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エロゲの初期配布ごみキャラに転生って冗談じゃないわよっ?!  作者: 改田あらた
2:九歳は隠し部屋に夢中になりきれない
29/52

よくわからない

すみません、こちら最初更新ミスってました。

投稿初日に読まれた方は後半の★★★以降が追加部分になりますので、そちらをお読みになってから次話を読むことをお勧めします。

「もう少し広いほうが、いいわ……」

「それなら、部屋数を増やすのはどうかしら?」

「……ドアは、どうするの……」

「なんとかなるわよ」


 サリアとリアラが、とても楽しそうだ。ちなみに場所はいつもの研究室ではない。リィズの自宅の地下だ。


 地下室にはすでにリィズのベッドを運び込んである(そのために少し階段を広げた)。おかげで先日からリィズの安眠が戻ってきた。


 今日は出社後にすぐ三人でリィズの家に行くことになった。移動の魔法陣を起動すること際、リィズの魔力操作に注意点を大量にもらったのは余談である。とにかく三人で家に来て、ティーダを驚かせた。いや、驚かせるために来たわけではないのだが。


 なお、本来の目的は隠蔽魔法陣を敷くことだった。今はそれも忘れ去られ、師匠ふたりは隠し部屋拡張計画を練ることに忙しい。


 いつの間にか、今ある隠し部屋(仮)を広げて、ふたりの部屋も作ることになっていた。どうしてそうなったのか、よくわからない。たぶん、サリアがあたしも隠し部屋がほしい、と言い出したのがきっかけだった。しかしまさか、リアラがそれに便乗するとは思ってもいなかったが。



 帝都は地下を作るにも申請に承認にとめんどうが多い。工事も業者に頼む必要がある。水道も魔管も引っ張ってくる必要があるし、電気工事も必要だ。


 なお魔管というのは電線の魔力版のようなもの、または水道管の魔力版みたいなものだ。大型の魔道具を動かすための魔力を常に供給するため、都市が管理しているらしい。たぶんルビカーナの街にもある。もちろん難民街にはない。


 そんなわけで、水道も魔管も電気もないが、自由に作れる隠し部屋作りは、とても楽しいらしい。リィズもわからないではないが、先立つものがないので、盛り上がりきれなかった。


「ベッド、棚、本棚、クローゼット……」

「ソファとテーブルは? 入り口の部屋に置く?」

「……書き物机、いす、じゅうたん」

「簡易キッチンも欲しいわね。食器棚も必要かしら」


 なんだか隠し部屋ではなく、かなり立派な隠れ家ができあがりそうだ。


 リィズが勉強のために自作した机には、ふたりいわく「設計図」が描かれた紙が何枚も重なっている。中には落書きのようなものも多い。しっかりしたものでも「約五メートルくらい?」みたいな書き込みがあるくらいで、リィズの認識だと設計図と呼べるものはなかった。


 今のところ入り口の部屋と名付けられた部屋は、三人共用と決まっているらしい。最初にリィズがてきとうに作った隠し部屋が、その「入り口の部屋」だ。


「入り口の部屋から、移動陣部屋とキッチンダイニングの部屋につなぐでしょ?」

「……ここから、個人の部屋にいけるように……そうね、倉庫もほしいわ」


 いったい何部屋作ることになるのだろうか。地下を作ってる家などそうないだろうから広げ放題とはいえ、本当にいいのか不安になってくる。


 そしてドアはともかく、羅列された家具をどうやって運び込んで設置するつもりなのか。さらに言うなら掃除はどうする予定なのか。キッチンや倉庫を作るとして、食材や荷物はどう管理するつもりなのか。湿度も気になる。


 疑問は尽きないが、きっとどうにかするのだろう。たぶん、おそらく。


「地下を掘るのは苦じゃないからいいんですけど……本当にだいじょうぶですか?」

「問題ないわ」

「……街の外の土地を管理する法律は、ないもの……」

「それならいいんですが……ところで、広げるだけじゃなくて、さらに深く掘ったりもできますよ?」

「「!」」


 ふたりの顔が輝いた。


 せっかくなら、リィズも楽しめるだけ楽しまねば損だ。そう考えていたアイデアを伝える。


「あとから入り口をふさげば、外と直接繋がらない密室とかも作れます」

「……まぁ!」

「それでそれで?」

「移動陣を置いて行き来する感じですね。逆に、この部屋からぐるっと街を迂回して、向こう側の門の外まで出口を掘るとかもできると思います。時間はかかると思いますけど」

「楽しそうね!」

「……ほかには?」


 きらきらとした二対の瞳がリィズを見る。けれどそろそろネタ切れだ。


「ほかに……そうですね。部屋の大きさばかり話題になってましたが、天井の高さはどうしましょう?」

「そういえば、ここは少し低いわね」

「……ぶつからなければ、問題ないわ……」


 最初はてきとうな物置にするつもりだったので、深く考えていなかったのである。だから天井が低い。


「あと、棚や本棚は持ち込むのがたいへんでしょうから、作りつけでいっしょに作るのはどうですか」

「つく、る?」

「……買うことしか、考えてなかった……わね」


 それは金持ちの発想だ。リィズの場合、買えないなら作るしかない。


「ベッドも台だけ作っておきましょうか? マットレスだけなら、持ち込みやすいでしょうし」

「……マットレスだけ……売っているかしら?」

「探してみるしかないわね、なかったら注文すればいいじゃない」


 やはり金持ちの発想だ。持ち込みやすい形がいいですよ、と注意を伝えておく。


「それから、トイレやお風呂はどうしますか? キッチンを作るにしても、水回りふくめ排水は考える必要があります。排水用の穴を掘ってあるので、そこにつなげてもいいですけど……」

