34.本部へ
むにゃむにゃと聞き取れない程の寝言を言いながら服が捲れ、出た腹をポリポリ掻く。
「さっさと起きろ」
ソファを持ち上げ畳む。その拍子に転がり落ちる満。落ちた事で寝ぼけながら起き不機嫌そうに望を見つめた。
「痛てぇな、もう少し優しく起こせねぇのかよ」
「最大限優しく起こした」
望を睨みながらそっぽを向く満。だが疲れていたのか質のいい睡眠を取れ、少し気分は良かった。拠点にしていた廃工場はいつ誰が入ってくるか分からない状態だったので最近はまともに寝ていなかった。
「早く支度をしろ。今日も本部に行ってお前を紹介しなきゃいけないんだからな」
望はもう準備を済ませ、昨日のだらしない格好からビシッとスーツを着て、椅子に座り煙草を吸いながらbird phoneでaccidentnewsを壁に映し出し読んでいた。
accidentnewsとは事件、事故に関するニュースだけを取り扱うネットニュースだ。
「魂外が関わってる事件は多いな…人間が魂外がやった様に見せる事件も多いけどな」
独り言を呟く望。満は持ち物も準備する事も何もないので不機嫌そうに声をかけた。
「おい、出るなら早く出ようぜ。お前が早くしろって言ったんだろ」
「あぁ、そうだな」
煙草を灰皿に押し付け、bird phoneをオフにし立ち上がる。高そうな革靴に足を入れる望。その隣のボロボロの靴に足を入れる満。扉を開きカードキーで鍵を閉め、地下1階に向かった。
フワイドルを降り、愛車の方に向かう望。満は内心乗りたくないと言う気持ちでついて行く。鍵のボタンを押し、自動でドアが開いた。満が不満なのか不安なのか分からない顔で乗るのを躊躇う。
「何してるんだ。早く乗れ」
運転席にもう座っている望が声をかけた。諦めながら嫌々助手席に座る満。ドアを自動で閉め、車を運転し始めた。




