1.生まれ変わっちゃいました
頭空っぽにして書きたいです。
長い長い人生を終えて俺は死んだ。
子や孫に囲まれての大往生だ。
とはいえ、もっと生きて居たかった。
それは叶わぬ願いだと分かってはいたが、もうすぐ曾孫が生まれそうだったのに・・・
まあ、ゴネたところで仕方がない寿命なのだ。
・・・あれ?ロスタイム長くない?実はまだ俺は生きていたりする?
だが次第に思考力が徐々に低下していき物事が考えられなくなってきた。
『まあ、死んだんだから当たり前だよな。今までありがとう、みんな長生きしろよ!』
家族への別れを告げたらぷつりと意識が途切れた。
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~♪ ~~♪ ~♪
誰かの歌が聞こえる。
日本語ではないので何と言っているのか分からないが優しい歌声が心地よい
それに体が暖かくて眠い。
何だ?
死にそこなったか、やれやれポックリ逝かないと苦しむだけなので勘弁してほしいのだが・・・
目を開けると視界がぼやけてよく見えない。
「ぁ、ぅ・・・」
声もうまく出すことができない。
・・・が、流石に自分の身体の異変には気づいた。
手が赤ちゃんみたいというか、赤ちゃんの手だった。
何が何だか分からない・・・いや、分からない振りをしても仕方がない。
非常に認めがたいのだが、俺は生まれ変わったようだ。
◆◇ 数日後 ◆◇
百歩譲って生まれ変わった事は認めよう。
いつまでも現実逃避をしているわけにもいかない。
だが前世の記憶を持ったままというのは如何なものだろうか?
授乳は、様々な理由で苦痛だし下の世話をされるのも苦痛だ。
仕方がないとはいえ、どうにもならない。
手足もまともに動かせないのだから妄想に逃げるのは仕方がないのだ。
この国は、日本でないことは確定で長い人生で聞いたことも無い言語なのでおそらく地球ですらないっぽい。
魔法や不思議な力があるかどうかは知らないが、ある前提として感覚を研ぎ澄まして過ごす。
それしかやることがないというか、できることがないのだ。
◆◇◆◇
一ヶ月もすると目が見えるようになってきた。
俺には、両親と兄が二人いて5人家族だ。
残念なことに俺が生まれた所は、電気やガスといったものがない。
両親も魔法を使っている様子はなく生活用品は原始的というか古風な感じで火打石で火をおこしている姿を見たらがっかりした。
更にがっかりポイントは、我が家は農民らしく父は芋っぽいむさ苦しい男で母は美人だった痕跡はみられるものの肌の手入れなど皆無なので本来の年齢より老けて見える有り様だった。
アカン・・・これでは、俺も成長したら畑を耕して一生を終えるビジョンしか見えない!
どうにかしないと!
とはいえ、手も足も満足に動かないし喋れないし家族が何を言っているのかも分からないし妄想に走るしかない。
前世でもカメ○メ波とか螺旋○とか練習してたから苦にならない・・・ってか結局は、現実逃避じゃん!