52.挨拶回り⑱
5階に着き、エレベーターを降りる。何も書いてない部屋に入ると個室の部屋が幾つもあり、使用中と書いてある所と空きと書いてある所がある。望は受付の方に行き、お姉さんに話しかけた。
「お疲れ。明菜はいるか?」
「望さんお疲れ様です。明菜本部長なら今さっき丁度授業が終わったとこですよ」
「そうか。なら本部長室か?」
「はい。本部長室にいると思いますので行ってみてください」
「ありがとな」
望が部屋を出るとエレベーターとは逆方向に歩き出す。
「エレベーター乗らないのか?」
「明菜の本部長室はこっちなんだ」
少し歩くと本部長室と書かれた部屋に着いた。望がノックをし、中に入る。満も続いて入ると部屋の中を見て驚いた。他の本部長達とは比べ物にならないくらい部屋が狭いのだ。他の本部長達はそこまで広くなくていいだろと言いたくなる程、部屋が広かったが逆にここは狭いという感想しか出てこないくらいに狭かった。
「あら?望さん?わぁここに来て下さるなんて珍しいですね。どうしましたか?」
椅子に座っていた女がほんわかとした雰囲気を飛ばしながら微笑む。女がゆっくりと立ち上がり望の近くまで寄ってきた。
「久しぶりだな明菜。新人を連れてきたから紹介だ。満」
望が満の方を見る。自己紹介しろという事を察し満が女を見つめる。
「能宮満だ。よろしく」
いつも通り短い自己紹介を終えると女が嬉しそうに満に話しかけた。
「まぁ新人さん!満くんって言うのね。私は魂外育成部本部長の宍戸明菜です。よろしくね」
明菜が柔らかい笑みを満に向ける。明菜は薄い金色の髪を後ろで1つに結んでいるが結んだ先が3つに別れており、両サイドは肩にかけ前に流している。真ん中の束は三つ編みしており綺麗に纏まっている。前髪を横に流しており、兎耳結びのヘアバンドを付けている。タレ目で緑色の瞳が満を映す。服は丸襟のフリルが付いたシャツにロングスカートを履いている。落ち着いていて優しい柔らかなイメージの女性だ。
「こいつは世の中の常識が分かってなくてな。出来れば明菜に授業をしてほしんだがいいか?」
「は?!」
満が一言もそんな話は聞いてないという顔で望を見つめる。
「私が教えていいんですか?それでしたら張り切って教えちゃいますよ」
明菜が嬉しそうに満の両手を掴む。満が苦笑いをしながら何も言えなくなってしまったのは言うまでもない。




