39.挨拶回り⑤
「騒がしい奴だろ。薗は魂外でも特殊体質を研究するのが好きみたいでな。たまたま会った時は気をつけろよ」
「あぁ…」
何を気をつければいいのかと満が渋い顔をする。だが聞く気力が今は無い為、スルーし望について行く。
「次は発明部に行く。20階だな」
エレベーターに乗り、20階のボタンを押し扉を閉める。エレベーターがゆっくりと動き目的地に向かう。話す事はなく、静かな空間が少し気持ち悪いのか血を抜かれた場所を見て手で摩っていると先程の会話を思い出した。
「なぁバディって何だ?」
「何だ紗夜から説明されなかったか?」
望が満に顔を向ける。満は静かに頷き、望の説明を待った。
「バディは対策部と行不部で取り入れている二人一組のチームの事だ。お前は入ったばかりの新人だから俺がお前のバディだ」
「でも薗がさっきバディはいらないって言ってたって」
「あれは昔の話だ。能宮道幸にお前を任された時から考えてた事だ」
満は道幸が本当にこいつに自分の事を任せたのかを考える。考えたところで何も分からないのが現実なのがもどかしかった。
「ほら着いたぞ」
20階に着き、エレベーターから降りる。発明部と書かれた部屋に向かい、扉を開く。医療部とは違い、慌ただしくしている者はおらず、受付の者が1人。受付の男に望が近寄り話しかける。
「天吏はいるか?」
「望さんお疲れ様です。天使天吏本部長は今日実験室にこもりっきりですが何か急ぎの用事でしょうか?」
「あぁ、急ぎの用事だから本部長室に戻るように伝えてくれ」
「かしこまりました。では先に本部長室でお待ちください。直ぐにお伝えします」
「頼んだぞ」
話が終わると部屋から出て、またエレベーターに戻る。先程の医療部と同じで本部長たちは受付で空いてるかを聞かなければ会うのが難しいという事を満は覚えた。エレベーターが来て乗り込み、29階のボタンを押し閉める。先程よりも階が遠い為、直ぐには着かず外を見渡す。自分はこれからどうすればいいのかと漠然な疑問だけが残されてゆく。外をただただ眺めていると
「着いたぞ」
望に声をかけられハッとする。気づくと29階に着いており急いでエレベーターから降りた。
「天吏は薗とは全然違うタイプだからゆっくりと話す事が出来ると思うぞ」
軽い説明をし、本部長室の前に来て扉を開く。天吏はまだ来ていないらしく勝手に部屋に入り、ソファに座った。




