表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エロゲの初期配布ごみキャラに転生って冗談じゃないわよっ?!  作者: 改田あらた
3:十歳は節目の歳というけれど
32/52

あっさりと話題を変えた

わりと生々しい生理やセックスの話が出てきます。

あとティーダの話にイラッとする人もいそう……苦手な方はイラッとする前に読み飛ばしてください。

(逆に女はこうあるべきと共感する方もいるかもしれませんが)

 帰宅すると、隠し部屋から地下にある自室へ戻る。そこでサリアラ・リランテの高級すぎる服を脱いで、ふだんの服に着替えるのだ。それから一階へ顔をだす。


「ただいま、お母さん」

「おかえりなさい、リィズちゃん」


 ティーダを母と呼ぶのも慣れたものだ。あまり記憶のない実の母には申し訳ないが、今では母といったらマリィよりティーダだ。やはり家事をしてくれる存在というのはとても大きい。見習いとして働きながら家事すべてをやるのは、体力的にもつらいしストレスも溜まる。


 なにより、疲れて帰ってきたときに食事の匂いが待っているのは、とてもありがたかった。必要に迫られて料理をしていたのであって、べつに料理が好きな訳でも無いのだ。


「もうすぐフェンも帰ってくるころだと思うわ」

「うん」


 彼女はフェンニスのことを、いつからかフェンと呼ぶようになった。愛称のようなものだろう。


 料理に使った鍋を洗ったり、手伝っているうちに、フェンニスが帰宅した。それを合図に皿を食卓へ並べ始める。そして彼が手を洗って席に着いたら食事開始だ。


「……そういえば、いよいよ壁が作られるらしいぞ」

「私も聞いたわ、工事に参加する人員を募集するって」


 夕食時の会話はたいてい、その日あったことばかりだけれど、今日は違った。


 リィズたちが住み着いているのは、ルビカーナという帝都から車で数時間の街だ。そこそこ大きいが、その外壁周辺は難民で埋め尽くされつつあった。リィズたちが住む北門近くだけでなく、今では南門のほうまでテントや小屋が建っている。


 難民街は拡張し続けており、またその周囲の畑も拡大し続けていた。ルビカーナだけではなく、ほかの街も同じ状態らしい。唯一、帝都だけは外壁の外にひとが留まることを許されないため、壁の外もきれいなものだ。


「どのあたりに壁を作るつもりかしら」

「畑がどうなるか、気になるな」

「そうね……」

「畑をつぶされるようなことになれば、工事に参加するしかない」

「早く決めてもらいたいわ」


 両親が口にする心配や不安を聞きながら、リィズは黙って食事を進める。今日あったことを話すならともかく、外壁拡張工事の情報はまったく持っていない。


「でも壁ができたらいよいよ、住民権が切り替えられるわね」

「そうだな、早く安全なところに住みたいもんだ」


 難民街は治安が悪い。殺人こそあまり起こらないが、小さな犯罪は日常茶飯事で、取り締まる機関もないままだ。ひとが増えれば増えるほど、治安は悪くなっていく。


 リィズたちが住むあたりはまだ、治安がいいほうだ。地下の隠し部屋から西門と東門にもつながっており、そこにも小さな小屋がある。その周囲はもっとギスギスしたふんいきだ。


「そういえば隣の街ではもう工事に着手してるそうよ」

「うちの街も早くしてもらわないと……」


 かってなことを言っているが、住民権もないので、税金もとうぜん払っていない。どうこう言う権利はあるのだろうか。


 まぁ文句を言いたいだけ、愚痴をこぼしたいだけだろうから、冷静な意見を口にするのはやめておいた。なるべく聞かなくて済むように耳を後ろへ寝かせる。兎獣人ではおなじみの「その話に興味ありません」の仕草でもあった。



 それよりいつまでここに住めるのか、そのことのほうがリィズは気になる。師匠たちは言っていた。壁の内側にしか土地に関する法律は影響しない。


 つまり壁ができあがれば、そこに払えないほどの価格を勝手に設定されても文句は言えないだろう。もともと住んでるひとを追い出すような無茶をするとは思わないが、もっとひどいことが起こる可能性もある。


