7.やっと
6日目
尻尾二本で戦うのが当たり前になり、突っ込んで来ては砕け散るというお家芸はもう見る事はなくなった。慎重になる事を覚えたのか二本の尻尾を見極めながら爪で弾き、切り傷を作らないようにする。隙を見計らっているのか弾きながら様子を見て近づいてくる満を突き放す様に尻尾をいつも以上に乱す。
望にも余裕が無くなってきているのか真剣な顔で尻尾を休む事なく動かし続ける。上達が早いのか無意識なのか、毎日の望との戦いで何かを学んでいるのは確かである。最初の考え無しの行動が嘘のようだとしみじみと感じた。
望が一瞬、気を緩めたのを見逃さなかった満が尻尾を掻い潜り望の懐に入り、爪を突き立てる。望に攻撃が入る直前で三本目の尻尾が生え攻撃を弾き、残り二本の尻尾で満に打撃を与え瓦礫に吹き飛ばした。
「やっとだ…やっと三本目」
ギラついた目で望を見る満に少し満足そうにする。それでもここからが本番とも言える状況。満が言った様に漸く三本全部の尻尾が出た状態。この状態の望と少しでも渡り合わなければ話にもならないからである。
満を鍛えていると言っても間違えではない中で望も淡々と攻撃をしているだけではない。戦いの中で満を知ろうとしながら日々この場所に赴いている。道幸が何故息子の様に満を育ててきたか少しわかった気になり、望は今日も変わらず満をズタボロにしその場を後にした。
あと何日かで満はちゃんと三本の尻尾を見極め対等に戦うだろうという確定の未来を予想する望。そうなった時、確実にこちら側に来て貰わなければならない理由が望にはあった。
近い未来の為。自分の野望の為。
それだけは絶対に譲れない望の夢でもあった。




