73.荒療治
2人についていき鍵を借り、訓練室に入る。訓練室に来たが満は今日はどんな特訓をするのか気になっていた。
「取り敢えず形態変化の訓練をするのだけど私たちは形態変化なんて出来ないし、まず形態変化の魂外なんてあまりいないからどう訓練しましょ」
「そうですよね、どうしましょうか」
和真と唯菜が悩み始める。難しい顔で悩む2人を見ている事しか出来ない満。だが、和真が何かを閃いたかの様に口を開いた。
「あの時、満が形態変化したのは自分にとってピンチの状態だったからかもしれないです。だから追い詰めてみるのはどうですか?」
和真の提案に少し考えた後、唯菜が微笑み頷いた。
「そうね。今はそうしてみるしかないからそれでいきましょ」
2人が満に向き直る。話を聞いていた満が少し後ずさる。
「じゃそういう事だから少し本気でいくぞ。死ぬなよ」
「今日は私も相手するわね。また気絶しちゃだめよ」
昨日と同じように和真から大きさがバラバラな黒い球体が現れる。唯菜は何も変わらず構えてるのみ。
「本気で来い、満」
その言葉に袖から黒い爪を出し、構える。汗が滴り、頬から溢れおりると同時に和真に飛び込む満。それと同時に左手の掌を素早く裏返し合図をする和真。その合図で球体が四方に飛び散る。唯菜には当たらず、唯菜を避けながら壁や床に当たり軌道を変え、高速で動き出す球体。昨日とは全く違う戦闘スタイルに戸惑い立ち止まる満。
「なっ何だこれっ。早すぎて見えねぇ」
目で追うも速すぎて見失う。素早い動きにどれに集中すればいいか分からず落ち着きなく体が右往左往する。
「本気と言っても流石に本気過ぎたらヤバいからな。手は抜いてはいるつもりだ。神経尖らせろよ、"球体の曲芸"」
満の周りを弾き回っていた球体が次々と満に向かい始める。体に球体が当たりまくる。昨日よりも速い動きに目も体も追いつけず痣だらけになっていく。
「もっとピンチになってもらうわね。"蜘蛛の糸"」
どうにか動こうとした時、手足が動かない事に気がつく。唯菜が片手を前に出し、指先から出た糸を手に巻き付け引っ張り、身動き出来ないようにしている。初めて望の家に行った時の唯菜の糸が満の手足に巻き付いていた。
「このピンチどう切り抜ける満」
身動きの取れない満に球体が豪雨の様に降り注ぐ。気を失わない様に保つのがやっとな満がどんどん自分を守る為に体を縮こませる。
「やっぱり…ちょっと荒療治だったんじゃない?」
「流石にこれはやり過ぎか」
作戦は失敗かと和真が球体を止めようとした時、突風が吹いた。




