33.一日の終わり
「待て待て待て…こいつを俺の家に居させろって事か?」
「それ以外ないでしょ。望ちゃんが連れてきたんだから責任持って面倒見ないと」
「いやっだがこいつの寝れるとこなんて無いぞ」
「こんなに大きなマンションに住んでて無い訳ないでしょ」
望と唯菜が言い合いしている中、気づかれないようにジリジリと距離を取ろうとする満。それにちゃんと気づいている唯菜が満の腕を掴み、引き寄せる。
「取り敢えず泊まるとこないんだから宜しくね。望ちゃん」
満の背中を押し、唯菜が手を振る。帰路に着こうと歩き始める唯菜に満が慌てて声を上げる。
「待てっ俺もここがいいなんて一言も言ってないぞっ」
満が身を乗り出して唯菜に助けを乞う。唯菜はフワイドルの前で立ち止まり、満面の笑みで頑張ってと一言言い残し、投げキッスをプレゼントするとフワイドルに入っていった。
「唯菜が考えそうな事だな…ここまで何で来たんだ?魂外タクシーか?それとも電車か?」
「……空中移動」
「あー…それは災難だったな」
望が察し、取り敢えず中に入れる。家の中は広いのだがあちこちに服が散乱し、書類も色んなとこに落ちている。
「お前の寝床は明日また考えるとして今日はここで寝ろ」
広いソファを指差すがソファの上は脱いだ服に本に書類で埋まっている。
「……ここで寝ろと?」
望が乱雑に服をそこら辺に投げ、書類と本を違う部屋に持っていく。戻ってきた望がソファの下に手をかけ、引き伸ばす。ソファがもっと広くなり寝れる広さになった。
「取り敢えずここでいいだろ。明日は各部署の本部長に挨拶に行くからな。ちゃんと寝とけよ」
それだけ言い、望がベランダに出る。満はソファに横たわった。疲れからか眠気でうとうとし直ぐに寝てしまった。
望が夜景を見ながら煙草に火をつける。煙を吐き、風に髪を靡かせる。
「人間がより良く過ごせる世界…」
ボソッと呟き、また煙草を吸う。5月の生暖かい風が煙を巻き込み、吹き抜けた。




