42.挨拶回り⑧
音が鳴りエレベーターが到着する。エレベーターに乗り、望が30階を押し扉が閉まる。先程とは違う重苦しい沈黙が訪れる。その空気をどうする事も出来ず、30階に降り魂外喰金部と書かれた札の部屋に入った。
忙しそうに書類を持ち、足早に過ぎていく者ばかりの印象。医療部と同じくらい忙しいらしい。受付に近寄り先程と同じように声をかけた。
「九尾はいるか?」
「お疲れ様です。九尾本部長は只今外出しておりまして…」
受付のお姉さんが申し訳なさそうに話していると部屋の扉が開き、老紳士が入ってきた。
「おや望さんお久しぶりです。私に用でしょうか?」
優しい微笑みでこちらに近寄る老紳士。
「久しぶりだな九尾。本部長室で大事な話をしたいんだが」
九尾と呼ばれた老紳士は望の言葉に軽く首を傾げながらまたにこやかな表情になり、わかりましたと頷く。部屋を出て、エレベーターの方に3人で向かう。九尾がボタンを押すとエレベーターが開いたのでそのまま乗り込み、39階を押し扉を閉めた。
「最近お見かけしませんでしたがお元気でしたか?」
「いつも通りだな」
「それはよかったです」
柔らかなその微笑みはまるで孫と話をしているおじいちゃんの様だと思いながら2人を見る満。不思議な空間に自分はいると思いながら話には混ざらずまた外を見つめる。
エレベーターが39階に着き扉が開く。エレベーターから降り、本部長室と書かれた部屋に入り、望がソファに腰掛ける。満は望の隣に座り、2人の前に九尾は腰掛けた。