 もしかしたら、壁ができたことで住む場所を追われ、フェンニスが黒い魔物に殺されるのかもしれない。



 嫌な想像をしているうちに、食事が終わった。



★★★



「リィズちゃんに大切な話があるの」


 翌日、家事を手伝っていたらティーダからそんなことを言われた。テーブルにはお茶が用意されており、いつもリィズが使っている椅子を勧められる。


「話?」

「そう、十歳になったでしょう?」

「うん」

「だから今日は、女の子のことについて話さないとね」

「あー……」


 なるほど、つまり性教育か。当たりをつけたリィズは神妙にうなずく。


 子どもの話から始まり、生理や妊娠についても説明された。意外とわかりやすい。


 どこから経血が出て、どこをセックスのときに使うのか。そんな生々しいことまで。そしてそれらの対処法も。


「生理のときはナプキンを下着につけて、血が漏れないようにするの。おしっこみたいに我慢できるものじゃないから、仕方ないわね」

「なるほど……」


 この世界にも生理用ナプキンがあるらしい。脱脂綿を詰めておけ、などと言われなくてよかった。


「セックスは基本的に、男のひとに任せておけばいいわ」

「……え?」

「それから、拒んではダメよ。どんなときも受け入れて、男のひとをいたわってあげないと」


 意味がわからない。しかしティーダはまじめに話している。なんで、と聞いたら、


「だって男のひとは外で働いていて、たいへんでしょう? それに男のひとのほうがえらいもの」

「えぇ……?」

「むしろ求められることは、光栄なことなの」


 とてもそうは思えない。リィズは返す言葉が見つからず、黙り込んでしまう。


「もちろん、嫌いなひとの相手をすることはないわよ? セックスは好きなひととするものだもの。それに、とっても気持ちいいの。リィズちゃんも一度経験してみたらわかるわ」

「……」

「さて、次は子どものことについて、もっと詳しく話すわね」


 リィズが呆然として、なにも言えないまま話が進んでいく。


 同じ種族同士で結婚することも多いが、フェンニスとティーダのような異種族間で結婚することもある。その場合、種族の特徴が混ざることは基本的にない。子どもはどちらかの種族で生まれてくる。ふたりの子なら、兎獣人か鳥獣人のどちらかが産まれてくるわけだ。


 といっても、ティーダは子どもはまだいいと思っているらしい。少なくとも外壁ができあがるまでは、作る予定がないんだとか。


「避妊の魔法は忘れずに使わなきゃダメよ。子どもがほしいときだけ、妊娠しやすくなる魔法を使うの」


 そういってティーダは避妊の魔法と、受胎しやすくなる魔法を教えてくれた。


 効果時間は魔力をどのくらい込めるかによるが、数時間から十時間ほど。避妊を忘れた場合は行為後に使っても問題ない。


「これは男のひとには秘密よ。女の子だけの魔法だから」


 そういえば望まない妊娠や、望まれない子をあまり見たことがない。その理由が今わかった。魔法で解決とは便利なものだ。


 便利だが、それもふくめ、ただのエロゲご都合設定に見える。それにかつてゲーム内で見たスケベシーンで「赤ちゃんできちゃう」とあえいでいた女の子はなんだったのだろう。不幸な子が少ないのはいいことだけれど、なんだか複雑な気持ちだ。



★★★



 リィズは基本的な魔法や、魔法に使う単語をすべて教え込まれている。けれどその中に、避妊の魔法や妊娠しやすくなる魔法はなかった。つまり教えられていない。


 どうしてだろうと思い、翌日出勤したときにその話をしてみた。


「あぁ、避妊の魔法ね。……そうね、もしかしたら男で知ってるひとは少ないかも。ちなみに男を不能にする魔法もあるわよ。教えてあげましょうか」


 この世界の魔法はわりとなんでもアリだ。性器をあらわす単語さえわかれば、リィズでも呪文を組み立てられるかもしれない。


 そうは思いつつも、お願いします、と答えておいた。


「身体に関する魔法は専門的というか……医者の領分なのよね。これまで教えた魔法なら、犯罪にならなければ許可なく使っても問題にならないけど、それ以外は専門の資格が必要なの」

「もしかして不能にする魔法も資格なく使ったら違法なのでは……」

「そうよ。でも自衛のために知っておいて損はないでしょ」

「そりゃそうかもしれませんが」


 サリアはバレなきゃいいのよ、と言うが魔法は使ったら痕跡が残る。弱い魔法でも数時間、強い魔法なら数ヶ月残ることもあるのだ。ひとを殺すような強い魔法は痕跡が残りやすく、痕跡から魔法の使用者をたどることが可能である。


 だから魔法による犯罪は意外と少ない。不能にする魔法がどのくらい残るのかわからないが、そもそも他人には魔力が通りづらいので、魔力を多く使う必要があるだろう。



 もっとも魔力の痕跡を追う作業はだれでもできるわけではない。練習が必要だし、それを法的根拠とするには資格が必要だ。


 不能にされた、などという不名誉な状況を相手の男は相談できないだろう。サリアはそう踏んでいるから、バレなければいいという。


 果たしてそんなにうまくいくだろうか。リィズは心配になってしまう。


「専門的な魔法を勉強したい、資格を取りたいっていうならサポートするけど……まずは基本の魔法陣をマスターしてからね」

「……はい」


 マスターできる日など来るのだろうか。基本的な魔法と単語は半年で覚えたリィズだが、それ以降に勉強している魔法陣は、なかなか師匠たちから合格をもらえない。


 もっとも見習い期間はまだ五年ある。五年後までに合格すればいいのだろうけれど、もどかしいのも本当だ。もっと勉強しよう……なんて美花のときは考えたこともないことを、リィズは改めて決意する。


「それはそうと、あなたに渡すものがあるのよ」


 リィズの内心など知らないサリアは、あっさりと話題を変えた。

言うまでもありませんが、ティーダの話を鵜呑みにすることはお避けください(そんな方はいないと思いますが、念のため)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