50.挨拶回り⑯
ソファに座ってから何十分経っただろうか。望はbirdphoneで事件に関する記事を読んでいるが満は暇そうに周りを見てはボーッとするばかり。
「遅くないか?」
満が痺れを切らし、望に問いかける。望が目線だけ満に向けbird phoneに浮き出た時間を見る。
「確かに遅いな。もう終わってもいいぐらいだが」
望がbird phoneを閉じ、立ち上がったと同時に部屋の扉が開く。ゆらっと誰かが入ってくる。ひょろ長い男が黒い液体を全身に浴びながら望の目の前に立つ。
「何の用だ、望」
「遅かったな、ミラ。新人を連れてきた」
長い前髪の間から目付きの悪い目が満に向く。
「それだけの為に呼んだのか?」
「大切な事だ。自己紹介してやれミラ」
ため息をつきながら満に体を向け、早口にボソッと呟く。
「魂外拷問部本部長、ミラ・テトラ」
それだけを言うと望に向き直り不機嫌そうに口を開く。
「これでいいだろ。俺は忙しいんだ、新人なんかに構ってられない」
ミラ・テトラは灰色の長髪を後ろで束ねており、束ねられた髪は緩く外に跳ねている。前髪も若干長く、髪の隙間から黒みの混じった赤い目が睨む。服は黒シャツに黒スキニー。血が付いても目立たない為だろう。全体的に細く、骨が皮を纏っている様にも見える。
「こいつは能宮満だ。知っての通り、この前俺が担当した事件の"大食らいの魂外"だ。今日から俺のバディになる」
バディと聞いた瞬間、ミラの背後から鋭い刃が満に向かって突き立てられる。望が瞬時に尻尾1本で刃を受け止める。満はそれまで反応出来なかったが望がミラの刃を受け止めているのを見て状況を理解した。ミラが舌打ちをし、刃を引いて満を睨んだ。




