29.魂外対策部
「では最後に僕達が所属している魂外対策部の説明をしますね」
空気を変えるように紗夜が文字を消し、大きく魂外対策部と書く。
「対策部は課がなく、魂外が少しでも関わっている事件を解決する部署です。事件があれば日本の何処にでも出向き、解決しに行きます」
「何処にでもって対策部は何人が所属してるんだよ」
満が素朴な疑問を紗夜にぶつける。そこにいた全員が苦笑いをし、紗夜が応えた。
「19人です」
「えっ、たった19人?」
満が驚きながら全員の顔を交互に見つめる。
「そうなんです。日本中飛び回るには数が少なく、今ここに他があまりいないのも出張に出ている者がほとんどだからです」
困った顔をしながらため息をつく紗夜。他のメンバーも苦笑いや生気の抜けた顔をし始める。
「しかも今1人は海外に助っ人として出ちゃってるから実質18人なんだよな」
ははっと理仁でさえ乾いた笑いが出てしまうくらい深刻な状態にいる事がよく分かる。
「海外って?」
満がまたも疑問に思った事を聞き、それに唯菜が丁寧に応える。
「海外は日本よりも魂外に対しての法が緩いみたいで困ってる状態がずっと続いてるみたいなの。だから日本の法を取り入れたいあちらの方々が1人でいいから寄越して欲しいって今海外に出張中って事」
「人数少なくてこっちも困ってるのにか?」
満が顔を顰めながら首を傾げる。
「最初は望も断ろうとしたらしいが海外にパイプを通すのも今後、重要になるかもしれないって1人だけならって行かせたらしい」
和真が肩を竦めながらしょうがない事だと呟く。
「そいつはまだ帰ってこないのか?」
「確か今はフランスに居たはずです。そろそろ帰ってくる筈ですけどね」
満がまたも首を傾げ、紗夜に問いかける。
「今はフランスってそいつは外国を転々としてるのか?」
話せば話す程、疑問が増える。こんなカツカツでよく仕事をこなせていると思いながら紗夜を見つめる。
「確か最初に呼ばれて行ったのが中国でその次にアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダで今がフランスですね」
2カ国くらいかと思った予想を遥かに超え、どんどん国の名前が出てくる事に驚く。
「行ったり来たりして大変だよな。近くの国にいたのに遠くに行ってまた戻ってなんて俺なら出来ねぇな」
理仁が感心しながら大きな欠伸をする。それに共感する様に唯菜と和真が深く頷く。
「なので能宮さんが来てくれてよかったです。どんな方でも多い方が助かりますから」
紗夜がボードの文字を全て消していく。
「長くなりましたがこれが今の特別魂外対策本部の内部です。全てを今すぐ覚えろとは言いませんが能宮さんもここで働く事になるので軽くでも覚えておいてください」
以上で説明を終わりますとお辞儀をして、自分のデスクに戻る紗夜。満はやっと終わった安堵と疲れから大きく伸びをした。




