88.反対
「あら和真おはよう。今日から私たちの捜査に満ちゃんが加わったわ」
「は???」
頭の上に大量のクエスチョンマークを浮かべ混乱する和真。望も和真に頼んだぞとそのまま自分の席に戻る。
「頼んだぞって…まだ戦いも不自由なこいつを連れていくんですか?!」
「ずっと訓練だけも経験が足りないでしょ」
「だからと言って早すぎます!もう少し訓練してからじゃないと…」
心配性な和真が満に目を向け、顔を顰める。
「和真は心配症だな」
話を聞いていた理仁が自分の席から声を投げかける。
「当たり前だろ、まだ未成年に加えて全然動けてない。これじゃ死にに行くようなもんだ」
「そんな事ねぇかもしれねぇだろ。満だって頑張ってるんだし大丈夫だって」
無責任な事を言う理仁に少し睨みながら荒々しく言葉を返す。
「訓練風景を見てる訳でもないお前が分かったように言うな」
「なんだと?」
理仁も和真の言葉に眉間に皺を寄せ少し睨む。
「和真は過保護過ぎるんだよ。かわいい子には旅をさせよって言うだろが」
「研究ばっかで頭緩んでんのか?満はまだ全然動けないんだ。犬死にしてもおかしくねぇんだよ」
和真の言葉に素早く霧吹きをホルダーから抜き出し和真に向ける。それと同時に和真がシャドーを出し、理仁に向けて球体を飛ばそうとした。
「「そこまで」」
理仁が霧吹きの引き金を引く前に紗夜が背中から4本の腕を伸ばし、理仁の腕を掴み上に上げ、脚も動けない様に固定する。唯菜も指から糸を出し、和真が動けない様に蓑虫状に縛り上げた。
「なっ何すんだよっ紗夜」
「理仁…それ以上はだめだよ。ここを何処だと思ってるの」
「でもよ、和真が」
「和真の言う通り僕達は何も知らないんだから口出し出来ないでしょ」
そうだけどよ…としょぼくれる理仁。紗夜が手を離しシャドーを引っ込める。
「和真も和真よ。これはもう決まった事なの」
「でっですがっやっぱり今のままじゃ危険ですよ」
「危険じゃなくなるなんてないのよ。どんなに強くなっても危険な物はずっと危険なの。今のままじゃ安心出来ないにしろ経験は必要よ。いつまでも安全な所にいさせる訳にもいかないでしょ」
わかりましたと俯きながら頷く和真。唯菜が糸を解き床に下ろす。
「和真…悪かったな。なんも知らないのに口出して」
理仁がバツが悪そうに謝った。理仁のいい所は感情が昂り易いが直ぐに自分の非を認め、謝れるとこだ。
「いや…別に」
一方和真は非を認める事が出来ず、引きずってしまうのが短所であった。
「………」
唯菜が望の方を見てやれやれとジェスチャーで伝える。望は和真を見て何かを考え始めていた。




