9. キョウ人は、〇〇って名前のミチを歩く
赤松 遥の視点
「何しに来たの?」
眼の前に敵がいる。私は思考を回転させ、いくつかの作戦と想定を考える、リーダーは大丈夫だ、こんな奴らには負けないし、そもそも見つからない。でも心配だ、リーダーの事だから私には理解できない理由で自分から敵に見つかるかもしれない、そしていつもみたいな表情で死を選ぶなんてことは・・・駄目だ、それだけはさせない、それだけは私が許さない
「てめぇこそなんでここにいる?まぁ良い、話がある」
眼の前の男が何かを喋っているが、もうそんなことどうでも良い、大事なのはリーダーと合流すること、リーダーがその気になればこんな連中一捻りなのだから
走り去る時にも後ろの男はなにか言ってるけど無視、今は一秒すら惜しい。リーダーはどこ?いた!男二人と戦ってる様子だ
「そこまでよ!」
私は近付いてすぐに拳銃を敵二人に向ける、リーダーならこんな奴らに負けないけど、万が一ということもある
「赤松!銃!?ちょ!笑ってないで助けてくださいよ、ソーマさん」
「HaHaHa仕方ないな、へい、赤松(貧・・・)じゃなかった、赤松、ステイ」
ん?状況が見えない、もしかしてすでに懐柔した後だったのかな?
リーダーがそう言うならと、私は銃を下に向け周囲の警戒を続けながらいつ敵が来ても良いように構える
「あの、ソーマさん、赤松まだ構えてるんですけど」
「え〜、どうせ赤松はこれ以上は警戒とかないし、めんどくさい。分かった分かった、赤松、君は猫になるんだ、そしてお尻を向けてしっぽフリフリしてくれない?」
「分かりました」
しまった、無力化した敵より他の敵を警戒しなきゃ、リーダーに注意されなきゃ気が付かなかった、リーダーの背後を守れという指示は確かに受け取りました
「これでいいかな、じゃあ話を続けよう、何の話だったっけ?あ〜そうそう悩みの話だったよね、君等の悩みはあれだろ?思春期のアレ!」
「あの・・・そういうのじゃ無いです」
「わかってる分かってる、皆まで言うな、おかずの入手方法は教えてあげるから」
「あの・・・ですから、俺たちは二乃さんから貴方を殺せって言われてて・・・」
「大丈夫だって、親には言わないよ、上手に隠す方法も教えてあげるから、君らもいい年頃だもんな、そういうのがあるって理解してるよ」
「いえ、俺ら二十歳超えてます、そもそも悩みなんて・・・」
「知ってるさ、永遠の十六歳だもんな、ガラスの十代だもんな、思春期はお腹が空くもんな」
「いえ、だから・・・お腹?」
二乃の手下達はただからかわれてるだけだと思ってただろうけど、リーダーはそんな無意味なことはたまにしかしない、きちんと意味を捉えればその言葉は黄金なんかより価値を持っている、こんな連中にはもったいないが、私達のコロニーはリーダーが居なくなってあっという間に食糧不足になった、正確には備蓄してる食料がどんどん減り始めていた
「先ずは今まで通ってきたルートに植えてきた芋を回収しなさい、まだ早いのはわかるが、食糧不足でトラブルが起きるくらいなら回収したほうが良い、もちろん小さすぎるのはそのまま埋めておきつつ、ついでに軽く肥料上げたりして整備しておくように。お腹が減ってカリカリするならひまわりの種でもカリカリしてなさい、ペットショップにはまだあるかもね、あと花屋とかにも種くらいあるでしょう、この際だ、他の種も片っ端から食べてしまえ!冬を越せないなら種モミなんて取っておいても意味がないだ!オラは年貢を収めねぇ!それから〜〜〜」
リーダーはこうやってまるで魔法でも使ってるみたいに次々と食べ物を探し当てていた、増え続ける生存者全員を餓死させず、それどころか食料を持ち逃げするような人すら出さなかった、持ち逃げするよりも、このコロニーに居たほうが安全に、そして確実に食べ物が手に入る、リーダーならそれができると誰もが理解したからだ
リーダーの言葉を受けて敵二人は意見が違い始めた、任務とコロニーにとっての優先度、それらを考えれば二乃なんかよりリーダーの言葉を聞くべきなのは明らかなのに
「あ、あの。もう一回、もう一回お願いします、種?そうかひょっとしたら残ってるかも」
「おい、何メモしようとしてる、俺らはそんな事しに来たわけじゃないだろ」
「でもよ」
そんなやり取りをしている、本当はすぐにでもここを離れないといけないのだけれど、リーダーがここに留まってる以上、まだなにか目的があるのだろう、私はそのサポートに徹する
アグニ・ソータの視点
怖!なんで二乃くんの手下二人に囲まれてるの?しかも後ろには銃を持った物騒な後輩、コレが前門の虎、後門の狼ってやつか、お腹が空いてるからイライラするんだよみんなでハムスターになって仲良くカリカリしよう。あ、オラのはカリ梅でお願いします
「てめぇ、なんでここにいやがる?」
ほら、とうとうイライラの王である二乃くんがやってきちゃったよ、しかも手下を更に3人も連れて、この子いつもイライラしてるな、カルシウム足りないんじゃない?右手に残った骨食べる?
