80.素直じゃない優しさ
服を脱ぎ、シャワーを浴びる満。久しぶりのシャワーに落ち着き、髪を洗い始める。道幸がたまに薬を渡してきて水浴びさせてくれてたあの薬が魂外安薬だったのかと今更ながらに気づく。髪と体を綺麗に洗い、風呂に浸かる。体の節々の痛みが癒されてゆく。
望に会ってから日々が目まぐるしく忙しい。強くなれてるのかはわからないが他との繋がりが増えているのは分かる。満にとっては初めてここまで他人と関わっていた。他人がここまで優しいとも思ってなかった満は不思議な気持ちになっていた。
これまでの事を思い出していたがまだ疲れが取れていないのか眠気がやってきたので風呂から出て体を拭こうとタオルに手を伸ばすと見知らぬ服が置いてあった。望が準備したのかわからないが落ち着いた色の部屋着に手を通し着てみる。何とも言えない複雑な気持ちになりながら礼だけ言ってやろうとリビングに向かう。
何て言えばいいか分からずリビングの前をウロウロとする。深呼吸はもう何回目かも分からない程している。意を決してリビングに入り照れ隠しをしながら話し始める。
「こっこの服…お前が用意したのかよ。地味だけどまぁいいじゃねぇか。お前がどうしてもって言うなら使ってやるよ」
一息に早口で言い終わり、反応を待つ。いつまでも反応が返ってこず、無視かよと望に顔を向けると机に突っ伏した状態で寝ている望が目に入った。
「何だよ…寝てるのか。てかこんなとこで寝んなよな」
暖かくなってきたとは言え、まだ涼しい日も続いている。満は望の部屋に行き、服で埋もれているブランケットを抜き取り、望の背中にかけた。
「侮れるのも今のうちだからな。強くなってお前をギャフンと言わせてやる」
そう言い残すとまたヨタヨタとしながら自分の部屋に戻り、傾いたベットに寝転がり体を休めた。




