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第9話 情熱の国ヴェローナ

 引き続き、情熱の国ヴェローナにて――


 父ゼラニス、母デイジーは仕込みのため店に戻った。客間には、少年とジュリエッタが残っている。


 長く美しいオレンジ髪をなびかせるジュリエッタ、胸元の大きいリボンがとてもチャーミングだ。


そんなジュリエッタが興味深そうに少年の顔をのぞき込む。


「ところであなた! 名前はなんていうの?」


「リュウトっていいます」


「リュウト……! あなたこの国の人じゃないわよね?

 どこから来たの?」


「日本から来ました」


「ニホン? 知らない国ね」


「俺もヴェローナって国は知ら……いや、なんか覚えがあるな」

 どこでなんか聞いたことがあるな〜と思うリュウト。何年か前の記憶でうっすらあったような気がする。


「エヘン! ヴェローナは有名な国だからね!

 争いもないし、美味しいご飯も食べれるし、

 ホントにいい国なんだよ〜!」


そう前置きし、ジュリエッタはリュウトにこの国のことを説明する。


【情熱の国『ヴェローナ』】

 活気ある国民、豊かな土壌により育まれた作物による料理で有名な国。

 平和を掲げ、侵略行為などはいっさい行わなずに繁栄を続けてきた特異な国でという歴史があり、周辺国も、この国には手を出さないという暗黙の了解があった。

 というのも、軍事力は周辺国の中でもトップクラスであり、手を出せば返り討ちに会うという()があるからだ。


 お世辞にも全員が裕福な暮らしをしているとは言えない国だが、持ち前の活気や食べるものには困らないという環境でここまで繁栄を続けてきた。


「なるほど。平和で良い国ですね……」


「でしょ!? そういえばリュウト、あなた私より歳下に見えるけど、一人で旅行とかできるのすごいね! でも、なんでこの国に?」


 リュウトは、なぜここにいるのか思い出そうとするが、激しい頭痛に見舞われる。


「ッッ……!この国には、気づいたら居ました。でもなぜ居るのかは思い出せないんです。目覚める前は自分の国に居たのは確かなんだけど…」

 

「え、なにそれ!

 知らぬ間に連れてこられたってこと!?」


「う〜ん。ホントに記憶が無いんです。なんか抜け落ちてるみたいで……」

 まだ思考もはっきりしないリュウト。


「というか、ジュリエッタさん。

 俺が歳下って、一体どういうこと?」


 ジュリエッタは15歳。この前18歳になったばかりのリュウトより明らかに歳下である。


「何言ってるのリュウト! 自分の姿見てみなさいよ!」

 リュウトは、窓に反射し映っている10歳くらいの子供と目が合う。


「ん? この子供、見覚えがあるな。

 これは……昔の俺だな。しかも小学生の頃の……」


 そんなわけないと首をぶんぶんと振るリュウト。

もう一度鏡を見て、何かを確信する。


「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」


「ちょっと、リュウト! なになに! 何よ!」


「待ってくれ、ウソだろ。これ、俺か……?」


「そうよ、さっきリュウトって名乗ってたよ!」


「ジュリエッタさん、何が起きてる?」


「わわわ、私に聞かれても……何もわからないわよ!」


 ベッドから飛び起きるリュウト。


「マジで意味がわからん」


 突然の事実にリュウトは頭を抱える。


「ええ! リュウト、大丈夫!? 頭痛いの!?」


「はぁ、はぁ、興奮しすぎた。

 ジュリエッタさん。よく聞いてくれ。

 俺、子供になっちゃったみたいだ……」


「え?なになになに?どういうこと!?」


「俺、十八歳なんだよ。それが何故かこんな子供に……」


「ええ、なにそれ。リュウト、面白くないよその冗談」


「冗談じゃないよ。本気(マジ)なんだよ……」




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