表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エロゲの初期配布ごみキャラに転生って冗談じゃないわよっ?!  作者: 改田あらた
4:(転生前ふくめ)人生初のモテ期は十一歳
44/52

魔法はお金になる

間が空いてしまって申し訳ありません。

忙しくてあまり書き溜められてないのですが、とりあえず再開します。

 十一歳の誕生日は、リィズ史上とてもたいへんな日だった。というより、誕生日の前後がたいへんだった、というべきか。


 なにしろ投稿した論文をまた急いで直せとせっつかれ、師匠ふたりに助けられながら、合宿で修正していたのだ。誕生日どころではなかった。


 帰宅してもまずはひたすら寝て疲れを取ることを優先したので、家族に誕生日を祝ってもらったのは、誕生日から一週間後だ。


「誕生日おめでとう、リィズちゃん。その……お疲れさま」

「リィズおめでとう。頼むから無理するんじゃないぞ?」

「うん……ありがとう……」


 また燃え尽きていたリィズは、どこかボーっとしつつも祝われた。なお今回はサリアとリアラからのプレゼントはない。帝国だと家族や恋人以外の誕生日を祝うのは、よほど親しい間柄でも節目の年くらいなのだ。友だちでも、おめでとうと言うだけ、とかが多い。


 一応師匠ふたりも、論文修正が終わったあと思い出したらしく、おめでとうと言ってはくれた。かなり力の入っていない声だったが。しかしリィズも疲れていたので、覇気のない礼をしたのでお互いさまだ。



 リィズはもう当分、論文は書きたくないし見たくもない。だが師匠ふたりからは、すぐに次を期待されると脅されていた。いや、きっと脅しではなく予想なのだろう。


 実際リィズ自身も、どうせまた次を要求されるんだろうな、と思っている。でも次はもう案がない。というか、なんで理不尽な転生をさせられたうえに論文漬けにならなければいけないのか。論文なんて卒論だけで充分だというのに。


 リィズが研究好きで論文を苦にしない性格や趣味を持っていたら、よかったのだろう。しかし実際のリィズは研究好きというわけではないし、論文はとてもめんどうでいやだ。



 やりとげたあと特有のけだるさと、やる気のなさでそんなことを思いながら休みを過ごす。しかし休んでいると、またフェンニスがそのうち死んでしまうのでは、と不安になる。


 不安になるので外へ出たくなるのだが、実は魔法に関する副業は、論文発表以降師匠たちから禁止されていた。なんでも論文を発表したからにはプロということであり、魔法を安売りすることは認められないそうだ。


 岩レンガを売るにも魔法を売るにも、リィズの客は難民街の住民である。正規の値段をふっかけたら、だれも買ってくれなくなってしまう。だから「練習中」という理由をつけて安くしていた。


 論文を書いたことで、その言い訳が使えなくなってしまったのである。やはり論文なんか書くべきではなかった、と後悔しても遅い。



 外に出てもなにもやることがないので、もらった教科書をせっせと読むことにした。だが時間がかかる。今思えば初期にもらったものはかんたんで、あっという間に読み終わったものだ。小学校低学年レベルの教科書だったのだろう。


 現在読んでいるものはかなり難しくなって、意味がわからない単語があったりする。もしくは前提知識が足りず、理解できないこともあった。そういったものはメモしておいて、図書館で調べるので時間がかかるのだ。


 なお帝都の図書館は見習い証を使えば、無料で利用可能である(ただし貸出は有料)。利用料はそこそこ高いのでありがたい。



★★★



 論文を書き終わったことで、日常が戻ってきた。どうせ非日常を体験するなら、旅行とかで体験したい。それはともかく。



 リィズの一日は地下にある自室で起きるところから始まる。目覚まし時計を止めて、着替えると顔を洗い口をゆすぎ、朝食を取ると歯をみがく。


 それから、出かける幻影の魔法を使う。リィズ自身は地下の隠し部屋から移動の魔法陣で仕事へ行くので、外から見ると家を出ていないのに不在ということになる。それをごまかすため、リィズの姿を映しとって幻影を作り、その幻影に家を出てもらうのだ。


 幻影は通行人や障害物を避けて、難民街を出る。そのあたりで認識を阻害する魔法の出力が強くなり、次第に幻影は消えていく。もしリィズを追う者があったとしても、途中でけむにまかれる仕組みだ。



