2.ふわふわ&ショック
生後半年ほど経った頃
感覚を研ぎ澄ましていたら空中にキラキラしたものがふわふわと漂っているのが見えた。
「あう!?」
びっくりして集中が途切れたらふわふわが見えなくなった。
慌てる気持ちを抑え込み集中すると再びふわふわが見えた。
だからどうだというわけじゃないが確かに何かがそこにある。
一歩前進したことは確かだ。
成果が出た出たことで自然と気合が入り一層感覚を研ぎ澄まして過ごす。
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更に、二ヶ月ほど経った頃・・・
相変わらず下の世話をされ下半身すっぽんぽんでおしめの装着を待っていたら違和感に気付いた。
・・・・・・あれ?
股間にあるべきものがない!?
何ということでしょう・・・俺は、女の子だった。
ショックを受けてしばし思考する。
何が問題かといえば俺に前世の記憶があること自体が問題だろう。
それ以外は、全く問題ない・・・と思う。
まあこれも自分にどうにかできる問題ではない。受け入れるしかないのだ。
そんな事もあり、より一層妄想に力が入りふわふわを見て過ごす時間(現実逃避)が増えた。
◆◇◆◇
またしばらく時が経ち、俺は一歳になったらしい。
家族がささやかながら祝ってくれたのだ。
相変わらず言っていることは、ほとんど分からないが表情は読み取れる。
普段より心なしか豪華?な料理がテーブルに並び兄達がはしゃいでいる。
まあ俺は、離乳食の芋ペーストだから関係ないな
それにしても精進料理の方がよっぽど豪華に見えるレベルで大喜びしている現状・・・やはりどうにかしないといけない。
食後、眠いのを我慢して空中にあるふわふわを手繰り寄せて玉を作る。
家の中で右に左にと動かしているが家族には見えていないのでやりたい放題だ。
勢いあまって何かにぶつけてしまっても湯気の様に霧散するだけで特に攻撃力はないので安心だ。
夢中になってふわふわ玉遊びをしていたら寝落ちしていた。
翌日、一歳になったことだしそろそろ立つ練習でもしようかな。
ハイハイも多少していたがあまり行動範囲を広げると母親が嫌がるし兄達が面白がってまとわりついてくるので自重していたのだ。
まずは壁でつかまり立ち。
「にゅ~!」
あ、駄目だわ。上手く力が入らないし足ぐにゃぐにゃで立てんわ・・・
やはり何事も最初から上手くいくわけではないな。
ふわふわを操るのは、体力を消費しないので並行して立つ練習をすることにした。
やはりというか兄達が面白がってかまってくる。
俺が頑張って立とうとしているのに邪魔でしょうが!
苛立ちでふわふわ玉を兄達にぶつけたら妙にイキイキし始めた。