9.責任
「何だよそれ。そんな訳ないだろ、道幸がお前なんかに頼む訳ないっ。道幸を殺したのはお前だろっ」
5年前
犯罪組織を狙って壊滅させていた者、それが能宮道幸。何十年も前からその足取りを追い、遂に辿り着く事が出来た。彼を仕留めたのは望。その最後を見届けた時に満を任されていた。望からしたら任された事などどうでもいい事に過ぎないであろう。犯罪組織を壊滅させていたにしても彼も犯罪者に変わりはない。犯罪組織の魂だろうと無断で食べれば犯罪。犯罪者の頼み事を聞く義理はないのだ。だが望は彼の最後を見届けながら誓った。
満は自分が責任を持って育てると。
「俺は奴に誓った。俺がお前を育てるってな。能宮道幸は言っていたぞ。お前には可能性があるってな」
「可能性?」
満は混乱しながら望の話を聞くが素直にそれを納得しようとは到底思ってない。本当に道幸がそう言ったのかさえ、わからないからだ。
「俺は能宮道幸が言っていたお前の可能性を知りたい。突然こんな事言われても納得出来ないだろうがな」
「出来る訳ないだろ。道幸は俺の親父同然なんだ。血が繋がってなくても関係ない。その親父を殺した奴の言ってる事なんか信用出来るかっ」
望の申し出を疑い睨みつける満。一筋縄では行かない事は分かっていた望がもう一つの提案を口にした。
「お前じゃ俺を殺すのなんか数百年掛かるだろうな。そんなに俺を殺したいなら俺の隣に来い」
満は頭の上に?(ハテナ)を大量に浮かべながらこのスカし野郎は何を言ってるのかと目をぱちくりしていた。
「今ここでお前を殺しても別にいいんだが俺にも責任がある。俺が信用出来ないなら寝首を掻くくらいの勢いがないと一生殺せないぞ」
余裕の笑みを浮かべ満を見下ろす望。カチンと来た満は勢いに任せ、大声で啖呵を切る。
「後悔すんじゃねぇぞっ。俺は簡単に殺される訳にはいかねぇんだっ!お前を殺す為なら隣だろうが背後だろうがどこにでもいてやるよっ!!!」
早口に一息で望のスカした顔面に唾でも飛ばす勢いで捲し立てた。それを聞いた望が満足そうに笑みを浮かべ、お前が扱いやすい奴でよかったと呟き立ち上がった。




