78.不格好な部屋
家に帰るとソファを広げ満を寝かせる。薬を飲み、風呂場に行く望。シャワーを浴び、全身を綺麗に洗うと直ぐ出て、下着を履きシャツだけを着た。タオルで髪を拭きながらリビングに来て、煙草を吸う。
「どうしたものか…」
満をぼんやりと物思いに耽りながら眺める。煙草の火がゆっくりと望に近づいてゆく。ため息を1つ吐くと煙草を灰皿に押し付け火を消した。
タオルをそこら辺に投げると満の部屋になるであろう部屋に来て、ベットの組み立てをし始める。説明書を読みながら慣れない組み立てを頑張ってする望。説明書の図と違う形になり外し、また組み立てるを繰り返す。なんとか出来たベットはお世辞にも綺麗と言える物ではなかった。
「これで寝れるのか…?」
疑問に思いながらも今度はチェストを作り始める。慣れなくても一生懸命、形になればと作る望。そうこうしている間に外は明るくなり朝が来ていた。
「もう朝か…」
満の部屋には不格好なベットとチェストが並ぶ。
「まぁこんなもんだろ。寝れれば問題ない筈だ。服もこれなら入るだろ」
部屋から出てスーツを着て鞄を持つ。準備が出来ると玄関に行き扉を開け、出ていった。
望が出てから数時間が経ち、目を覚ます満。時間が分からないが寝坊した感覚があり、焦り出す。
「おいっ起きてるのかよ」
返事が無いので体を起こそうとするがピクリとも動かない。
「あれ…何で動かないんだ?」
焦りながら目だけを動かし、周りを見るが何も分からない。
「クソっ」
ソファから転げ落ちると這って移動し始める。望の部屋に入るがおらず、自分の部屋になる部屋に入ってもいない。
「あれ?ベットとタンス?」
周りを見ると不格好なベットとチェストが目に入る。
「……不細工なベットとタンスだな」
吹き出しながら笑う満。望の頑張りが分かり少し心が暖かくなる。だが暖かみに浸っている訳にもいかず、望がいない事を確認すると部屋から這って出た。
「何でいないんだよ」
玄関の方に這っていくと扉に張り紙がある事に気がついた。
"今日は休みにしたから寝て体を休めろ"
達筆な字でそれだけが書いてある。その場で力が抜け愕然とする。
「何だよ…それなら言って行けよな」
這って自分の部屋に戻る。不格好なベットを何とかよじ登り寝転がる。
「なんか斜めってる気がするけど…いいか」
落ち着くと体から力が抜け眠気が押し寄せる。眠気に身を任せるとそのまま眠りについた。