「ふ、君に会いに来たんだ!」
「真面目に言う気はねぇよな、ここで殺し合いか?」
ソレは避けたいな、なんか今にも引き金引きたがってる後輩いるし、仮に誰が生き残るにしても、その過程で吾輩は地面のシミになってそう、シミの数を数えてるうちに終わる?
「二乃くん、俺はね、真剣にコロニーの行く末を気にしているんだ。ゾンビの間引きもこの山を野焼きするのも、全てはコロニーのためなんだ、それはわかって欲しい。そして可能なら力を貸してほしいが、それが駄目なら俺は俺の命を諦めよう、但しその前にコロニーの為の今後の方針と有事の際の対策を可能な限り書いておきたい、時間をくれないか?」
「やめろ!何考えてやがる!?糞!罠か!?お前ら、少し距離を取れ!逃がすなよ!」
えー、何その反応、納得できない。せっかく真面目さんごっこしてたのに、仕方ないな平常運転に戻るよ、どれ、ちょっと失礼して、トランシーバー起動
「もしもし、霧島?オレオレ、そう、オレだよ、ちょっとトラブっちゃってさ、逃さないぞって囲まれてるんだよ。示談金が必要とかでさ、スイスの銀行に金振り込んでくれない?」
「いい加減にしやがれ、いつまでやってやがる!」
最近の二乃くんは怒りっぽいな、真面目さんしてもオレオレさんしても怒り出すなんて、一体どうすれヴァ良いんドゥア
「違うの、霧島。貴方との事はもう終わったことだって言ったじゃない!コレからは正妻の二乃くんとやり直すの、不倫はもう終わりよ!」
「てめぇ!・・・」
「え?二乃くんは奥さん役嫌いなの?じゃあこっちが猫ひろしやるからタチひろし役をお願い」
「いい加減死ぬか?」
「わかったよ、少しだけ真面目さんを・・・は!?重要なことに今気がついた!」
「!?・・・」
「今、霧島と俺と二乃くんで三角関係になってない!?」
「よし殺す!」
「わかったって、そうカリカリしないでよ。仕方ないから亡き母の遺産を一緒に相続しよう、だから私とやり直して二乃くん!離婚しないで!」
「・・・・・・チッ、糞が、今回だけだぞ」
その瞬間周囲に衝撃と動揺が走った、空気が固まるってこういう状況を言うんだね
「二乃さん正気ですか!?」
「二乃さん気を確かに!」
「二乃さんが壊れた!」
周囲は大忙し、二乃くんの仲間は二乃くんの正気を疑ったりしてるし、後ろは後ろで『りーだーりーだー』と肩を揺すってくる、危ないよ?感染するよ?
それにしても二乃くんの仲間はみんな二乃くんを気づかってるな。そんなに嫌なの?みんな僕のことそんなに嫌い?
「じゃあ、早速ハネムーンに行こう!行き先は決めてるんだ!」
「調子に乗るなキチガイ!準備する、明日にしろ」
僕と二乃くんのラブラブ話を二乃くんの手下達が遮ってくる、ソレを制して二乃くんは言う
「お前ら少しは落ち着け、あのキチガイは適当なことは言うが嘘は言わん、それは知ってるだろ?」
「ですが・・・」
「いいから聞け、離婚だのなんだのは聞き流せ。そして奴は、遺産が有ると言った。やつの言う遺産はコロニーにとって有用な何かだ、ソイツを寄越すから見逃せ、それがやつの言い分だ」
「そんな、話・・・だったんですか、でも助かるための嘘の可能性だってあるんですよね?」
「その場合は改めて殺すだけだ、利益を考えろ」
失礼な、真実に生きる吾輩は嘘なんて喋ったことないのに
「そんな!お金と体だけが目当てだったのね!?」
「黙れ狂人」
酷い!酷すぎる!そうだ、結婚式にはルクス君も呼んでね!あれ?離婚話だっけ再婚だっけ、初婚だっけ?う〜ん・・・細かい話は気にしたら負けだよね!
「じゃあ、また明日ね、場所はトランシーバーで連絡するよ、ラブコールは何時が良い?あ、そういえばトランシーバーの電源切ってなかったけど霧島、聞いてた?じゃあそういうことだから、もし二乃くんに飽きたらまた遊んであげるわ!」
生活水準の向上とか、怪力ゾンビ討伐とかイベント自体はボツ部分であったりしてるんですが、好みじゃないので全カットです
以上誰も読まない後書きでした