4.期待
望はため息をつき、満の爪を軽く尻尾で受け流し残り二本の尻尾で浅い切り傷を与えながら押し戻す様に吹き飛ばす。服は破れ、切り傷ばかりが増えていく。
「話にならないな。そのままじゃまだ迎え入れようとも思わない」
尻尾を仕舞い、満を見下ろす。
「俺はお前なんかの仲間になりたいなんて1ミリも思ってねぇよ!今すぐズタズタにしてやる」
睨みつけ、大口だけは叩き続ける。
「楽しみだな。お前が俺をズタズタに出来る日が。だが、今日は時間切れだ」
腕時計を見た望が軽く言い、背中を向ける。
「は?」
呆気に取られる満を置いて歩き出す望。
「今日は別の仕事も入ってるからな、これくらいにしといてやる。明日また来るからその時までに少しはまともになってくれている事を願ってるよ」
スタスタと歩いていく望を唖然と見つめる満。望が部屋の出入口に差し掛かった時、ピタリと足を止め、満の方に顔だけ向けた。
「あーこの廃工場の周りは警察や刑事が取り囲んでる。見張ってはもらっているが…もし逃げたくなったならご自由に」
鼻を鳴らし馬鹿にする顔で前に向き直り歩き出す。ぽかんとしていた満が体を震わせ始め、大声で叫ぶ。
「誰が逃げるかっっ!明日にはてめぇなんかミンチだっ」
大声で大口を叩いた甲斐があったのか望にその声は届き口角を上げていた。望からすれば満はまだ赤子同然で手の平で転がすどころか、余所見をしながら指先で軽く遊んでる程度。ペン回し程度の出来事。だが望は満に期待していた。まだ赤子同然の魂外がどこまで成長出来るかを。




