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第28話 打倒ゼラニス③ -満身創痍-

ヴェローナ城、裏庭の稽古場――


 ゼラニスを打ち負かした、リュウト、ランコ、ヒビキ、アーサーたち。


 ゼラニスとリュウトは、ヒビキの異能により身体の半分が地面に埋まっていた。


「ガッハッハッ! 完全にしてやられたな!」


「ギリギリでしたよ、ホント。俺もう全身痛すぎて動けないです」


「そりゃあそうだ、あんな速度で移動して身体に何も無い方が変だ」

 ゼラニスは負けたのにも関わらずなにか嬉しそうだ。


「ゼラニス殿…、いかがだったでしょうか。我々の連携は」

 アーサーは、立っているのがやっとの状態だった。


「息はピッタリだったな。互いが互いをフォローし合う点、異能を最大限発揮した点は素晴らしかった。ただ、作戦自体は穴があり、危ない橋を渡ることになったな。ランコ少女が狙撃を外していればキミらの負けだった。まあ、私はその危ない橋を破壊しきれず、キミらに渡りきられたって感じだがな」


「まあ、ゼラニスさんがどういう行動を取るか読めなかったのであそこは後手に回らざるを得なかったですね……」


「だが見事に対処した。この三日間、避けて、殴られ、吹っ飛ばされ続け、キミらの体力と、目と、状況判断力、そして度胸は最低限の所まで成長したな」


「ゼラニス殿……、それでもあの堕天使には……」


「私はその堕天使を見ていない為ちゃんとした実力は分からんが、まだ無理だろうな。ただの斬る殴る蹴る戦闘なら、残りの四日間鍛えればなんとかなるだろうが、奴には魔術がある。それを対処出来なければ戦えないだろう」


「そうですか……」

 残念そうな顔をするアーサー。


「この国の者に発現する異能は、どれも身体能力の強化ばかり。それではあの魔術には対抗できん。ヒビキ少年やランコ少女も、自分以外の物体に影響を与える異能ではあるが、奴の消滅魔法をどうにかできるような異能ではない」


 リュウトはとある事を思い出す。

「あ、炎剣ブレイザード。あれなら炎の力で魔術相殺できるんじゃ?」


「やってみない事には分からんな。そして打開策はそれしかなさそうだ」


「リュウト殿……! そうと決まれば早速!」


「ああ、そうだな。ゼラニスさん、炎剣ブレイザード、取りに行っても良いですか?」


「ああ、元より私から一本取ったら行ってもらうつもりだった。稽古の成果、私以外の相手で存分に感じてくるといい」


「よっしゃ!」「やりましたね!」


 ここで、満身創痍のランコが三人の元にやってくる。

「あの〜、ゼラニスさん、リュウト。いつまで埋まってるつもり?」


「「あ」」

 ゼラニスとリュウトは、自分たちが地面に埋まり身動きが取れないことを思い出す。


「完全に忘れてた……。ランコ、ヒビキは?」


「向こうで地面に手付いて土下座みたいに気絶してるわよ。ほら」


 ランコの言う通り、ヒビキは先程、地面を固体化させてたタイミングで、異能の過剰行使と打撃による痛みで気絶していた。


「ほら、じゃなくて助けてやれよ! 冷たいねランコも!?」


「いや、もう私動けないから、誰かにお願いしに来たの」


「オイオイオイオイ……、待てよ! じゃあ誰が地面から俺らを出すんだよ〜〜!!」


 小一時間後、ヒビキが自力で目を覚ましたのは、アーサーがゼラニスとリュウトを地面から掘り返した後だった。


**********************************************************


 壮絶な稽古の次の日、体力を十分に休めた五人は、炎剣ブレイザードが眠ると言われる洞窟を訪れようとしていた。


 ヴェローナ王国と天空都市スカイヘイブンとの戦いまで、

あと三日――

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