「……考えて、なかったわ」

「そうよね、バスルームはともかく、お手洗いは必要だもの。共有スペースからつなげたいわ」


 ふたりの話す、ふわふわした願望だけでは作れないので、改めて現在の状況をざっと図に起こす。まず隠されてない地下室がある。その上に点線で家のだいたいの大きさ(ちゃんと測ってないので推測だ)も書き込んだ。


 そのうえで、隠し部屋へつながる細い通路と入り口の部屋も書き込んだ。定規がほしい。定規があったとしても、ちゃんとしたものが書ける保証はないが。


「もし排水用の穴を利用するなら、こっちの……ここらへんを使うことになります。うーん、長さを測る道具がほしいですね……」

「会社に戻ればあるわよ」

「今度借りて測っておきますね」


 今はだいたいでやるしかなさそうだ。うねうねと曲がった線をながめ、仕方ないと諦める。諦めも肝心だ。


「わたしは専門家じゃないからわからないんですが、たぶんちゃんと測って設計図を作って、それを元に実際の部屋を作ったほうが、ちゃんとしたものができると思うんですよ」

「……めんどう……」

「こういうのは業者に頼むときと同じです。手間を省いたら、そのぶんできが悪くなるもんです」

「……」

「……」


 ふたりが黙ってしまった。家の設計はしたことがないけれど、システムの設計なら美花はたくさんやった。きちんと要件定義しないと、納得いくものはできないのである。


 そこの手間を省略すると、意味がわからないものや、使えないものができあがる。これはほぼ絶対だ。だからめんどうでも手をかける必要がある。


「はめ込むドアの大きさに合わせて部屋をつながないと、ドアをつけられないですよ? トイレだって市販の便器を使うなら、それが入る大きさにしないと……。雑に決めたら、使えない隠れ家になっちゃいますよ?」

「それはダメよ!」

「魔法陣だってちゃんと描かないとちゃんと効果発揮しないでしょう? それと同じです」

「……わかったわ……そうよね、手で描くのが間違ってるのよ……」

「え?」

「リア、どういう意味?」

 

 わかってないサリアとリィズを置いて、リアラが呪文を唱える。聞いたことのない内容だが、呪文を聞けばやりたいことはわかった。この部屋の床面積を二十分の一の縮尺で紙にかけ、という内容だ。


 魔力が部屋全体に広がり、ついでペンにまとわりつく。そして少しいびつな多角形が描かれた。いびつなのは階段部分があるからだ。なお隠し部屋への入り口は描かれていない。


「すごいですね」

「そういえば数字ってあなたの大好きなものだったわね」

「地上部分も、同じようにすれば……いいわね?」

「あっ、ハイ。どうぞ……」


 測定する魔法も作りましょう、と言いながら階段をのぼっていくリアラを追いかけた。ひとりで行かせては、またティーダを驚かせてしまう。



★★★



 きれいな設計図ができあがった。リアラが魔法を改良し、魔法で作ったものだ。とはいえ美花が見たことのある家の設計図に比べると、かなり簡単なものである。見取り図というべきかもしれない。


 難しいことを書かれても、作るリィズが対応できないだろうから、簡単でいいのだ。なお、作りつけの棚やベッドに関しては、今使っているものを参考にしてから決めることになった。



 入り口の部屋から、移動陣部屋とトイレとダイニングキッチンにつながる。ダイニングキッチンには、テーブルといすを置いてお茶を飲めるようにする予定だ。


 ダイニングキッチンからは、地下二階の倉庫と三人の個室につながる。個室の設計図はリアラの魔法をまねして、各自でかいた。


 倉庫はみっつにわける。常温、冷蔵、冷凍である。冷蔵庫は置けない(魔管が通ってないので定期的な魔力供給が不可能)と言ったらこうなった。


 さらに常温用の倉庫からは抜け道も用意する予定だ。こちらは出口を確保してから、どの方向にどうなふうに掘るか決める。


「できたわね!」

「次までにやることリストは……うん、これ以外ないと思います」

「……えぇ」


 使いものにならない落書きで消費された紙は捨てることにして、設計図とやることリストをまとめる。あとは次に持ち越しとなった。


 なお、本来の目的である隠蔽魔法陣はもちろんできていない。まだ隠すものもないので問題はないし、もっと大掛かりな魔法陣にしようとサリアが言い出したためだ。リィズが床に仮で描いたものは直径二十センチほどだが、倍以上の規模にするらしい。それだと当初持ってきた道具では足りなかった。


 やることリストの中には、その材料の調達もふくまれる。ほかにもドアをはじめとした家具が必要だ。そちらは双子師匠にお任せする。リィズには細かい要望も金もない。



 そんなわけで、なぜかリィズ本人よりサリアとリアラが張り切って隠し部屋計画がスタートした。


 どうしてこうなったのだろう……。リィズにはよくわからない。

なお追加にともない、サブタイトルも修正しています。

ご了承くださいませ。

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