 この魔法はそこそこ大きな魔法陣を使い、魔力もそれなりに消費する。しかし何度も使っていれば慣れるもので、特に問題はない。分厚い革に描いた魔法陣を部屋に戻し、サリアラ・リランテの服に着替える。


 仕事へ行く準備をして隠し部屋に入ると、帝都へ移動するための魔法陣に魔力を流す。移動の魔法もかなり魔力を使う。だが、やはりこれも慣れた。


 見習いなりたてのころは、うまく足元から魔力を流せず苦労していたが、今では寝ぼけていてもできるだろう。慣れというのはすごい。



 移動陣で帝都へ移動したら、毎回飽きずに文句を言ってくる役人をスルーして門を通る。それから乗合バスで職場へ向かう。


 なお防御の魔法は、帝都へ来た直後から発動したままだ。そうしないとバスで痴漢にあいまくる。帝都の男は女がいる場合、さわってやるのが礼儀と思っているらしい。


 サリアラ・リランテのビルに着いたら、受付のメドレアに挨拶して、いつもの魔法デザイン研究室へ向かう。たまにリアラが起きているので、いれば挨拶するが、たいてい寝ている。サリアも朝からはあまりいない。


 そのためリィズは給湯室でお茶をいれてから、ゆっくり課題の続きへ取りかかる。そのうちサリアが来たり、来なかったり。いずれにせよリィズのやることはあまり変わらない。



 そんな感じで仕事(課題)をこなし、十七時になったら終業だ。暗くなる前に帰る。帰りも防御の魔法は必須だ。


 帝都から家の隠し地下室へ魔法で移動し帰宅。母親のティーダが夕飯を作っているのを手伝い、父親のフェンニスが畑から帰ってきたら夕食だ。


 食後はティーダを手伝って片づけると、汗を流して自室へ引き上げる。自由時間だが、娯楽もない。教科書を読むか魔法の練習をするか、くらいしかやることがないのだ。趣味がほしいけれど、そんな金はない。



 一応、金のかからない趣味は存在する。ティーダに教えてもらった刺繍がそうだ。美花の感覚だと刺繍なんて金のかかる趣味だという認識なのだが、そこは魔法でなんとかする。


 糸と針を魔法で自作すれば、素朴すぎる私服をオシャレにすることも可能だ。しかしリィズには合わなかった。刺繍がじょうずなティーダをリィズは尊敬している。


 ほかにはフェンニスのやっているチェス(木の板で手作りしたもの)も教えてもらったが、いまいち熱中できなかった。



 読書も嫌いではないが、読みづらい文字のせいで、いまいち気分が乗らない。それでも暇な時間よりマシとたまに図書館から借りてくるものの、日本語に比べると読むのに時間がかかり、時々いらつく。


 あとは、運動不足にならないよう散歩……といっても外を夜歩くのは危険なので、地下に作った通路を歩いたりもする。迷いやすいので、地下は地下で危険だが。



 そんなわけで、リィズの趣味といえるものは魔法くらいである。本当は趣味ではないのだが、一番気楽に時間をつぶせて、比較的ほかよりおもしろいのだ。


 本音をいうならゲームとインターネットがほしい。切実にほしい。とってもほしい。


 それは現状では無理なので、飽きると早々に寝る。すっかり早寝早起きで健康生活だ。美花のときは毎日夜ふかししたものだけれど、あれはゲームとネット環境と読みやすい本(マンガ含む)があったからできたのである。


 やっぱりインターネットがほしい。ネットがあればゲームもデジタル書籍も手に入る(と思いたい)。そんな結論に落ち着いたところで、リィズの一日は終わるのだ。

 


★★★



 休みの日のリィズは朝から暇だ。見習い仕事は週に三日しかないので、四日は暇ということになる。暇なのでティーダの家事を手伝う。なにしろ刺繍は手伝えない。


 それも終わってしまうと、いっしょに買い物へ行ったりする。さらにそれも終わってしまうと、ルビカーナの街にある図書館へ行く。


 入館料と貸出料がかかるが帝都の図書館より安いし、見習い仕事だけでなく魔法陣の売上もあるので、これくらないなら問題ない。それに本を返せば貸出料は返ってくる。


 それでも時間が余るので、やはりお金を稼ぎたい。しかし魔法を使わない金策はもはや思い浮かばなかった。なにしろ魔法はお金になるのだ。

もし少しでも楽しみにしていただけるなら、ブクマ・評価いただけると励みになります。

感想・いいねいただけると読んでもらえてることがわかって嬉しいです。

ありがとうございます…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