!』

 と、やりますねぇ! のように相槌しつつ、

『ただ……、そもそも、ピラミッド自体が……、何かを転送させる目的で造られたタキオンマシンって説が、オカルト界隈にはなかったですか?』

『うん、あったよね。それと、ごっちゃになってそうだよね』

 と、オカルト界隈のことを交えて話しつつ、

『まあ、それらはさておいてですね……、ここからが、僕が気づいたことなんですけど』

『ほう、ほう』

『まず、ですね――、僕が違和感を持ったのは、一般的なアイデアにしろ斬新なアイデアにしろ、どれもみんな、何て言うんですかね? 底面の正方形を一段ずつ等しく、行儀よく積んでいるじゃないですか』

 と、メガネの男がそう言って、プラモデルのようなCGを見せる。

『まあ、そうだよね。何っつうんだろ? 縦方向に切った、三角形の断面を――、北朝鮮にある作りかけの平べったい三角形のホテルってあるじゃん』

『ええ』

『そんな、三角形のスライスを作ってくよりもさ? まあ、下から、正方形の平面を積み上げて造っていくだろうね』

「まあ、その、下から平面を積み上げていくというのは、僕のアイデアも同じなんですけどね。……僕は、“こんなふう”にしたらどうかな――? と、思いましてね』

 と、メガネは、また別の、模型のような図を見せる。

 そこには、底面を10段ほど積み上げた、造りかけのピラミッド――

 しかし、その底面はというと、綺麗な正方形ではなかった。

 まるで、ピザの“ひとピース”でも切り取ったかのように、その一角には石がまったく積まれておらず――、その代わりに、水路とつながった池が設けられていた。

『これは、プールというか、池――?』

『ええ、池ですね』

 メガネの男は答えて、

『水路をピラミッドのそばまで引いて、池を作って、舟に載せた石を浮かばせる――。まあ、これだけでも、石切り場からの輸送を大幅に効率化できるんですけど……、重要なのは、ピラミッドのそばじゃなくて、石を積んでいくはずの場所に池を設けたということです』

『ほう』

『そうすることですね、“こんな感じ”に、できるんじゃないかと思いまして――』

 と、ここで、3Ⅾモデルが動く。

 ピザを切り取ったかのような、“石貯め”用の池――

 その中心には、クレーンのように吊り上げるものがあり、そこから縄で、舟の上の石が引っ張り上げられる。

 上まで吊り上げられた石は、そのまま丸太のコロに載せられ、今度は平面の上を移動させられるという。

『石を、真ん中のクレーンで吊り上げてですね、上げられた石を、そのまま今度は丸太のコロに載せて動かす――。従来の、スロープや水路モデルのように、石を、何とかして斜めに上げるとかではなくて、単純に、垂直移動して、そのまま水平に移動させるんじゃないかって、思いましてね』

『ほう……! まあ、ただ、その垂直に上げるのが、大変そうだけどね』

『そうなんですよね』

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