59.本気の望
「訓練室って何だ?」
満が疑問に思いながら質問する。
「あら訓練室は案内されなかったのね」
エレベーターの前に立ち、ボタンを押し満に体を向ける。
「訓練室は2階から3階にあって好きな時に体を動かせるのよ」
「2階から3階にワンフロア5部屋ある。4階が休憩所になってるんだ」
いつの間にかいつも通りになっている和真が話に加わる。
「そこで戦闘訓練すんのか」
「そうね。まぁ望ちゃんから手加減してやれって言われてるからそんなキツくはないと思うけど」
「手加減なんかいりませんよ…」
和真がボソッと呟く。それが聞こえた満がまだ根に持ってるのかと和真を横目で見る。エレベーターが止まり、扉が開く。3人がエレベーターに乗り込み、唯菜が2階を押し扉を閉める。
「そういえば、満ちゃんは望ちゃんと戦ったのよね」
唯菜が思い出したかの様に満に問いかける。和真も興味があるのか満に顔だけ向け話を聞く。
「そうだけどそれが何だ?」
「戦ってどうだった?」
満がその時の事を思い出す。
「どうも何も必死であんま覚えてないな。あいつに尻尾3本出させるってそれだけだったから」
それを聞き、唯菜と和真が顔を見合せ軽く笑う。
「なるほどね。満ちゃんは望ちゃんに遊ばれてたのね」
「遊ばれてた?」
「望が全力なら攻撃もさせて貰えないな」
望の強さをはっきりと理解していなかったがそこまで強いのかと驚く満。
「でもいつか望ちゃんと対等に戦える様になれたら楽しいのかもね」
「唯菜と和真は対等に戦えるのか?」
満の問いかけに少し困りながら和真が応える。
「いや俺も唯菜さんも対等に戦ってもらった事はない。2人がかりでもまだ本気では相手して貰えないな」
2人がかりで本気を出さない望に益々気持ちが募る。
「望ちゃんが本気で戦うのは今のとこ2人だけね」
「2人?」
満がその2人に興味を持ち、期待の目を向ける。
「あぁジャラとユラだな」
「そいつらは誰なんだ?どこにいるんだ?」
本気で戦う望を見てみたいのか問いかける満。
「ジャラちゃんは前に言ってた海外に派遣に行ってる子よ。ユラは……なんて言うか神出鬼没で長らく会ってないわ。望ちゃんの前にしか姿を見せないから」
どっちも戦ってるとこを見るのは難しそうで肩を落とす満。
「そうガッカリしなくてもいつか見れるわよ。本気の望ちゃん」
唯菜が元気付ける様に満に言葉を投げかける。エレベーターが止まり、2階で扉が開く。エレベーターから降り、目の前の受付に足を運んだ。




