76.甲斐甲斐しい治療
医療部に来た2人が受付のお姉さんに薗がいるかを聞く。
「薗本部長は今、薬の調合中です。今その場を離れるのは難しいかと」
お姉さんが申し訳なさそうに話す。
「それはしょうがないわね。なら実山ちゃんはいるかしら?」
「実山副部長ならお呼び出来ると思いますので少々お待ちください」
実山に連絡を入れたのか少し経つと医療部の扉が開き、実山が2人の元にやって来た。
「お呼びとの事で来ました。お久しぶりです、一条さん、重無さん」
ど真面目な実山が2人に律儀に挨拶をするが目の端に見えた満に気が付き驚き声を上げる。
「どっどうなさったんですか?能宮さんボロボロじゃないですか」
少しオロオロし始める実山に和真が呆れながら話す。
「訓練室で特訓してたんだが緊急事態があってこうなったんだ。その事について薗にも話を聞きたかったんだがいないならしょうがないからな。取り敢えず治療してやってくれ」
事情が分かった実山が頷き医療室に連れていく。
「1番怪我をしているのは能宮さんですか?」
「そうだな」
2人も怪我はしているがかすり傷ばかりなので耐えれない事もなかったが満は脚や肩、腕を和真のシャドーが貫通している為、血が止まらず流れている状態である。
「相当無茶をされたみたいですね。特訓もいいですがあまり無理をしてはいけません」
実山が消毒液の染みた綿を傷にあて消毒する。綿を捨てると今度は魂外によく効く傷の治りを早める薬を綿に染み込ませ満の傷に当てた。
「分かってるわよ。緊急事態って言ったでしょ。流石に私達も初めての事でヤバかったのよ」
唯菜がバツが悪そうな顔をし、満を見つめる。実山は手際よく全部の傷に薬を塗り、包帯を巻く。血が完全に止まった様でよく効くというのを示しているのが分かる。
「緊急事態なのでしたら尚更無理はなさらないでくださいね。2人の手当もします」
そう言うと唯菜の傷口にも薬を塗り、包帯を巻き始めた。唯菜の手当が終わり和真の手当をしようとすると
「いや俺は大丈夫だ。あんま怪我してねぇから」
実山の申し出を断り、手当の終わった満を再び担ぐ。
「あまり怪我をしてなくても無理はなさらないでください。怪我の治りを良くする薬だけ渡しておきますので痛みが強かったら飲んでくださいね」
実山が和真の手に無理矢理握らせる。和真はお節介だなと呟き、医療室を出ていった。
「実山ちゃんありがとね。薗ちゃんにもよろしく言っといて」
「例には及びません。はい、本部長に伝えておきます」
実山が会釈するのを見て、軽く手を振りながら唯菜が部屋を出た。




