86.作戦
唯菜と戦いレベルの差を見せつけられた満。和真にも勝てず、唯菜にも真面に相手をされない。満は和真と唯菜と別れ、望と共に家に帰った後もその事だけを考えていた。自分に何が足りたいのか。どう動けばいいのか。あの2人と対等に戦えるようになるには。
望の問いかけにも上の空。それを察してか望は満に話しかける事なく自分の部屋に篭った。満はずっと考えながら薬を飲むと風呂場に行き、シャワーを浴び風呂に入った。その間も思考を止める事はなかった。
「多分和真は異形の性質特殊型なんだろうな。前に明菜が性質特殊型が4人いるって言ってたし、和真も性質特殊型だろうな」
考えを纏める様に独り言を呟く。返事が返ってこない1人の空間で考えを巡らせる。
「和真のあの球体の性質は跳ねるって事だろうな。普通の球体があんなに起動を変えたり弾いたのが返ってくる事はないもんな」
満からしたら和真は今は手を抜いて体を慣らさせてくれている状態。本気で戦えるようになるには訓練の時間をもっと増やさなければならない。でなければ和真にも唯菜にも追いつけないままになってしまうと唸る。
「唯菜なんか俺の事赤子扱いだもんな。本気で戦えるぐらいにならねぇと」
その為にはと唯菜との戦いをよく思い出す満。唯菜のシャドーも性質変化なのは分かっている。糸が粘着するのも分かる。だが、あの無数の糸をどう掻い潜ればいいかが分からずにいた。今日の様に戦っても勝てないであろう事は分かっている為、どうにか策を考える。
「でもあんな広範囲で部屋の全体に張り巡らさせたら身動きなんか出来ねぇしな」
どんなに考えてもいい案は浮かばず、時間だけが過ぎ目の前がぐにゃぐにゃと歪み始める。
「おい、満。明日なんだが」
リビングに来た望が満がいない事に気づく。自室で寝てるのかと確認しに行くがいない。どこに行ったのか探し、最後に風呂を覗くと顔を真っ赤にし目を回した満がプカプカ浮いていた。
「お前っ何時間入ってたんだっ!」
急いで風呂から出し、冷水シャワーを浴びせる。キッチンに行き、冷凍庫を開きもしも用の氷が役立つ時が来たと急いで持っていった。桶に氷を引き詰め足を突っ込ませる。
「お前は風呂場での考え事は禁止だ」
「…………はい」
まだ目の前がぐにゃぐにゃな満が弱々しい返事をした。




