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第14話 天空都市スカイヘイブン

 引き続き、情熱の国ヴェローナ、図書館にて――


 勇者物語研究の第一人者、オリバー教授から話を聞こうとするリュウト、ジュリエッタ、アーサー。


「では、オリバー教授お願いいたします」


「フン! アーサー、お主が仕切りおって!

 生意気になったものじゃな! そして小僧!

 おぬしがさっき言っていた考えは概ね正しい。

 ギヴンの発現、それは魔族の復活と同義じゃ。

 じゃが、ギヴンが完全に現れていない所を見るに、

 魔族もまだ完全には復活しておらん。」


「えっ」「魔族が復活……!?」


 驚愕するリュウトとジュリエッタ

ここで、アーサーの顔が曇る。


「オリバー教授。魔族は歴代の勇者様によって殲滅させられたと歴史書に残っていました。なぜ、魔族が今になって復活するのでしょうか。」


「アーサー。おぬし、まさかあれを見ていないのか、

 やはりまだまだじゃな。『天空都市スカイヘイブン』

 この国の上には、天使の住む都市が浮かんでおる。」


「「「……!」」」


 驚愕するリュウト、ジュリエッタ、アーサー。

淡々と語り始めるオリバー教授。


「はるか昔の時代、初代の勇者様が存命の頃、スカイヘイブンとこの国は協力して魔族と戦っていたという歴史がある。しかし、ある時期からその協力関係は無くなり、その少しあと『スカイヘイブンとヴェローナは国交を断絶し、今後一切互いに関わりを持つことを禁止する』ことを約束している文書が残っておる」


「協力していたのに、なぜそのような事に…?」


「そこの部分は残っておらんのだ。これはあくまでもわしの考察じゃが、この時期にスカイヘイブンがヴェローナを裏切ったのではないかと考えておる。」


「スカイヘイブンの裏切り? まさか!! 

 ヴェローナ城のあの欠けている部分は…!」


 何かに気づいたアーサー。


「そうじゃ。くり抜かれた様に欠けているヴェローナ城のあの部分。1度調べさせてもらったことがあるが、断面があまりにも綺麗じゃった。あれは文献に残っていた魔族の能力では不可能じゃ。となると、考えられるのは文献に残っていないスカイヘイブンからの攻撃……」


「「……」」

 話には割り込めないが、しっかりと理解はしているリュウトとジュリエッタ。


 オリバー教授とアーサーは会話を続ける。


「ですが、なぜスカイヘイブンはヴェローナを裏切ったのでしょうか? また、その詳細が文献に残っていないのは、なぜなのでしょうか?」


「裏切りの理由だけは不明じゃ。ヴェローナがスカイヘイブンを壊滅させていない事から、裏切りはおそらく一部の者の仕業。だから国交断絶のみで収めたのだろう。文献を残さなかったのは、おそらくスカイヘイブンのためじゃろう」


「ヴェローナは裏切られたんですよ!?

 それなのに、なぜ!」


 ここでリュウトが口を開く。


「もしかして、スカイヘイブンには魔族がいたんじゃないですか? 魔族の存在を文献に残すと、それを殲滅しようとする者たちが現れる。勇者の持つ使命の性質上もそうしなければならない。それを防止するために残さなかった。とか……」


「小僧。そうじゃ、イイ線いっとる。スカイヘイブンは天使の住む場所。中には時間や天候を操る天使も居たそうじゃ。そんな中から何かの間違いで魔族が生まれても何もおかしくは無い。いくら裏切りられたとはいえ、ずっと協力してきた国。その国を想って文献には残さなかったのだろうな」


 ここで閃くアーサー。

「と、いうことは! 

 今リュウト殿に炎のギヴンが発現したのは…!」


 同じく閃くジュリエッタ。

「スカイヘイブンで魔族が生まれつつあるという事!」


 深く頷くオリバー教授。

「そういうことじゃ……」


 リュウトも続ける。

「それがこの国の危機! じゃあ、スカイヘイブンへ行って魔族を倒さないといけないって事か?」


「小僧……。はスカイヘイブンとヴェローナは国交断絶、不干渉の約束を結んでおる。それを破るということは、スカイヘイブンとヴェローナの戦争になるということだ。だから今は下手なことは出来ん。」


 困惑するリュウト。

「じゃあ、どうすれば?」


「今は様子を見るしかなかろう。スカイヘイブンの魔族はまだ完全に生まれてはおらん。つまりこの国に害はまだ無い。それでは何も出来ん。皆いつも通りの生活を送るしかないのじゃ」


「でも、それだと対応が後手になって最悪、被害を受けてしまうのでは?」

 心配するリュウト。


「そうならないよう、この国には騎士団がいる。彼らが目を見張っている限り、被害はそこまで大きくはならんだろう。」


「そっか、オリバー教授がそう言うなら。

 ちなみにアーサーはどう思う?」


(わたくし)もオリバー教授と同意見です。この国の騎士団は精鋭揃い。周辺国が攻め入って来ても、騎士団だけでどうにかできるような力を有しています。」


「そうだよ~! アーサーの言う通り、ヴェローナの騎士団はほんっとに強いんだから!」

 喋りたがりのジュリエッタが便乗する。


「いくら騎士団が精鋭揃いとはいえ、被害を最小限に食い止めるためにも、小僧。お主はギヴンが発現したら速やかにわしかアーサーに教えるのじゃぞ。」


「了解。じゃあひとまず様子見で」


 ここでリュウトが新たに質問をする。

「そういえばオリバー教授、俺まだ聞きたいことが何個かあるんです。炎剣ブレイザードが今どこにあるか、知ってますか?」


 即答するオリバー教授。

「細かい場所は知らんわい。わしが聞きたいくらいじゃ」


 知らないと即答され顔がひきつるリュウト。

「マジか………。もしものためにも見つおあきたかったんだけどな…」


()()()()()は知らんという話じゃ。炎剣自体は、ヴェローナ城の北にある洞窟の奥深くにあるわい。ただあそこは野生動物が出る上に、番人がいるという。つまり…わしにはか調査は無理なのじゃ。」


「そうか、北の洞窟か……。

 あ、あとそういえば、日本って国知ってますか?

 そこに帰りたいんですがいい方法を聞きたくて。」


「ニホン? なんじゃその国。

 それはホントに知らんわい。お主まさかそこから来たのか?」

顔をしかめるオリバー教授。


「えっ!?!? は????」

 今日1番の驚愕を見せるリュウト


 おもむろに紙を取り出すオリバー教授。

「俺がこの国の世界地図じゃ」


 オリバー教授が広げた世界地図。

その地図には10ヶ国程しかなく、その中に日本という名前も、あの特徴的な島国の形もない。


「マジかよ。帰る手段どころか帰る国もないってか……」

愕然とするリュウトであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 成る程。 魔族がスカイヘブンに居る可能性が高いのか。 でもこれじゃ迂闊に手は出せないですね。 後、オリバー教授、最初の印象こそあれですが、 学者としては、なかなか優秀のようですね。 [一…
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